Month: March 2009
私が好きな作家(1)-Candice Proctor
Candice Proctorには沢山の名前があります。本名のCandice Proctor名で書いているのは歴史ロマンス、C.S. Harris名で書いているのは歴史ミステリー(彼女の存在を知ったのはこれがきっかけ)、そしてご主人と共著している政治スリラーではC.S. Grahamという名前を使っています。 いずれも次世代に残るような高尚な文芸作品ではありませんし、大ベストセラーになるほど大衆ウケする娯楽作品でもありません。また、私が最も好きな作品を書いた作家でもありません。でも、「好きな作家のベスト10」を挙げるとしたら、たぶんその一人に入るでしょう。それは、登場人物に反映している彼女が好きだからです。 Candiceの父親は米国空軍諜報機関の管理職を務めており、彼女はドイツで育ちました。退職して大学教授になった父親の転職にともない米国に戻りますが、勉強ができるのに学校が大嫌いで、教師や体制と戦いすぎたのか高校を首席で卒業した生徒が行う慣わしになっている卒業式のスピーチをさせてもらえなかったというエピソードもあります(このあたり、私がすご~く共感するところです)。大学では考古学とラテンとギリシャの古典を学び、発掘にも参加しています。卒業後、オーストラリア、アジア、アフリカ、ニューギニア…と世界中を旅したのち、イギリスで発掘に参加し、CIAからリクルートもされました。中東の歴史で学士号を取り、18、19世紀ヨーロッパの歴史で博士号を取得したCandiceは、大学助教授の職に就きます。結婚相手は、ベトナム戦争も経験した軍人(現在は退職)です。彼もまたCandiceの父親のように陸軍諜報機関の士官でした。 放浪癖がある彼女はなかなかアカデミックな職に落ち着くことができず、本を書くことを考え付きます。「出版するのが容易だから」という理由でロマンスブックを書くことに決めますが、本人自身がロマンスブックファンではないために、なかなか出版されなかったいきさつをCandiceはこんなふうに書いています。ロマンスの分野に対する私の心境を完璧に代弁してくれています。(Candice Proctorのサイトより引用) I decided to try romances both…
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ベストセラーリスト(ペーパーバック編)
比べてみるのも面白いのではないかと思いますので、同じ週のPublishers Weeklyとニューヨークタイムズのベストセラーリストをご紹介します。 Publishers Weeklyベストセラーリスト(トレード・ペーパーバック) 1 WATCHMEN, By Alan Moore & Dave Gibbons. http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0930289234&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0930289234&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 2…
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無料で読めるオンライン洋書(2)
著作権が切れているクラシックを無料で読めるサイトはこれまでにご紹介しましたが、今日は現代の作品についてご紹介します。 eBookの将来性を見込んで力を注いでいるランダムハウス社などが、デジタルコンテントを無料で提供するキャンペーンが試験的に行われています。多くは、Kindle版なので日本に住んでいる皆さんには利用できませんが、オンラインで読めるスタイルのもの、あるいはダウンロードが可能なものもあります。それらを洋書ファンクラブのほうでご紹介します。多くの作品は、ベストセラーになったものです。(ハーレークインロマンス社の場合はベストセラー作品ではなく、あまり売れていない新人のもののようですが) 作品はこちらでごらんください。期間限定ですので、キャンペーンが終了すると読めなくなります。ご了承ください。
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アメリカ人男性に人気のスリラー-The Girl with the Dragon Tattoo
著者:Stieg Larsson2008年9月初刊スリラー/ミステリー すべてがパッケージになったエキサイティングなミステリー http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1847245455&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0307269752&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 スウェーデンビジネス界の大物のスキャンダル記事を書き名誉毀損罪で実刑判決を受けたジャーナリストのBlomkvistは、パートナーと発行しているビジネス雑誌の経営危機に直面する。雑誌を守るために一時的に第一線を退いたBlomkvistは、自分を訴えた男の敵であるビジネス界重鎮から何十年も前の姪の失跡の謎を解明するように依頼される。Blomkvistが偶然にパートナーを組むことになったのは、体中にピアスをしドラゴンの刺青がある天才ハッカーのSalanderだ。小柄で少女にしかみえないSalanderは、アスペルガー症で精神的なトラウマを抱えているので他人を信用しないし寄せ付けない。けれども、しだいにBlomkvistにはなついてくる。The Girl with the Dragon Tattooは、ひと癖もふた癖もある登場人物たち、複雑なプロット、スピーディーな展開、ダークな秘密、バイオレンス、そしてロマンスとすべてがパッケージになったスリラー/ミステリーである。ミステリーとしてはやや弱い部分もあるが、スウェーデン語の英訳ながらこれだけアメリカで人気が出たのは、パッケージとして優れているからだ。特にビジネスマンの男性ファンが多いのは、作者のLarssonが実際にビジネス分野でのジャーナリストだから思考回路が似ていることもあるかもしれないが、実は独立心がある魅力的な女性たちが放っておけないBloomkvistの受動的なプレイボーイぶりに感情移入しているからではないかと私は推察している。The Girl with the Dragon…
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SonyがGoogleとの提携でebookを追加
3月19日のPublishers Weeklyによると、米SonyはGoogleとの提携で、public domain となっている書籍(著作権が消滅したもの)のEbookを50万追加したことを発表しました。Googleが電子化した書籍を,The ebook Store from SonyでSonyの電子書籍リーダーPRS-505 あるいは PRS-700 に無料でダウンロードできるようになります。
