話題作だが、どこかで読んだ感じがつきまとう心理スリラー The Last Mrs. Parrish

作者:Liv Constantine(姉妹の共著のペンネーム)
ハードカバー: 400ページ
出版社: Harper
ISBN-10: 0062667572
発売日: 2017/10/17
適正年齢:R
難易度:中級+〜上級(文章も会話もシンプル)
ジャンル:心理スリラー
キーワード:ハイソサエティ、不倫、策略

ニューヨーク市郊外のコネチカット州の裕福な町に住むパリッシュ(Parrish)夫妻は、絵に描いたような理想的なカップルだ。夫のジャクソン(Jackson)は大金持ちの不動産王で、妻のダフニー(Daphne)は奉仕活動で知られる心優しき美人だ。

ダフニーの優雅な生活に憧れる若い女性アンバー(Amber)は、ダフニーの地位を手に入れる野望を抱き、綿密な計画を立てた。奉仕活動でダフニーに近づき、信頼を得て「親友」の座についたアンバーは、夫婦と彼らの幼い娘たちに付き添って旅をし、ジャクソンに接近した。

いったんジャクソンに接近したアンバーは、次にダフニーを追い出す策略を立てた。すべてはアンバーの思い通りだった……。

The Last Mrs. Parrishは、2017年のBookExpo Americaで出版社が力を入れていた作品で、発売後はベストセラーになっている。しかし、今年注目されているほかの心理スリラーに比べて「読者には想像もできなかったどんでん返し」はほとんどなかった。「嫌ミス」であることは確かだ。しかし、登場人物(とくにアンバー)の「嫌」さでは他の心理スリラーに勝てるかもしれないけれど、「ミス」のミステリの部分は欠けている。また、アンバーの陰湿さには光と影というか、善と悪のレイヤーがなくて、そこもつまらない。気分が悪くなるだけだ。

「若い女性が既婚の金持ち男性を狙って現妻を追い出す」というパターンや、一見素敵な夫の真の姿が次第に露呈するところなどは今年注目の心理スリラーThe Wife Between Usを連想させるところがある。
しかし、登場人物やプロットの複雑さにかけては、Mrs. ParrishはThe Wife Between Usに及ばない。

どちらかだけを読むとすれば、The Wife Between Usのほうをお薦めする。

渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott についてhttp://youshofanclub.comエッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者。兵庫県生まれ。 多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。 2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に 新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。 最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社) ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。 翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。 連載 Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク 日本版 洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者 Author, translator, and English book reviewer for Japan Market. Author of "500 best books written in English" for the Japanese market. English book reviewer for Newsweek Japan. Amazon.co.jp Top 100 reviewer.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中