Month: March 2009
今月のビジネス・ウィーク誌ベストセラー(ハードカバー編)
Business Week誌の月間ベストセラーリスト(2009年4月号)です。 これらの多くはこれまでのベストセラーリストでご紹介していますので、そちらをご参照ください。 1 OUTLIERS by Malcolm Gladwell 2 GET MOTIVATED! by Tamara Lowe 3…
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マサチューセッツ伝統校での都市伝説の元凶は?
1635年に設立されたBoston Latin Schoolは、アメリカで最も古い学校です。多くの有名人を生み出したこの由緒ある学校で、最近「人間との混血のバンパイアの生徒がいる」という奇妙な都市伝説が広まっているというのです。そこに警察が別の用件で学校を訪問したものですから、「生徒がバンパイアに噛まれた」とか「バンパイアが逮捕された」といったとんでもない噂がいっきに広まり、ついに校長が保護者と生徒へ公式通知を書く羽目になりました。でも、これが新聞沙汰にまでなったのは、吸血鬼なんか信じるとは思えない秀才が揃ったBoston Latinでの出来事だったからでしょう。もちろんバンパイアなんているはずもなく、噂の元凶は何人かの女子生徒がgoth(ゴス、またはゴシックファッション。写真はwiki-mediaより)の女子学生を苛めるための嫌がらせだったようです。学校側は「いじめはない」と説明していますが、取材で”吸血鬼”の子たちは「青白くなるために血を抜いている」という噂を口にする生徒がいるのですから、都市伝説はすぐには消えないでしょう。 こういう都市伝説が生まれるのはアメリカでTwilightをはじめとしたバンパイア・ブームがあるからでしょう。バンパイアだけでなくパラノーマル・ファンタジーが、特にヤングアダルトとロマンスブックの分野でブームになっています。生粋のロマンスブックではファンタジーの要素はエロチックロマンスのためにこじつけられた感じなので、個人的にはそれらをファンタジーとは呼びたくないのですが……。どちらにしても、ファン層は圧倒的に女性です。今日は巷にあふれるパラノーマル小説を代表するベストセラーを(人気の順に)ご紹介します。 1.Twilightシリーズこれは言うまでもありませんよね。ご興味ある方は本ブログの書評をごらんください。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0316015849&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 2.Southern Vampire Mysteriesシリーズ(第一巻 Dead Until Dark)これは、大人のロマンスブックとミステリーが融合した作品。 あまりにも人気があるので試してみたのですが、個人的には登場人物と文章ががさつで好きにはなれない本でした。人の心が読めるウエイトレスのSookieとバンパイア、狼人間、シェープシフターといったホットな男性たちとのロマンスにミステリーとアクションが加わったものです。1巻ずつ一応完結するミステリーの形をとっていますが、基本的には大人のロマンスブックなのだと思います。TV番組「True Blood」は本よりもさらに過激とのこと。 本格的なミステリーやゴシック作品、文学を求める方には決しておすすめできませんが、軽く読み捨てられる娯楽作品を求める方は、簡単な英語なので試してみると良いかもしれません。アダルト度は★★★★★。…
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注目の新刊-I Will Teach You To Be Rich
今週の月曜にAmazon.comの本とKindleで突如トップに躍り出た本です。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0761147489&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0761147489&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 著者のRamit Sethiと出版社のWorkman Publishingがマーケティングとして、この日のみ、オンラインで本を購入した人の中から1時間ごとに抽選でKindleを1つプレゼントするという企画を行ったところ、午後2時にはAmazon.comでトップになりました。若者向けの本であるだけでなく、プレゼントの予告もブログとTwitterを使い、当選者の発表もYouTubeのライブとTwitterという若者をターゲットにしたものです。 著者は最近スタンフォード大学を卒業したばかりの非常に若いインド系アメリカ人ですが、すでにPBwikiを共同創始しています。アメリカの若者に「どうすれば金持ちになれるか」を教えるパーソナルファイナンスの本であり、内容的には日本人にとってはほぼ無意味ですが、今後が注目される作家です。 書評は洋書ファンクラブでどうぞ。
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滑稽で哀しい愛の方程式-On The Nature of Human Romantic Interaction
Karl Iagnemma2003年純文学/短編集 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=B001QCXBWU&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0385335946&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 作者のKarl Iagnemmaは、大学で機械工学を学び、マサチューセッツ工科大学の大学院でロボット工学を研究しながら短編を出版してきた「変り種」です。この短編集のタイトルになっている「On The Nature of Human Romantic Interaction」はParis Review Discovery Prize…
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洋書初心者におすすめの感動作-The Music of Dolphins
作者:Karen Hesse1998年ニューベリーメダル受賞作児童書:9-12歳(小学校3,4年生から) 初心者でも簡単に読め、絵本では味わえない読後感を与えてくれる児童書 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0590897985&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0192719602 サーチエンジンのおかげでこのページから訪問される方が多いようですので、追記させていただきます。 洋書初心者の方は、(この本ではなく)2010年に始めた「洋書ファンクラブJr.」をぜひ参考にしてください。 本ブログの「失敗しない完読テクニック」シリーズですでにお話ししたことですが、(絵本が趣味、という人は別として)洋書初心者が絵本から始めることにはあまり賛成ではありません。絵本と大人の本はまったく別物だからです。洋書初心者に「The Music of Dolphins」をお勧めするのは、読みやすく、短く、そして大人でも満足できる内容の本だからです。次は初心者が読了するためのコツです。 まず、全体の内容を把握します。(理想的にはネタばれは良くないのですが、楽に読了することを目指していますので、読み始める前におおまかな筋書きを知っておくことをおすすめします) いったん読み始めたら、知らない単語が出てきても辞書はひかず、少々分からない文章が出てきてもどんどん先に進みます。 読了後にもう一度辞書を引かずに読んでみます。すると、最初に読んだときに分からなかった単語の意味が想像できるようになります。 (気になる方は)2回目に読んでどうしてもわからなかった単語の意味を調べます。…
