作者:Shannon Chakraborty(The City of Brassシリーズ)
Publisher : Harper Voyager (February 28, 2023)
Hardcover : 496 pages
ISBN-10 : 0062963503
ISBN-13 : 978-0062963505
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:7
ジャンル:ファンタジー
キーワード、テーマ:女海賊、冒険
2023年これ読ま候補作
Amina al-Sirafiは、かつてインド洋で有名な女海賊だった。荒くれ者の謀反や命を狙う有力者による暗殺を逃れ、魔物を含む数々の夫と結婚したスキャンダルで悪名が高かった。現在は引退して家族と一緒に穏やかな生活を送っているのだが、彼女を引退から復活させようとする者に探し出されてしまった。
何を餌にされても断るつもりでいたが、かつて一緒に航海した仲間の裕福な母親からの依頼に根負けした。ある出来事で死亡したその仲間の娘が誘拐されたので、取り戻してほしいというのだ。死んだ仲間のためもあるが、自分自身の娘の将来のためにも報奨金は魅力的だった。
Amina al-Sirafiは「これ一度だけ」と家族に約束し、仲間を集めて航海に出る。ところが、依頼者が重要なことを隠していたことがだんだん明らかになっていく。そして、簡単そうだった仕事は、次第に複雑になっていく…。
通常の海賊小説や海賊ファンタジーでは、主人公が男性かあるいは「そんなことはあり得ない」というような若くて魅力的な女性である設定が多い。ところが、この海賊ファンタジーの主人公は、引退した中年の女海賊なのだ。何度も結婚し、しかも相手のひとりは魔物だったという噂が流れている。つまり、パワフルな「おばさん」なのだ。そのおばさん海賊が荒くれ者の船乗りや海の化け物や魔物を相手にサバイバルしていくのが痛快なのである。
作者はアメリカのニュージャージー州でカトリック教徒として生まれ、十代の時にイスラム教に改宗した。もともとは中東の歴史を研究したかったようだが、The City of Brassシリーズがベストセラーになり、現在は文筆業だけで夫と娘を養っているという。この主人公よりずっと若い作者だが、タフさは共通しているかもしれない。
現時点で読み切り作品として読めるが、シリーズになりそうな気配だ。