学校での銃乱射事件の「その後」を描いた2010年全米図書賞受賞作品 mockingbird

Kathryn Erskine
ハードカバー: 235ページ
出版社: Philomel  (2010/4/15)
児童書(9−12才)以上/文芸書
全米図書賞 児童書部門受賞作品

小学校5年生(11才)の少女Caitlinは、アスペルガー症候群のために学校で孤立している。
母親を失った後、唯一の理解者だった兄のDavonは学校の銃乱射事件で殺されてしまった。そして、息子を失った悲しみに打ちのめされている父親には、Caitlinを助ける心の余裕がない。


学校のカウンセラーMrs. BrooksはCaitlinを援助してくれようとするのだが、Caitlinは自分の気持ちを理解せずに難しい要求ばかりするMrs. Brooksに苛立を覚えることが多い。けれども、辛抱強いMrs. Brooksの指導で、他人と目を見合わせて語ったり、同情心を持ったり、友人を作ったりする練習をする。そうしているうちに、同じく銃乱射事件で母を失った小学校1年生のMichaelと友達になり、Davonがいなくなった後の世界を生きる方法をみつけてゆく。

2007年のヴァージニア工科大学での銃乱射事件とハーパー・リーの「アラバマ物語( To Kill a Mockingbird)」に誘発されて書かれた、something “good and strong and beautiful”を語る物語。

●ここが魅力!

作者のKathryn Erskineは、欧州、カナダ、アフリカ、米国で育ち、児童作家になる前に15年弁護士として働いた経験があります。この本の中には、法律のことやアフリカのことは全く出てきませんが、こういった多様な経験を積んでいるからこそ生まれる深い人間理解と分析力を感じさせてくれます。

題名の Mockingbirdは、物語にも頻出する映画「アラバマ物語 ( To Kill a Mockingbird )」から拝借したものです。DavonとCaitlinは、自分たちが映画の兄妹JemとScoutに似ていると思っていたからですが、作者そのものがこの映画(と小説)から強い影響を受けているようです。

Erskineが特に信じているのは、「どんな人でも自分を理解して欲しい」というシンプルな、そして普遍的な真実です。アスペルガー症候群のCaitlinだけでなく、銃撃犯の従兄弟だから嫌われている(と信じている)乱暴者のJoshの心境も描いています。

また、公立学校でのアスペルガー症候群への治療の重要さも書き込まれており、それに関わる専門家への応援歌とも読み取ることができます。

シンプルな本ですが、Caitlinの語り口が心に響き、大人が読んでも十分読み応えがある作品です。

●読みやすさ やや簡単

Caitlinの第一人称の語りで進行するので、入り込みやすく、読みやすいスタイルです。けれども、アスペルガー症候群があるゆえの誤解や、特殊な考え方が分かりにくく感じるかもしれません。

●対象となる読者

一応9才からということになっていますが、理解力のある子であれば、小学校の低学年から読んでも構わないでしょう。
銃撃事件の場面はありません。

●参考になる本

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4件のコメント

  1. また、興味深い本の紹介ありがとうございます。早速Audiobook 見つけました、楽しみです~。

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  2. アリゾナさん、こんにちは。
    重いテーマなのに、ユーモアのセンスもあり、希望に満ちていて良かったです。涙腺ゆるい人要注意です。

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  3. はい、そういう感動できる本が好きです。そういえば、今、English IのクラスでTKMBを教えている先生がいるので、また図書館でもこの本を宣伝してみようと思います。今年も、Yukariさんのサイトを楽しく拝見させていただきますので、よろしくおねがいします~。

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