アメリカ政府だけでなく、アメリカという国が理解できる本 『Duty』

著者:Robert M. Gates

ハードカバー: 640ページ

出版社: Knopf

ISBN-10: 0307959473

発売日: 2014/1/14

適正年齢:PG13(中学生以上、軽い罵り言葉あり)

難易度:中級レベル(日本で英語を学んだ人には、小説よりかえって分かりやすいだろう)

ジャンル:回想録

キーワード:アメリカ国防長官、イラク戦争、アフガニスタン戦争、外交、国際政治、ホワイトハウス

 

ネットの記事やツイッターを眺めていると、どこで仕入れてきたのか知らないが、国際政治や日米関係について非常に現実離れした見解を持っている人が多い。見解というよりも、妄想に近いものがけっこうある。

個人が勝手に思い込んでいるだけなら構わないが、その妄想を信じる人がけっこういて、ソーシャルメディアなどで広めるからさらにたちが悪い。

たとえば、Googleに「日本はアメリカ」と打ち込むと、このような結果が出てくる。

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つまり、ネット利用者に限っては、こう思っている人が多いということだ。

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表紙のそっくりさん集合!

話題の新刊などをあれこれチェックしていたら、見たことがある表紙が目に入りました。以前本ブログでご紹介したノンフィクションの英国版のデザインかと思ってよく見たらタイトルがぜんぜん違います。

なんと、同じ写真を反転させたそっくりさんでした。

左はCareless Peopleというノンフィクションで、右はThe Wife, the Maid, and the Mistressという新刊の小説です。

ひどいのは、発売日がそれぞれ、2014年1月23日と1月28日で、たったの5日しか違わないということです。

こういうことが起きる原因は、簡単に言ってしまえばデザインの怠慢です。

著者たちはさぞかし嫌な思いをしていることでしょう。

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マイケル・クライトンの後継者と呼ばれるテクノスリラー作家Suarezの新作『Influx』

著者:Daniel Suarez

ハードカバー: 416ページ

出版社: Dutton

ISBN-10: 0525953183

発売日: 2014/2/20(予定)

適正年齢:PG13+(中学生以上、だがバイオレンスシーンあり)

難易度:中級レベル(高校英語をマスターしたレベル。分からない単語は多いかもしれないが、解釈の必要がないシンプルで短い文章)

ジャンル:テクノスリラー/SF

キーワード:防衛機関、テロ、テクノロジーの発達と人類の存続

 

世界を変えるような発見は、巨大な企業や有名大学のラボでは起こらない。世間から落ちこぼれとみなされているような個人が、廃品や借り物を利用してガレージや地下室に作った仕事場で生まれるものなのだ。マイクロソフトもアップルもそうだった。規定の環境に順応できるような者には、これまで誰も想像できなかったような発明はできないものである。物理学者のJon Gradyには数字が色で見えるsynesthesia(共感覚)があり、世界の把握も通常の人とは異なる。環境に適応できないGradyは在宅教育ですべてを学び、大学も中退していた。その彼が小さなラボでついに発明したのが、重力を反射(mirror)する技術だった。

だが、その成功を祝っているときに神の教えに背く科学を否定する宗教テログループがラボに侵入し、全員を拉致し処刑した。テログループの首謀者Cottonはその状況をビデオに撮って世界に宣告するが、実はそれは「やらせ」だった。

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元米国国防長官のナビゲートで学べる国際政治の水面下の動き『Duty』

著者:Robert M. Gates

ハードカバー: 640ページ

出版社: Knopf

ISBN-10: 0307959473

発売日: 2014/1/14

適正年齢:PG13(中学生以上)

難易度:中級レベル(高校英語をマスターしていれば読める)

ジャンル:ノンフィクション/回想録/時事

キーワード:アメリカ国防長官、外交、国防、イラク戦争、アフガニスタン戦争、ブッシュ政権、オバマ政権

 

 

政治の舞台裏を語る本だが、「暴露本」という表現は合っていないと思う。

「思いどおりにゆくことはないだろう」と恐れつつも覚悟して引き受けた仕事が、想像以上にフラストレーションのたまるものだったのは文面から伝わってくる。国と軍人と国民のために改善しようとしたことが、数えきれないほどの官僚主義的発想と構造のために潰れてゆく現実を公開することで、変化を促したいという動機はあると思う。

