ディストピアYA小説にはまっている方におすすめの新刊 All Our Yesterdays

著者:Cristin Terrill
ハードカバー: 368ページ
出版社: Hyperion Book
ISBN-10: 1423176375
発売日: 2013/9/3
適正年齡:PG12(中学生以上)
難易度:中〜上級(文章そのものは簡単。だが、過去と現在がパラレルで語られるので混乱する可能性あり)
ジャンル:YA(ヤングアダルト)/SF(タイムトラベル)/ディストピア/恋愛
キーワード:タイムマシン、独裁政権、倫理と愛の葛藤

軍事政権の秘密の独房に閉じ込められた若い女性Emの生きる目的はただひとつ、タイムマシンに乗って過去に戻り、「the doctor」と呼ばれる男の行動を止めることだ。

Emはこれまでに14回も失敗していて、その失敗した自分のメッセージに従ってまた試みるしかない。
今回の目標ははっきりしていた。残った手段は、「彼」を殺すことだけだ。


Marinaは、過去(見方によっては現在)のEmである。経済的に恵まれているけれども愛のない家庭で育ったEmにとって世界で一番大切なのは親友のJamesだ。天才的でゴージャスだけれどもシャイで人付き合いが苦手なJamesにEmは恋心を抱いているけれども、Jamesの真意はわからない。でも、彼のためなら、何でもやってあげるつもりだった。

でも、未来のEmの目標は、過去のMarinaが命をかけてでも守りたかった男を殺すことなのだ。

 

現在を変えるためにタイムマシンで大きな機転が起きる前に戻って阻止する、というアイディアはこれまでにも多くあった。このYA小説もそのひとつである。
また、誰かが悪事を行う前に戻って殺すことの倫理の葛藤も、これまでに使われてきた。
たとえその人が悪に染まっていくとしても、その前のイノセントな時期に罰を与えることは許されるのだろうか?

使い古されたテーマであっても、この小説のターゲットグループにはまだ目新しいものだと思う。
シェイクスピアを学んだ著者だけあって、(主に)少女向けのYA小説であっても、なかなかよく描けている。若い読者は「私ならどうするだろう?」と考えることだろう。

SFの愛好者にとっては、タイムトラベルによるパラドックスがうまく説明されていないところや、感情的な部分のほうが重視されているのは物足りなく感じるだろう。

けれども、近年流行りのディストピアYA小説の中では質が高いほうだ。

最後のほうでは、切なさに涙を浮かべることだろう。

コメントを残す