Month: March 2009
愛と友情をやり直すための輪廻転生-The Hundred Secret Senses
Amy Tan1995現代文学/純文学/戦争・歴史(中国)/移民 悲劇と喜劇を見事に融和させた現代のクラシック http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0375701524&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=080411109X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 Oliviaはアメリカで白人の母親と中国人の父親との間に生まれたが、実は父には中国に残してきた別の娘がいた。父の死後母がアメリカに呼び寄せた異母姉のKwanは無条件の愛をOliviaに与えるが、Oliviaのほうは妙な姉をうっとうしく思う。ことにOliviaが怯えたのはKwanの幽霊を見る能力で、それを母親に打ち明けたためにKwanはしばらく精神病院に送られてしまう。Kwanへの罪悪感や母に十分愛されなかったトラウマからか、成長したOliviaには自信にかけるところがあり、それが夫のSimonとの関係にも悪影響を与えている。離婚の準備段階として別居をしているときに、Olivia とSimon,そしてKwanの3人が一緒に中国を訪問する機会が訪れる。Kwanの故郷で、彼女はOliviaに3人が前世で深く繋がっていたことを語り始める。あれほどKwanがOliviaとSimonの仲を保とうとしたのには、戦争のために犠牲になった前世での悲恋があったからだった。 日本人には馴染みのある「陰と陽」や「輪廻転生」の観念だが、アメリカに住みながらも究極の中国人オバサンを貫くKwanの説は解釈がユニークで、しかも独特のユーモアがあり、読者はKwan教に改宗したくなるかもしれない。主人公のOliviaは、ぐじぐじ悩んでばかりで自分から状況を改善しようとしないし、自己中心的だし、人間が小さい。Simonにも十分欠陥はある。けれども、それが普通の人間というものだろう。前世でできなかったことをやり遂げるために生まれ変わるとしたら、多少の問題があっても、「なんとか頑張ろう」と勇気を出して努力するようになるだろう。そんなことを考えさせてくれる本である。 ●ここが魅力! 私はアジア系の作家にはあまり興味を抱けないのですが、なぜかAmy Tanだけは全作読んでいます。私が一番好きなAmy Tanの作品は、映画化された有名な「Joy Luck Club」ではなく、このThe Hundred…
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注目の新刊-Pride and Prejudice and Zombies
著作権が消滅したクラシックの二次創作(FanFic)が出版されることは稀ではなく、特にジェーン・オースティンの二次創作ノベルは人気があります。 けれども、このPride and Prejudice and Zombies: The Classic Regency Romance – Now with Ultraviolent Zombie…
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Twilightファンにおすすめ-「City of Bones」(The Mortal Instruments シリーズ第一部)
著者:Cassandra Clare発売日:2007年3月ジャンル:ヤングアダルト/ファンタジー/パラノーマルロマンス Twilightの次に何を読もうか迷っているファンタジーファンにおすすめ http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416955070&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 女子高校生のClary は、幼馴なじみで親友のSimonと行ったナイトクラブで男女3人のティーンが少年を殺す場面に立ち会うが、Simonには彼らが見えない。魔物を退治するシャドーハンターだと名乗るJaceにClaryは詩の朗読会で再び出会う。見えないはずのシャドーハンターが見えるClaryにシャドーハンターの血が流れていることを推察したJaceは、シャドーハンターの大使館のようなInstituteに連れてゆくという。そこに母親のJocelynから携帯に「家に戻ってはいけない」という取り乱した電話がかかり、Claryが家に駆け戻ると母は姿を消していて魔物に襲われる。解毒をしないと1時間で死ぬとJaceに告げられたClaryはInstituteに行き、どうやら自分には母が知らせていない秘密の過去があるらしいことを学ぶ。ClaryとSimonは、ニューヨーク市の闇でくりひろげられているシャドーハンター対魔界の生物たちの戦いにまきこまれてゆく。 ●ここが魅力!先日お話したように、著者のClareはハリー・ポッターと指輪物語のFan Fic(二次創作)作家としてファンがつくほど有名になり、それで作家として発掘されたといういきさつがあります。ファンタジーとしては、「Harry Potter」や「The Lord of the Rings」のように根底に深い哲学があるわけではなく、「The Name of…
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Black Out-複雑なプロットの心理サスペンス
作者:Lisa Unger2008年5月初刊ジャンル:心理ミステリー/サスペンス Ungerファンには少々物足らないかもしれない心理スリラー http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0099522152&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 裕福な家庭の主婦アニー・パワーズの本当の名前はオフィーリア・マーチ。けれどもそれを知るのは夫のグレイとその両親だけ。誰にも言えない理由は、オフィーリアが十代のころに連続殺人者マーロー・ギーリーの共犯者とみなされていたから。当時事件を追っていた民間軍事会社のオーナーの息子グレイがオフィーリアに恋をし、彼の計らいでグレイの父の会社がオフィーリアの死を偽って新しいアイデンティティを獲得したという過去がある。心的外傷の後遺症でアニーには当時の記憶が欠けているが、死んだと思われているマーローが戻ってくると固く信じ、恐れている。彼女をがんじがらめに縛る夫の父親、汚職警官、そして夫のグレイのそれぞれが謎の行動を取り、アニーは自らと愛娘を救うために勇気を奮い起こす。 Ungerの「Beautiful Lies」と「Sliver of Truth」の2作に比べると、(それらの続編ではありません)Black Outはストーリーにまとまりがなく、スピードにも欠けるように思います。記憶がフラッシュバックで戻ってくるというアイディアは良いのですが、そのせいでかえって読みにくさを感じるかもしれません。Ungerのファンでなければ、十分興味深い心理スリラーだと感じるでしょう。けれども前の2作と同じようなドラマと興奮を期待するファンはやや失望するかもしれません。 ●ここが魅力!それでも平均的なサスペンスに比べるとダントツ面白いことは確かです。Ungerの過去2作のように真相を知りたくて最後まで一気に読んでしまえるでしょう。 ●読みやすさ ★★★☆☆ 難しい単語はほとんどありませんし、たとえ分からない単語があってもストーリーにはついてゆけると思います。 ●アダルト度 ★★★☆☆大人向けの本としては平均的といえるでしょう。 ●そのほかのUngerの作品…
