Month: June 2009

Book Expo AmericaのニュースUpdate

Book Expo Americaで得た絵本の新刊や自費出版のニュースについては洋書ファンクラブをどうぞ。 オーバーラップする話題がありますので、ときどき洋書ファンクラブもチェックしてくださいね。

BEAで出会った「空飛び猫」コンビの新作-Cat Dreams

Ursula K. Le Guin(文)、S.D.Shindler(イラスト)児童書/読解レベル(Reading Level):プレスクール=初心者向け2009年9月発売予定 Ursula K. Le Guin(アーシュラ・K.ル=グウィン)は、「闇の左手」や「ゲド戦記」など多くの名作を生み出したSFの大御所です。これまでにネビュラ賞を5回、ヒューゴ賞を5回、そしてNational Book Awardを1回受賞し、三度もピューリッツアー賞のファイナリストにもなっています。深い哲学を感じさせる彼女の作品には、SFファンでなくても心に響くものを感じるでしょう。多才なLe Guinは詩や児童書も書いています。日本では村上春樹が翻訳していることで有名な「空飛び猫(Catwings)」シリーズもそうです。S.D.Shindlerのイラストは猫らしいしぐさをよくとらえていて、猫好きにはたまりません。 さて、このコンビが9月にふたたび新作を発表します。猫のお昼寝のお話です。こんなふうに簡単な英語ですが、何度も読みなおせるので猫好き初心者におすすめです。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=054504216X&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=054504216X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1…

BEA報告-アメリカでは自費出版が元気になっている

昔は「自費出版」というと「できが悪くてどこの出版社も手を出さなかった作品」という見方が強かったのですが、最近は自費出版からニューヨークタイムズ紙ベストセラーになったStill AliceやAmazon Encoreの第一弾に選ばれたLegacyのような例もあり、stigmaがなくなってきました。Book Expo Americaの規模が大幅に縮小しつつあるなか、今年は史上初の自費出版Bookフェアが開催されることになっています。大手出版社にとっては寂しさが漂う今年のBEAですが、自費出版やインディ出版にとっては「これまでで最も手ごたえが良いBEA」だったようです。自費出版の世界で最も知名度が高いのは、Lisa GenovaがStill Aliceを自費出版するときに使ったiUniverseでしょう。こんなふうに、予算やニーズにあわせていろんなパッケージから選べます。簡単明瞭なシステムでしかも透明性が高いので、日本の自費出版で問題になっている「だまされた」という苦情が発生しにくいのです。600ドル(約6万円)で本を出版でき、一番デラックスなサービスでも20万円ちょっと、というのは魅力ですよね。 そのiUniverseを使って自費出版した作家たちから次の2作をいただきましたので、「必ずちゃんと読んでAmazon.comに書評を載せます」と約束しました。特にCurrently DeadのBob Goodさんはユーモアたっぷりの好人物。この方が書いたユーモアSFということですから、期待も高まります。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0595457843&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0595476910&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

Book Expo Americaからのニュース

新しい電子ブックリーダーなどBook Expo Americaからのニュースは洋書ニュースのほうに載せていますので、そちらもご覧くださいね。 WWRのホットなサイン会 Kindleの競合電子ブックリーダーを試す

BEA報告-ニューヨーク市まで行って隣人のプロジェクトを知る

ニューヨーク市のBEAでひょっこり出くわしたのは、わが家から一軒だけ離れたお隣さんのスコット(ファーストネーム)。料理がすごく上手でとってもいい人なのだけれど、いったん喋り始めると2、3時間はノンストップで話せるというちょっと恐ろしい癖があります。MIT(マサチューセッツ工科大学)出版との企画で2日間だけ来たとのこと。私が読まないユダヤ教の学術的な分野が専門の作家なのですが、彼が「今こういう本にも関わっているんだ」と見せてくれた本のPR用パンフを見てびっくり。実は私が注目していたアート本のひとつだったのです。   2009年9月にMIT Pressから発売予定のAsylumは、アメリカで最大規模の精神科病院の廃墟の写真を中心に、エッセイでアメリカの精神医療の歴史を振り返るものです。鳥肌が立つほどパワフルで芸術的な写真のサンプルを見て、「ぜひ入手したい」と思っていたのでした。それを伝えると、「9月だから完成まではまだまだ。できたら持ってゆくよ」とのこと。それよりもスコットは「掘り出しものの中華料理店をみつけたから、今度一緒に行こう」とか「レキシントン公立学校の教育は私立よりもよい。うちの息子は…」といつもの話題に切り替え。ニューヨーク市のBEAでもお隣さんの井戸端会議になってしまうのでした。