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大手書店バーンズ&ノーブルが大規模なデジタル・イニシアティブを開発中
Publishers Weeklyによると、米大手書店チェーンのバーンズ&ノーブルのCEO、Riggioは大幅なデジタル・イニシアティブをすでに開発中であることを語りました。けれども、その具体的な日程や内容については言及していません。 バーンズ&ノーブルは、Amazon.comを代表する競合に対抗するために今年3月5日に1.5 百万 のebookを抱えるFictionwiseを15.7百万ドルで購入しており、近い将来に書籍のみならず、雑誌、新聞まで、多岐にわたったデジタル・コンテントを販売する予定です。 Fictionwiseは、携帯、PDAs, eBook デバイス (iPhone, Symbian, Windows Mobile, Palm OS, Java…
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読むだけでも美味しい本-French Lessons
著者:Peter Mayle2001年出版エッセイ/食・文化 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0375705619&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0375418857&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4309203620&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 私のエスカルゴ初体験は28年前の夏、パリでのことです。その前日まで私は夏休みを利用してロンドンで英語学校の夏期コースを受講していました。当時の為替レートは1ポンドが約450円(現時点では136円前後)。今英国に旅行する方々は同じ貯金をしていてもあの頃の私より3倍以上リッチということなります。私は片手なべを日本から持ち込んだだけでなく、倹約のためにときどき1日1食(コースに含まれている学校の朝食)に切り詰めてなんとか無事切り抜けました。ほっとしたのもつかの間、帰国の日にヒースロー空港がストで閉鎖になり、急遽パリ経由ということになってしまいました。せっかくいただいたオマケの「パリ1泊」ですが、フランに両替するお金が残っていません(日本に着いてからのタクシー代もいりますし)。でもお腹は空きます。そこで私は5百円札を持って受付カウンターに行きました。「うわぁ、こんなお札見たことがない」とはしゃいでいた受付の若いお兄さんですが、フランに変えて戻ってきたときには複雑な表情になっていました(こんなに安いとは思っていなかったのでしょう)。そのフランを持っていかにも安そうなレストランに思い切って足を踏み入れたところ、客が誰もいないのです。悪い兆候なのですが、逃げ出す勇気もありません。渡されたメニューを受け取り従順にテーブルにつきました。読むにつれ、冷や汗が……。安いレストランでも私が持っているお金で注文できるのは前菜のいくつかだけなのです。でもそこはもともと食い意地がはっている私のこと、すぐに立ち直って「せっかくのパリなのだからエスカルゴを食べよう」と決意しました。 安いレストランですから、時間の節約のためでしょう、それぞれのテーブルにはすでにパンが入ったバスケットが置いてあります。それをエスカルゴのガーリックバターに浸した美味しさときたら……、まるでHeavenでした。ロンドンを経ったときからずっと食べていませんから、4人分と思われるパンなんかあっという間に平らげてしまいました。でも、まだお腹が一杯にはなりません。ガーリックバターも残っています。レストランを見渡すと、まだ客は私ひとりです。ギャルソンも休憩しているのか見当たりません。私は空になった自分のバスケットをつかみ、隣の隣(隣だとあからさまだから)のテーブルに行ってパン入りバスケットと交換し、風のようにすばやく戻ってきました。これが私のエスカルゴ初体験で、いまだに5百円以内で食べた最高のフランス料理です。 こういった食に関する体験談のエッセイで私が一番好きなのは、イギリス人作家のPeter Meyleのものです。引退してフランスのProvenceに引っ越したときの滑稽で心温まる体験を描いた「A Year in Provence」ですっかりファンになり、小説のHotel Pastisも含め、ほとんど全作品を読みました。 そのMeyleが2001年に久々に新刊French Lessonsを出したとき、同じ場所で講演する機会に恵まれた夫が「私のワイフがあなたの大ファンだから」とお願いしていただいたのがこのサインです。…
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青年たちとライオンの感動的な再会-A Lion Called Christian
YouTubeで世界的にヒットしたChristian the Lionのビデオをご存知の方は多いのではないかと思います。 オーストラリア人の青年Anthony “Ace” Bourke と John Rendallが1969年にハロッズのペットショップで子ライオンを買い、Christianと名づけて飼っていたのですが、大きく育ってゆくライオンをロンドンでペットとして育てるのは無理だと彼らは気づきます。動物園にChristianを入れたくないAceとJohnは、アフリカに彼を戻してやることに決めます。そして、1年後完全に野生に戻ったChristianにAceとJohnは会いにゆきます。野生に戻ったライオンは彼らのことを覚えているはずはない、と思うのですが。。。というのが下記でご紹介する再会の瞬間です。「一杯のかけそば」的なお涙頂戴のストーリーには「けっ」と思う私ですが、これは本当にあった話。私も(ライオンではなく猫で)似たような経験をしたもので、つい思い出して涙してしまいました。 この本は、1971年に出版されたオリジナルに改訂を加えたものです。きっと私も買ってしまうだろうな、と思います。 http://media.barnesandnoble.com/linking/index.jsp?skin=oneclip&ehv=http://media.barnesandnoble.com&fr_story=c862a0ffa7bb8a4d2bb561ce4948e3f400a306fc&rf=ev&hl=true http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0767932307&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0593063309&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1