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米国の若者をターゲットにした貯蓄の指南書-I Will Teach You To Be Rich
著者:Ramit Sethi ジャンル:実用書/ハウツー/自己啓発 キーワード:パーソナルファイナンス、貯蓄、リッチ 洋書ニュースにも書きましたが、1日に限りオンラインで購入した読者に抽選で1時間に1台Kindle(と計5000ドルの賞金)をプレゼントするという斬新なマーケティングで、Amazon.comの書籍とKindle版で1位に躍り出た注目の新刊です。David Meerman Scott(ディヴィッド・ミーアマン・スコット)が説くBuyer Personas(顧客ペルソナ)を熟知したマーケティングの好例です(情報公開:スコットは私の夫)。 「やせるためには食べる量を減らして運動量を増やす」のが実際には最も有効な方法なのに、人は最新のダイエットに挑戦しては失敗します。パーソナルファイナンスも同様で、金持ちになるのには株の売買などというギミックよりも、無駄な消費を抑えることや、将来を見据えた(株の投資も含めた)賢い長期的な投資と貯蓄が肝心です。 (この後は、2014年1月2日に加筆) ニューヨーク近郊のビジネスマン家庭で育った夫のスコットは13歳のときから近所の芝刈りのアルバイトをやって金融ポートフォリオをスタートしたというパーソナル・ファイナンスのベテランです。貯めるだけではなく、それを元に長期投資し、それを使って大学卒業後は友人とヨーロッパをバックパックで旅行し、バブル期の日本で仕事をしたときの資金を浪費せずに29歳でナンタケット島に家を購入したのでした。当時経済が停滞して不動産価格が徹底的に下がっていたので私たち若い夫婦にも買えた小さな家は、20年後の現在4倍以上になっています。娘が生まれたときには、彼女の将来の大学資金のために税金控除がある貯蓄も開始しました。そして、香港から「無職」の状況でアメリカに移住したときには、徹底的に消費を抑えることもしました。 日本の田舎育ちで「節約と貯金」という単純なやり方しか知らなかった私には考えもつかない対策の数々でした。このようにパーソナル・ファイナンスにたけた夫のおかげで、私たちは娘が1年に6万ドル(約6百万円)もかかる大学に入学したときに焦らずにすんだのです。 こういったパーソナル・ファイナンスに関する「常識」を、著者のRamit Sethiはブログで鍛えた若者向けの知的でユーモアある語り口で説きます。大学資金を調達するために自己学習し体験したパーソナルファイナンスの知恵を数年間ブログで紹介してきただけあり、みごとに隙がない内容です。 洋書ニュースで「日本人にとっては無意味」と書いた理由は、Sethiが教えるテクニックの多くがアメリカ独自のシステムに関連したものだからです。将来家などを購入するときに重要なクレジット・スコア、リタイアメントのための貯蓄401K、授業料のStudent…
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ロバート・キヨサキが次作「Conspiracy of the Rich」の内容をオンラインで無料提供
世界的なベストセラー「Rich Dad, Poor Dad( 翻訳版:金持ち父さん貧乏父さん)」で知られるRobert Kiyosaki(ロバート・キヨサキ)は、次作「Conspiracy of the Rich」をサイトに掲載し、登録した希望者にオンラインで無料で読む機会を提供しています。作品をシェープアップするための読者フィードバックを求めるための企画で、本日までに4万人以上が登録したとのことです。読者フィードバックを加えた書籍は今年9月に発売予定で、5月末のBook Expo Americaからのキャンペーンが予定されています。
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Book Expo America のお知らせ
5月28~31日にニューヨーク市で開催されるBook Expo America (BEA) に参加します。これは、米国の出版社、書籍販売業者、図書館員、作家などが参加する国際的な出版見本市で、今年の春期から年末にかけて発売される本の大部分がここで紹介されます。また、各出版社が厳選した本のサイン会に出席するためにベストセラー作家も一堂に集まります。テレビ番組の司会者、ミュージシャン、政治家も参加する大規模なイベントです。 私は土、日の2日間のみ参加を予定していますので、以下にターゲットを絞ります。作品の情報、書評、イベントのレポートなどをご希望の出版社、メディアのご担当者は、渡辺までお気軽にご連絡ください。 ●大手出版社のブースを訪問し、販売状況、一押し作品、注目の新人、などの情報を入手。●春期の新刊とこれから出る注目の作品のAdvanced Reader’s Copyを入手。●ヤングアダルト、ビジネス書、ミステリー、ファンタジー、など現在売れているジャンルに集中して情報と本を入手。●Book Expoで得た情報から今年の注目作品リスト作成。●全般的なイベントのレポート。 Book Expoで情報を得たい作品・著者リストについては、別ページに随時追加してゆきます。
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今月のビジネス・ウィーク誌ベストセラー(ペーパーバック編)
「売れているビジネス書」を知る参考としてビジネスマンが最も重視するBusiness Week誌ベストセラーリスト(ペーパーバック編)をご紹介します。下記は昨日発表された最新(2009年4月号版)のリストです。 2月13日に「マーケティングとPRの実践ネット戦略 」として日経BP社から翻訳版が発売された私の夫のThe New Rules of Marketing and PRが13位に入りました。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0470379286&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 1 SUZE ORMAN’S 2009…