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ヌードモデルの冷静な体験談-Live Nude Girl
Kathleen Rooney2009年回想録/エッセイ http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1557288917&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1557288917&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 かつて私は絵を描いていたことがあります。売ることを考えずに趣味で描くとしたらもっとも楽しいのはヌード画です。この8年ほどまったく絵を描いていないのですが、それまではヌードモデルを使ったセッションに何度も参加しています。5分ごとにポーズを変えてそれをスケッチするエクササイズから油絵を20分で描くエクササイズ、3時間かけて描きあがえるもの、などいろいろありますが、すべて短時間で1度きり。ひとつのモデルを何度も使って絵を完成させるようなセッションではありません。 いったん始めると描くことに夢中になりすっかり忘れてしまうのですが、最初の30秒くらいは気まずい緊張感を覚えます。「視線は顔に合わせるべきなのか」、「羞恥心を覚えたら失礼なのだろう」、「羞恥心を覚えたら失礼だから、それが表情に出ないようにしなければ」、「モデルは人として扱って欲しいのだろうか、それともオブジェクトとしてみなしてほしいのだろうか?」といった疑問がどっと押し寄せ、ちょっとしたパニック感を覚えるのです。ヌードモデルのセッションそのものに慣れても、「最初の30秒」の緊張感は消えません。 私がKathleen Rooney著の「Live Nude Girl」に興味を抱いたのは、私がヌードモデルたちに直接尋ねることのできなかったいろいろな質問の答えを知りたかったからです。著者のRooneyがモデルをしていたのはボストン界隈なので、私の縄張り(?)とも一致します。時間的にオーバーラップしていないので直接彼女を使う機会には恵まれませんでしたが、写真を見る限りは大きな瞳とセンシュアルな唇が魅力的な美しい女性です。厳格なカソリックの中流家庭で育ち、結婚し、大学で創作を教える知的なRooneyが、(貧乏学生ならともかく)なぜゆえヌードモデルをまだ続けているのか、私でなくても不思議に思う人はいるでしょう。 私が描いたモデルのほとんどはKathleen Rooneyのように若くて美しい女性ではありませんでした。美術専攻の栄養失調気味の女子学生もいましたが、残りはやせた60歳くらいの男性、太鼓腹でひげ面の中年男性……といった非常にアセクシャルな人々で、もっとも印象に残っているのは体重100kgをはるかに超えるふくよかな女性でした。私が「なぜモデルをやっているのか?」と質問する機会に恵まれたのは、残念ながらこの若くはない(30代後半か40代前半の)ふくよかな女性だけです。太っているからこそ、彼女はやせたモデルよりもアーティストに人気があり、引っ張りだこだという噂でした。リッチな町で不動産エージェントをしている彼女にとってヌードモデル業は「趣味」にすぎません。自分のことを「exhibitionist」と呼ぶ彼女は、「オブジェクトとして賞賛の目で鑑賞される興奮は病み付きになる」と笑顔で教えてくれました。Rooneyの答えがこの不動産エージェントのものと大きく異なるのかどうか、というのが「Live Nude Girl」を読むにあたっての私の興味の焦点でした。 個人的に興味を覚えたのは、私がアーティスト側で感じた「最初の30秒」をRooneyがモデル側から説明してくれたことです。でも、よく他人が比較する「売春とヌードモデルの差」やNakedとNudeの差を古典などの文献を使って説明する部分にはさほど興味を覚えませんでした。たとえば、Nakedは性的なものを含めて赤裸々になることであり、そこには羞恥心が付随します。けれども「Nude…
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これから出る注目の新刊- The Match King: The Financial Genius Behind a Century of Wall Street Scandals
ねずみ講に似た巨額詐欺で現在世界的に注目されているMadoff事件ですが、これはMadoff詐欺を含め、現存するすべてのPonzi Schemeの大元となるコンセプトを作り上げ、1920年代に巨額の富を築き上げたIvar Kreugerの実話です。「投資者心理のマスター」であった彼がいかにして現在のデリバティブの前身となるものを作りあげたのか、それがわかる注目の本です。歴史書としても好奇心をかきたて、ベストセラーの予感がするノンフィクションです。5月発売の予定。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1861979665&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1586487434&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1
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ダークでセンシュアルな歴史ミステリー-What Angels Fear (Sebastian St. Cyr Mystery 1)
作者:C.S. Harris (Candice Proctorのミステリー用ペンネーム)2005年発行歴史ミステリー(19世紀英国)/政治スリラー/ロマンス(やや) 政治的策略、スパイ、過去ある女優、猟奇殺人……一度読み始めると病みつきになる、19世紀ロンドンの上流階級を舞台にしたダークなミステリーシリーズ http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0451219716&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0451219716&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 「What Angels Fear」は、昨日(3月20日)ご紹介したCandice Proctor(ミステリー用ペンネームC.S.Harris)のSebastian St. Cyr ミステリーシリーズの第一作です。 1811年の英国が舞台。絶望的な出来事を忘れたいがために戦地に諜報員として赴いたデヴリン子爵のSebastian…