Month: April 2009

ダークでロマンチックな歴史ミステリー-Silent in the Grave

Deanna Raybourn2007年12月初刊ミステリー/歴史スリラー/ゴシック・ロマンス アガサ・クリスティ賞受賞作品 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0778325245&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0778325245&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ヴィクトリア時代の英国貴族社会が舞台。Juliaの夫Sir Edward Grayが謎の死を遂げ、夫が生前に調査を依頼した私立探偵のNicholas Brisbaneが現れて誰かが夫を脅迫していたことを伝える。 BrisbaneはJuliaに疑いを抱いているのか、出会ったときから敵意のこもった態度を取る(第3巻でこの理由が判明する)。これまで妻として、娘として、おとなしく言いなりになってきたJuliaは過去の自分と決別し、自分の意見を持ちはじめる。 Brisbaneのかたくなな反対を無視してみずから謎解きに加わり、男娼専門の売春宿、よそ者には危険なジプシーのキャンプ、など上流階級の女性にはご法度のヴィクトリア時代の暗いロンドンを徘徊するうちに、幼なじみとしてすべてを知っているつもりだった夫の真の姿が明らかになってくる。 変わり者が集まったJuliaの家族、忠実な執事、癖のあるメイド、ジプシー集団、など登場人物がカラフルに描かれ、それだけでも十分楽しめる読み応えある歴史ミステリーシリーズの第一巻。   ●ここが魅力! 他の歴史ミステリーより登場人物のキャラクターに魅力があります。…

紅茶(またはポートワイン)を飲みながら読みたい歴史ミステリー-And Only to Deceive

Tasha Alexander2005年歴史ミステリー/ロマンス(ジェーン・オースティン的) 「エリザベス:ゴールデン・エイジ」の作者によるビクトリア時代の歴史ミステリー http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=006114844X&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=006114844X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 主人公のEmilyは娘をより良い相手と結婚させることを生きがいとしている母から逃れるために子爵(Viscount)のPhilip Ashtonと結婚するが、直後に夫はアフリカ旅行中に死亡する。愛なく結婚したために夫の死を悲しまなかったEmilyだが、2年の喪が明けようとしているときになって生前の友人たちから夫のことを学び、手遅れになった今になって恋心を抱き始める。夫が好んだらしきギリシャ文学や古美術品のことを学ぶうちに、Emilyは彼が偽造品の売買に関わっていたのではないかと疑い始める。そんなとき、夫が生きている可能性がある、というニュースが舞い込む。親しげに近づいてくる男性のうち誰が味方で誰が敵なのか、Emilyは悩みながらも自分で謎解きを試みる。 ●ここが魅力!エリザベス1世の黄金期を描いた映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」をご存知の方は多いかと思います。その原作者Tasha Alexanderが次に手がけたのが、Victoria時代の貴族の若き未亡人Emily Ashtonが主人公のLady Emily Mystery シリーズです。英国ビクトリア時代(あるいはその前後)の貴族ミステリーの楽しみ方は、現代の自分とはかけ離れた生活にどっぷり浸ることです。自分ひとりでは着替えもせず、コルセットをつけているから物を落としても自分では拾えないような貴婦人の生活は、紅茶やポートワインをいただきながら読めばさらに楽しいものです。また、ロマンスもオースティンやブロンテの流れをくんだもので、それも楽しめます。 多くの読者が指摘するのは、本ブログでご紹介しているSilent in…

なぜNeil Gaimanが娘の高校に?

昨日、Neil Gaimanが娘の通っている高校に突然姿を現しました。そうです、映画化されたCoraline, Stardust, そして2009年ニューベリーメダル受賞作The Graveyard BookのNeil Gaimanです。 イベントでもないのに、なぜゆえNeil Gaimanはレキシントン高校に来たのでしょう? それには、Dresden Doll(ドレスデンドール)のシンガーAmanda Palmer(アマンダ・パルマー)が関わっていると私は推察しています。 Amanda Palmerは、レキシントン高校(LHS)の卒業生で、ミュージックビデオ(下の作品で使っているのがLHSとその高校生たち)やショーに高校生を使ったり、高校で行われる演劇に参加したりしてくれています。特に今年の春のプロダクションはPalmerのオリジナルということで、新聞記事にもなりました。 そして、Palmerのソロデビューアルバム「Who…

戻ってくるのを待っている本

洋書ニュースのほうで以前にお話ししたことなのですが、姑の年齢のオールドマネーはジュエリーとかにはお金をかけるくせに、こと本になると「節約しなくっちゃ」と昔ながらの良識を取り戻すのです。ですから、なかなか新刊のハードバックを買わないし、友人の間でまわし読みします。私が本をプレゼントすると、「捨てては申し訳ない」と読み終えたものを返してくれます(家を片付けたい、というのがメインの理由ですが)。次は、今年になってから彼女とおともだちの好みを考慮して贈った本のリストです。フランク・ロイド・ライトの女性関係に関する小説(Loving Frank, The Women: A Novel)が彼女たちの間で大人気なのです。そろそろ読みたいのだけれど、いつ戻ってくるのかな?戻ってきたら書評を書きますね。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141034262&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1433260638&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0670020486&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 次は、私が買ったのじゃないけれど、姑が友人とまわし読みした後で送ってくれることになっている本です。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0812975405&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312199430&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0552774987&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 でも、戻ってくるのを期待して私が読みたい本をプレゼントすると、そういうのに限って「飛行機に置き忘れちゃった」とかアクシデントが起こるのです。以下は、本を貸した友達が読み終えた後で(姑に無断で)図書館に寄付しちゃった残念な本です(彼女たちの好きなタイプの本じゃなかったみたい)。それ以来、「私が読みたい本」ではなくて、彼女たちが好きそうな本を選ぶことにしています。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0618711651&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1…

