ディストピアSFとミステリが融合したちょっと風変わりなStuart Turtonの新作 The Last Murder at the End of the World

 

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作者:Stuart Turton (The 7 1/2 Deaths of Evelyn Hardcastle, The Devil and the Dark Water)
Publisher ‏ : ‎ Sourcebooks Landmark
刊行日:May 21, 2024
Hardcover ‏ : ‎ 368 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 1728254655
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-1728254654
対象年齢:一般(PG12+)
読みやすさレベル:8
ジャンル:SF、ミステリ
キーワード、テーマ:近未来SF、ディストピア、ヒューマニティの維持、殺人事件、素人探偵

近未来の世界は環境破壊によって起こった霧に包まれていた。触れた者が即死するこの霧をブロックする方法を編み出した科学者と彼女が選んだ者たちは、霧が入り込めない孤島で暮らしてきた。

長老である科学者3人の管理のもと、島民たちはそれぞれに専門の仕事をこなし、食事を含む恩恵はすべて平等に分け合う平和な生活だったのだが、ある朝島民たちが目覚めると、指導者の科学者が何者かに殺され、セキュリティシステムは島民たちの前夜の記憶をリセットして消していた。

92時間以内に殺人の犯人を見極めなければ島は霧に包まれ、全員が死んでしまうという。従順で運命を受け入れるタイプの島民のなかで一人だけ謎を追求しようとする者がいた。けれどもすべての者が記憶を失っているなかで犯人をみつけることは不可能に思えた。犯人そのものが殺した記憶を失っている可能性もあるからだ。

ところが、捜査を続けるうちに、島民たちが知らなかった大きな秘密が明らかになっていく…。

Stuart Turtonは、The 7 1/2 Deaths of Evelyn Hardcastle, The Devil and the Dark Waterなどミステリなのだが普通ではないミステリを書くことで知られている。過去の2作はどちらも「驚きの展開を狙いすぎて一貫性がない」と思ったのだが、この作品は過去3作の中で最も充実していると思った。

ネタバレになるので説明できないが、マーガレット・アトウッドのOryx and Crakeを連想させるところがある。
もしかすると、Turtonはかの作品からアイディアを得たのではないかと思ったくらいだ。

興味深い設定であり、後半の展開はスピーディで面白く読めるのだが、やはりTVドラマ的な浅さが拭いきれず、オリジナリティや深さは欠けていると感じた。

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