作者:Roshani Chokshi
Publisher : William Morrow
刊行日:February 14, 2023
Hardcover : 304 pages
ISBN-10 : 0063206501
ISBN-13 : 978-0063206502
対象年齢:一般(PG15,やや性的コンテンツあり)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ゴシック小説、ホラー・ファンタジー
テーマ、キーワード:神話、寓話、異世界、友情、裏切り、有害な関係、ラブストーリー
神話の研究者である青年は、ミステリアスな女性Indigo Maxwell-Casteñadaと出会う。亡くなった両親からの遺産で裕福なIndigoと青年は結婚するが、その時に妻は条件を設ける。それは、彼女の過去について決して探らないというものだった。
その約束を守るつもりでいた夫だが、妻が生まれ育った屋敷を訪問した時に遭遇した不可思議なことから好奇心を懐くようになる。
Indigoには子供時代に双子のように仲良くしていたAzureという親友がいた。家庭に問題があるAzureはIndigoの屋敷にいりびたり、2人はここにあるポータルから異なる世界に移り住むことを計画していた。しかし、何かが起こり、Azureは姿を消し、Indigoは家を去った。
屋敷に来てから不思議な声を聞き、幽霊のような姿を見かけるようになった夫は、Indigoと交わした約束を守りたいと思いつつも探らずにはいられなくなる。妻が何らかの呪いをかけられていると思い始めた夫は、妻を裏切って真相を探し求める。そして、それが2人の運命を変えていく…。
妻からの「決して見てはならない」という約束を夫が破ったために妻が去ってしまう日本の「鶴女房」は海外でも知られているが、他国にも似たような寓話や神話がある。また、伴侶の怖い秘密を探し出すというものでは「青ひげ」が有名だ。この小説には、それらを含めた数々の寓話が含まれており、しかも、妖精の世界との接点がある古い屋敷も登場する。現在の夫婦と、過去の2人の少女の話が並行して進んでいくのだが、それによって、妻であるIndigoに対する捉え方が変わっていくことだろう。登場人物はあまりリアリスティックではないし、感情移入もできないかもしれないが、現代の寓話なのだと思えば納得できるだろう。
『Mexican Gothic』が好きだった読者におすすめ。