裕福な家族に起こった2つの失踪事件の背景。文芸ミステリの達人Liz Mooreの最新作。The God of the Woods

 

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作者:Liz Moore (Long Bright River)
Publisher ‏ : ‎ Riverhead Books
刊行日:July 2, 2024
Hardcover ‏ : ‎ 496 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593418913
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593418918
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさレベル:8(文学的な描写が多い)
ジャンル:文芸ミステリ、歴史小説
キーワード、テーマ:1970年代、夏のキャンプ、失踪事件、家族の秘密
2024年これ読ま候補作

ニューヨーク州北部のアディロンダック山地は大自然が残っており、長年にわたってボストンやニューヨーク市の裕福な人々にとっての保養地であった。

1975年8月、有力者や裕福な家庭の子弟が夏休み2ヶ月間を過ごすサマーキャンプ(宿泊夏合宿)のEmerson Campで13歳の少女が姿を消した。行方不明になったBarbaraはキャンプ地の所有者である富豪のVan Laar家の娘なのだが、両親の反応は普通の親のものとは異なった。しかも、Van Laar家は14年前に8歳の息子Peter(通称Bear)を同じようにして失っていたのだ。

母親から溺愛され、周囲からも愛されていた快活なBearは、祖父と一緒に散歩に出かけた時に忘れ物を取りに戻り、そのまま姿を消したのだった。十代で裕福な年上の男性と結婚したBearの母親は、孤立した環境での夫からの心理的な抑圧でアルコール依存症になっていたのだが、最愛の息子を失ってからはさらに薬物の依存症にもなっていた。一人息子を失った後に夫の希望で産んだのがBarbaraだったが、母親はBearのようには娘を愛することができず、父親は自立心が強くて反抗的な娘を持て余していた。

Bearが行方不明になった時、連続殺人犯のJacobがこの地域を徘徊していたことが判明していたがJacobは犯行を否定していた。Barbaraが姿を消したのは、ちょうどJacobが脱獄した後のことだった。そして、Van Laar家が大きな豪邸を建てる前にこの広大な地を所有していたのはJacobの一家Sluiterだった。

Van Laar家の過去から現在、Van Laar家に雇われてきた人々、キャンプの責任者、カウンセラー、キャンプの参加者であるティーンなど多くの登場人物が、大自然の森に囲まれたキャンプ場を中心に複雑な人間関係を作り上げているこの小説は、失踪事件の謎解きに終わらず、人間心理を深く掘り下げていく文芸ミステリである。

アディロンダックもそうだが、アメリカにはトレイルを少しでも外れると完全に迷ってしまい、救助も不可能に近いような大自然が今でも多く残っている。美しくも危険な大自然の森を求めてアメリカを訪問して長距離ハイキングをするヨーロッパ人もかなりいるようだが、この小説でもそんな森が主要人物のひとりのような気がする。

Liz Mooreは私が好きな作家のひとりであり、この新刊も期待以上に味わい深かった。

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