20世紀後半の文芸小説の懐かしさを感じる家族ドラマ We All Love the Beautiful Girls

作者:Joanne Proulx
ハードカバー: 336ページ
出版社: Grand Central Publishing
ISBN-10: 1538712458
発売日: 2018/8/28
適正年齢:PG15+(性的コンテンツあり)
難易度:中級+〜上級(特に理解が困難な部分はない。ただし上級レベルでないとニュアンスを逃す部分あり)
ジャンル:現代小説
テーマ/キーワード:機能不全家族、家族の崩壊、家族ドラマ、人間性

カナダのリッチな上位中産階級人々の脆弱な家族関係と人間性を描く現代小説。2018年刊行の注目作品のひとつ。

Michaelは高校時代からの友人のPeterを不動産マネジメント会社に加え、長年家族ぐるみで親しくしてきた。二人の妻のMiaとHelen、Michaelの息子FinnとPeterの娘Frankieが、まるで家族の延長のようだった。

だが、ある日、PeterがMichaelの会社から横領した金でボートなどを購入していただけでなく、Michaelから会社を奪っていたことがわかった。同じ日の夜、17歳の息子Finnは、親友Eliの自宅でのパーティに参加していた。Finnは子供の頃にベビーシッターをしてくれた5歳年上のJessに恋していたのだが、彼女はEliの兄のEricと付き合っていた。EliとEricの両親は留守で、若者たちはドラッグと酒におぼれ羽目を外していた。その場でのEricとJessの様子に心をかき乱されたFinnはハイになって無責任な行動を取り、零下の屋外で気を失ってしまう。必死に探索した父のためにFinnはかろうじて死を逃れたが、凍傷で右手を失う。

この夜を境に、MichaelとPeterだけでなく、それぞれの家族が静かに崩壊を始める。親たちが、自分の悲劇だけに集中して身勝手な対応をしている最中に、複雑な三角関係にあったFinn, Frankie, Eli, Jess, Ericたちの関係も変わっていく……。

読み始めてすぐに連想したのが、1994年に刊行されたRick MoodyのThe Ice Stormだ。
出版社は、類似の作家として最近注目の女流作家であるFates and FuriesFloridaのLauren Groffや、Everything I Never Told You, Little Fires EverywhereのCeleste Ngの名前を挙げていて、その共通性は理解できるのだが、やはりThe Ice Stormのほうに近い。

そう感じるのは、扱われているテーマやプロットに新鮮さがないからかもしれない。つまり、2018年のこの時代でしか書けないような新しさやインパクトに欠けているのだ。

20世紀後半の現代小説に対するようなノスタルジアは感じたが、それだけだったのは残念だ。

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