注目の新刊-The Tourist

俳優のジョージ・クルーニーが映画オプション権を購入したスパイスリラー。クルーニー本人が主人公のMilo Weaverを演じるつもりらしい。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0312369727&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312369727&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 Milo WeaverはかつてCIAでTouristと呼ばれるアイデンティティを持たずに世界中を旅する特別任務についていた。その部署を引退してデスク職に異動し、家族を持ったのだが、過去の仕事に引き戻される。評論家だけでなく、読者からも絶賛されている作品。 まだNYタイムズ紙ベストセラー入りしていないが、入っているものよりもAmazon.comでは売れているし、読者評価が多い(だからNYタイムズ紙ベストセラーはあまり信用しないほうがいい)。来週にはNYタイムズ紙ベストセラーにも入るであろうが。。。

今週のニューヨークタイムズ紙ベストセラー(フィクション・ハードカバー編)

2週間飛ばしたからではなく、今週は実際に初登場が多い週です。ほとんどがミステリーかスリラーのシリーズもので、特に注目作品はありません(アクビ)。もっと良い新刊が沢山出ているのですけれどもね。。。。「だからNYタイムズベストセラーは嫌なのよ」と思っているのは私だけではありません。沢山の作家がそう思っています。どのデータに重きを置いて数値を換算するのかはマル秘。公表する義務もないのです。必ずしも「売れてる」から載るのではなく、「載ったから売れる」ってことがよくあります。これからは、リストだけにして、注目の新刊だけご紹介してゆこうかと思いますが、とりあえず今週は初登場のみご紹介します。後は過去のベストセラーリストをどうぞ。 1 TRUE DETECTIVES, by Jonathan Kellerman. Alex Delawareシリーズ第24作目。俳優のメル・ギブソンを連想させる悪役が登場するとのこと。読者評価は分かれている。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0345495187&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 2 HANDLE WITH CARE, by…

注目の新刊-Lowboy

ニューヨーク市の地下鉄を舞台とし、妄想型統合失調症の16歳の少年が主人公の現在話題になっている現代文学です。評論家からの絶賛を浴びているだけでなく、4月3日からAmazon.comで売り切れになっています。書評は洋書ファンクラブでどうぞ。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0374194165&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1847671519&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

話題の現代文学-Lowboy

John Wray 2009年3月 純文学/現代文学 僕が生まれてきたのには理由があるはずだ-胸に焼きつく統合失調症の少年の叫び http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0374194165&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1847671519&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 妄想型統合失調症に罹患している16歳の少年Willは、低い場所(low)にある地下鉄が好きだからLowboyと呼ばれている。1年半前にガールフレンドのEmilyを地下鉄の線路に突き落として精神病院に送られたが、自分には地球の温暖化を止める使命があると信じ、地球を滅亡から救うために服薬をやめ、病院を抜け出して地下鉄に潜伏する。ニューヨーク市警察の行方不明者捜索の担当者Ali Lateefは、オーストリア生まれのWillの母Yda(WillはVioletと呼ぶ)から得る情報を参考にWillの行方を追う。だが、彼はWillを追うことよりもVioletとWillの謎解きに熱中しているようだ。いっぽう、心理的な問題と家族問題を抱えているらしいEmilyは、統合失調症ゆえにWillに惹かれているが、ティーンゆえに深い理解をしているわけではない。Willに誘われて衝動的に一緒にNY市の地下に広がる闇の世界を逃亡することにする。 妄想があるWillの目からは人が常に姿を変えるが、Violet、Ali、Emily、精神科医など脇役の言動も普通ではない。正直言ってこれら脇役には苛立ちを覚えたが、妄想と現実が揺れ動くWillの世界は全てブリリアントとしか言いようがない卓越した表現である。ずっと昔に実習で妄想型統合失調症の患者に接したことを思い出す。ことに彼の胸いっぱいにあふれる愛とヒロイズムは、何度読みなおしても、リアルで、美しくて、悲しい。ブラックな笑いを誘う場面はいくつもあり、ドライな文章でメロドラマチックなところはまったくないのだが、全体を通じてWillが登場するすべての箇所が泣きたいほど切ない。天使のように美しく創造されたWillの、美しいが壊れたマインドとマニアックなヒロイズムの不条理。彼の存在が許されない世界の無情が悲しい。 I thought there was a…