April 2014

思春期の少女の悩みを実直に綴った青春小説『We Are Goldens』

著者:Dana Reinhardt

ハードカバー: 208ページ

出版社: Wendy Lamb Books

ISBN-10: 0385742576

発売日: 2014/5/27

適正年齢:PG13(中学校高学年から高校生)

難易度:中級レベル(1人称なので読みやすい)

ジャンル:YA/青春小説

キーワード:思春期の悩み、姉妹愛、友情、家族関係、秘密、恋愛

 

新高校生のNellは、同級生たちと同様に慣れない高校生活にナーバスになっている。アメリカの高校は4年制なので、中学から高校に上がったばかりの生徒にとっては、子どもが突然大人の世界に迷い混むようなものである。幸いなことに、Nellには親友のFelixと高校3年生(アメリカではjunior)の姉Laylaがいる。だから、スムーズに高校生活に入り込めるはずだった。

Read More »思春期の少女の悩みを実直に綴った青春小説『We Are Goldens』

小学校高学年〜中学生の少女向けの人魚姫クエスト『Deep Blue(Waterfire Saga 1)』

著者:Jennifer Donnelly

ハードカバー: 352ページ

出版社: Disney-Hyperion

ISBN-10: 1423133161

発売日: 2014/5/6

適正年齢:PG10(小学校高学年から)

難易度:中級レベル

ジャンル:児童書(小学校高学年から中学生向け)/ファンタジー

キーワード:人魚/魔法/冒険/ガールパワー

 

海底から川まで水の世界には人魚(merpeople)の世界が広がっていた。人がその存在を知らないのは、魔術で防衛していたからだった。地中海の王国に住むSerafinaは統治者の娘として近接の王国の王子Mahdiと政略結婚することになっていた。

だが、婚約式を前にしてSerafinaは奇妙な悪夢を見るようになっていた。

Read More »小学校高学年〜中学生の少女向けの人魚姫クエスト『Deep Blue(Waterfire Saga 1)』

本好きと書店好きのための小説『The Storied Life of A. J. Fikry 』

著者:Gabrielle Zevin

ハードカバー: 260ページ

出版社: Algonquin Books (2014/04)

ISBN-10: 1616203218

発売日: 2014/04

適正年齢:PG15(高校生以上)

難易度:中級〜上級レベル

ジャンル:現代小説/ラブストーリー/ミステリ

キーワード:書店、本、ブッククラブ、ロマンス、友情、人情、人生

「これを読まずして年は越せないで賞」候補作(渡辺)

アメリカの東海岸に浮かぶ小さな島「Alice Island」(ナンタケット島をモデルにした架空の島)には、書店がたった1店しかない。そのIsland Booksの店主A.J.Fikryは、交通事故で妻を亡くしてから何ごとにも興味を失っていた。もともと人見知りなところがあったが、ますます偏屈になり、店の経営は悪化していた。そこに、ロードアイランド州の小さな出版社から営業担当者Ameliaが訪れる。前任者の急死でIsland Booksを引き継いだAmeliaは、長旅の価値があるかどうか疑いつつも訪問したのだが、A.J.から失礼な対応をされて憤慨して島を去った。

Ameliaの訪問直後に、A.J.が持っていたエドガー・アラン・ポーの詩集の初版が姿を消した。売れば百万ドルにもなる可能性がある非常に価値がある古書である。そのショックから立ち直る暇もなく、A.J.の書店に2歳の少女Mayaが置き去りにされた。そして、翌日赤ん坊の母親らしき若い女性の死体が海で見つかった。人間嫌いで、子どもも嫌いだったはずのA.J.だが、Mayaをなぜか見捨てることができず、引き取って育てることにする。

Read More »本好きと書店好きのための小説『The Storied Life of A. J. Fikry 』

ダークな学園ものゴシックミステリ『Liv, Forever』

著者:Amy Talkington

ハードカバー: 288ページ

出版社: Soho Teen

ISBN-10: 1616953225

発売日: 2014/3/11

適正年齢:PG12(中学生以上)

難易度:中級レベル

ジャンル:YA/ミステリ/ゴーストストーリー

キーワード:学園もの、ラブストーリー、オカルト、陰謀、ゴシックミステリ、泣ける本

Wickham Hallはアメリカ東海岸にある由緒ある寄宿生私立学校で、卒業生は有名大学に進学し、政治や経済界の要職に就いている。アメリカのトップ1%に属するような裕福な家庭の子どもしか入学できない名門校だが、他の名門校のように奨学生も少数受け入れている。