Book Expo AmericaでのWorld Wide Raveのホットなサイン会

今年のBook Expo Americaは無料配布の本が少なくて、不況の影響をひしひしと感じさせるものでしたが、こんなふうにブースでのサイン会は盛況でした。これは、Wiley社のブースで行われた私の夫David Meerman Scottの新刊World Wide Raveのサイン会です。このようにメディアが押しかけてけっこうにぎやかなものになりました。講演をしながらサインをする、というWiley社による新しい試みです。   これは、サイン本を求めて並んでいる人々。 日本に住んでいる人には全くピンとこないでしょうが、アメリカでOprahほど知名度が高いのがセックス・セラピストのドクター・ルースことRuth Westheimerです。これまでに出した本は40冊近くあり、アイビーリーグ大学でも教えているれっきとした心理学者ですが、最近では自分自身のパロディとして映画やテレビのコマーシャルに出演しているサブカルチャーの有名人でもあります。そのDr. Ruthが私の夫のサイン会+スピーチに突然現れたのですからびっくり。 81歳の彼女はテレビで見るよりもずっと小柄で、一見「かわいいおばあちゃん」という感じですが、頭脳は私の倍以上シャープです。夫が私を軽く紹介し握手をした後で彼女はちょこんと椅子に腰掛けて夫のスピーチに真剣に聞き入っていました。講演の後で何十人もの人が有名人の彼女に話しかけて握手をしたり写真を撮ったりしていたのですが、そのさなか突然私のほうに近づいてきました。そして、名札も見ずに「ユカリ」とにこやかに話しかけてきたのです。そして「Davidに『スピーチで私のことを話してくれて、ありがとう』と伝えておいて。彼は本当に話が上手だわ」と言って去ってゆきました。10分前にあったことさえ覚えていない私にとって、Dr. Ruthの記憶力は魔術に近いものです。印象深かったのは、有名人なのに誰にでも暖かく対応するところ。Wiley社のブースに置いてあったミントキャンディーを「握手してください」と近寄る人に「どうぞ」と配っていました。これまで彼女の本を読んだことはないのですが、せっかく夫がサイン本をもらったことだし読んでみようかと思います(でも、ちょっと外では読めないかも)。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0470429461&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1…

BEAにてKindleの競合電子ブックリーダーを試す

10月7日追記ニュース:世界のどこでも電子書籍を購入できる国際版のKindleが発売されました。 下記はオリジナル記事: Kindleが独走しているような電子ブックリーダーの世界ですが、ネットで情報を集めているだけでなくちゃんと試してみるべきだと思って競合2種をチェックしてみました。 まずはSonyの電子ブックリーダーです。Kindle2より優れている!と感じたのは残念ながら暗い場所でも読めるように点灯できるという1点だけでした。ふれた感じも扱い方もKindle2のほうが1ランク上ではないかと思いました。Kindleユーザーにとって,Sonyの最大の問題は電子ブックリーダーに直接e-bookをダウンロードできないということ。しかも、これを持っているユーザーの話では、Sony ebook Storeからマックに直接ダウンロードできないのだそうです。PCにダウンロードしてからUSBでMacに移すのは面倒でしょうがない、と彼は文句を言っていました。Sonyの営業によるとこれは改良されるそうですが、「遅れてるなぁ」というのが正直な感想です。(追記:その後Sonyは改良した製品を発表しています) そのSony電子ブックユーザーが私に「注目している」と言ったのが英国、欧州、アメリカで発表されたばかりの英国生まれのCOOL-ER電子ブックリーダーです。 以前「ギミックっぽい.売れるとは思えない」という否定的な評価を読んでいたので、まったく期待していなかったのですが、やっぱり自分で体験してみるものですね。私は異なる印象を受けました。たしかにKindleよりは安っぽくて、単純なつくりです。キーボードもありません。もちろん、Sony電子ブックリーダーのようにe-book storeから直接ダウンロードもできません。けれども、Kindle購入をためらっている人を説得できるとしたら、SonyではなくCOOL-ERだと私は感じました。(追記:その後Kindleが値下げし、COOL-ERで購入できる電子書籍の価格がAmazon.comのKindle版価格より遥かに高いことからCOOL-ERを購入する理由がまったくなくなりました) まず目に付くのは、iPodのようにピンクやブルーといった楽しい8つのカラー。Kindle2発売のときにStephen Kingが書いたURに登場するピンクのKindleを連想します。そして、決定的に魅力なのは、Kindle2より100ドル以上安いことです。キーボードがなく、 text-to-speech機能もなく、 WiFiまたは Whispernet などで直接e-bookをダウンロードできない(USBまたはSDカードを使ってコンピュータからダウンロードする)、という難点が、Sonyであれば問題に感じても、Kindleの約半分の軽さで100ドル以上安い、ということで「許してやろう」という気になるのがユーザー心理のようです。Sonyの電子ブックリーダーのブースで製品をチェックしていたのが年輩の数人でしかなかったのに比べ、ここには若者を含めてすべての年齢層が揃っていました。Sonyではちょっと質問する程度ですが、COOL-ERのブースではみんな真剣に使い心地をチェックしています。Sonyのブースで出会ったSony Readerユーザーが「電子ブックリーダーが200ドルの壁をやぶったらiPodのように爆発的に売れる可能性がある」と言っていましたが、それを実感する光景でした。COOL-ERを開発したのはIntereadという無名の会社。写真は、創始者でCEOのNeil…