ダークなファンタジー版『オーシャンズ11』。天才的詐欺師Locke Lamoraが率いるGentleman Bastardsシリーズ

著者:Scott Lynch

適正年齢:R(バイオレンス、性的シーン、罵り言葉)

難易度:上級〜超上級(ネイティブでも最初の部分が入り込みにくい。時が前後するので混乱しやすい)

ジャンル:ファンタジー/アクション

キーワード:盗賊、詐欺、魔法

第一巻の"The Lies of Locke Lamora"は、『洋書ベスト500』のファンタジーのジャンルでもご紹介した。

1.The Lies of Locke Lamora

中世のベニスを思わせる島Camorr(カモール)には、Capaと呼ばれるギャングのボスが統率する巨大な裏の社会がある。現在Camorrを統率しているのはCapa Barsaviで、いくつもある犯罪集団は彼への忠誠を誓い、その範囲で許される犯罪を行うのである。孤児のLockeは、6歳の頃に彼のような孤児を利用する盗賊主から『盲目の司祭』Chainに売り飛ばされる。だが、Chainは盲目ではなく、彼が司るのは、盗賊の神"Crooked Warden"である。この世界の人々は12の神を敬っているが、"Crooked Warden"は13番目の神である。

他の犯罪集団では、孤児はスリに利用されるだけで、大きくなると別の集団に売り飛ばされ、無教養で育つ。だが、Chainは、買い取った子どもたちに貴族としても通用する教育とマナーを教え、武術や農業、演技などのトレーニングもさせる。Chainのもとで双子のCaloとGaldo、Jeanと一緒に育ったLockeは、Chainの死後、 "Gentleman Bastards"のリーダーとして貴族を騙して大金を奪うことを楽しんでいる。

 

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精神疾患を抱えるヒロインが魅力的な英国の犯罪小説『Fiona Griffithシリーズ』に注目!

著者:Harry Bingham

適正年齢:PG15+(高校生以上。描写は過剰ではないが、バイオレンスと性的シーンあり)

難易度:上級(ネイティブの普通レベル。だが、いったん物語に入り込むと中級程度に感じるだろう)

ジャンル:ミステリ/犯罪小説(クライムノベル)/警察小説

キーワード:精神疾患(Cotard's syndrome コタール症候群)/ウェールズ(Wales)/ラブストーリー/家族の秘密

 

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オリジナルの表紙

ミステリのシリーズでは、主人公の人物造形(character developement)が最も重要な要素だ。プロットがどんなに優れていても、登場人物たちに魅力がなければシリーズを読み続けようとは思わなくなる。そんなことは作者にもよくわかっているのだが、いざ実行しようとなると、これほど難しいことはない。だから、なかなかみつからないのである。

最近私が出会ったミステリの魅力的な女性主人公が、Fiona Griffithである。

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時代を先取りしていた女流作家にあらためて脱帽する古典『North and South』

著者:Elizabeth Gaskell
出版年(国):1855年(英国)
ペーパーバック: 480ページ(Penguin Classics Revised版)
ISBN-10: 0140434240(キンドル版は米国で無料、日本では99円)
ジャンル:古典、文芸(『ジャンル別 洋書ベスト500』の古典ジャンルでご紹介)
適正年齢:PG12(中学生以上)
難易度:上級(ネイティブの普通レベル)
キーワード:ビクトリア時代、階級、資本主義、社会問題、ラブストーリー

あらためておすすめしたい古典シリーズ

 

ビクトリア時代の英国では、貴族や地主の階級が住む南部と、工業が盛んになっている北部には、環境だけでなく、社会経済的な差が作りあげた文化や習慣、考え方の差があった。裕福な叔母のロンドンの邸宅でしばらく暮らしていたMargaret Haleは、姉妹のように親しくしていた従妹の結婚後、両親が住む南部の田舎町に戻った。ロンドンの社交生活が苦手で自然を愛するMargaretは、ようやく戻ることができた南部の生活に満足していたが、倫理を重んじる牧師の父親が教会と縁を切り、家族は北部に移住することになる。

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