Read More »ダークな学園ものゴシックミステリ『Liv, Forever』

アメリカの離婚手続き(の大変さ)がわかる小説『The Divorce Papers』

著者:Susan Rieger

ハードカバー: 480ページ

出版社: Crown

ISBN-10: 0804137447

発売日: 2014/3/18

適正年齢:PG15(高校生以上)

難易度:上級レベル(オフィスのメモやEメール、手紙は読みやすいが、専門的な書類は読みにくい)

ジャンル:現代小説、チックリット

キーワード:離婚、弁護士、家族ドラマ

 

日本では、「入院中に離婚されていた」とか、離婚後に父親が養育費をまったく払わないことや、父親のほうの家族が子どもを母親から奪って合わせないことがしょっちゅうある。日本に住んでいたころ、私の身近にも(たいていは母親のほうが)泣いて諦めたというケースがたくさんあった。

アメリカではその反対で、法が権利を守ってくれるのはいいが、双方が権利を主張するので離婚には必ずといっていいほど弁護士が必要になり、金のかかる戦いが長引き、すでに愛がさめたカップルが激しく憎しみ合うことになる。

Read More »アメリカの離婚手続き(の大変さ)がわかる小説『The Divorce Papers』

投資家すら知らなかった超高速取引(HFT)の秘密を暴いた超話題作『Flash Boys』

著者:Michael Lewis

ハードカバー: 274ページ

出版社: W W Norton & Co Inc

ISBN-10: 0393244660

発売日: 2014/3/31

適正年齢:PG12(中学生以上、たくさんの罵り言葉あり)

難易度:中級以上(金融用語は出てくるが、基本的にはシンプルでわかりやすい文章、入り込みやすい)

ジャンル:ノンフィクション/金融/時事

キーワード:HFT(超高速・高頻度取引)、ウォール街、フラッシュ・クラッシュ

 

2010年5月6日の株価急落(Flash Crash、フラッシュ・クラッシュ)の直後、一躍注目されたのがHFT(High Frequency Trading、ハイフリークエンシートレーディング、超高速・高頻度取引)だった。HFTは高速処理ができるコンピュータを使ってミリセカンドとかマイクロセカンドといった想像を絶する高速で取引するもので、株式が乱高下する原因になっていると言われていた。

だが、一般市民にはHFTがどのようなものなのかはさっぱり見当もつかなかったし、Black-box TradingとかAlgorithmic Tradingといった用語が出てくると、それ以上知りたくなくなってしまう。これまでは、「ウォール街がやってることは、どうせろくなことではない」程度の理解でしかなかったし、理解できないから危機感もさほどなかったのである。

だが、マイケル・ルイスの新作『Flash Boys』が発売され、CBSの60 Minutes,Daily Show with Jon Stewart, Charlie Roseなどのテレビ番組に出演するようになって状況はガラリと変わった。ルイスには難しい経済や数字の話題をとてもわかりやすく説明する天賦の才能があるから、「HFTってそういうものだったのか!もっと知りたい」と素人まで興味を抱いたのだ。

Read More »投資家すら知らなかった超高速取引(HFT)の秘密を暴いた超話題作『Flash Boys』

書物と言葉の大切さが失われつつある現代を風刺したディストピア問題作『Word Exchange』

著者:Alena Graedon

ハードカバー: 384ページ

出版社: Doubleday

ISBN-10: 0385537654

発売日: 2014/4/8

適正年齢:PG12(中学生以上)

難易度:語彙のみだと超上級レベルだが、文章はネイティブの普通レベル

ジャンル:スペキュラティブ・フィクション/現代小説/風刺小説

キーワード:ディストピア、世紀末、疫病、文明の危機、ロマンス

 

Memeというハイテクのデバイスが普及した近未来社会では、人びとはコミュニケーションだけでなく日々のスケジュールや記憶のすべてをMemeに頼るようになっている。

常に他人とつながってリアルタイムで無意味な会話を交わし合う現代人は本を読まなくなり、複雑な単語も使わない。使わないと忘れるので、単語の意味が思いつかない場合にはMemeを使って意味を調べる。そのときに利用するのがSynchronicという企業が提供しているWord Exchangeである。チェックして意味がわかったらそれで満足するので、結局人びとは学ばない。デバイスに依存している人びとは、頭を使わなくなっているのである。

紙媒体の書籍は絶滅の危機に瀕しており、アナクロの辞典として最後の砦になっているのが『North American Dictionary of the English Language (NADEL)』だった。

Read More »書物と言葉の大切さが失われつつある現代を風刺したディストピア問題作『Word Exchange』