アラスカの厳しい大自然を舞台に、民話をもとにしたダークで美しく、切ないラブストーリー。 Black Woods, Blue Sky

 

Amazon.com

Amazon.co.jp

 

 

作者:Eowyn Ivey  (The Snow Child)
Publisher ‏ : ‎ Random House
刊行日:February 4, 202
Hardcover ‏ : ‎ 320 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 0593231023
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0593231029
対象年齢:一般(R)
読みやすさレベル:7
ジャンル:文芸小説、マジックリアリズム
キーワード:ダークな民話、ラブストーリー

アラスカの荒野に接した小さな町に住むBirdieは、若くしてシングルマザーになり、生活のために道路脇にあるロッジでウエイトレスをしている。幼い娘のEmaleenを愛しているが、時には酔っ払って無責任に振る舞ったりする。何よりも渇望しているのは、大自然の森を駆け回った子供時代のように自由奔放に生きることだ。

森で迷っていたEmaleenをBirdieのもとに連れ戻したのは、隠遁者として知られているArthurだった。ふだんは遠く離れた森の中で暮らし、たまに町に現れるこの大男を町の人々は避けていた。けれども、森を熟知している無口なArthurにBirdieは惹かれる。そして、Emaleenを連れて森の中でArthurと一緒に暮らし始めた。

Arthurの養父は、Emaleenを孫のように感じて案じるが、Arthurが自分の家族を作り出して幸せそうにしていることもあって、彼らを援助しようとする。

電話も電気もなく、町につながる道もない小屋での暮らしだが、鮭を釣り、野生のベリーを摘んで生きる生活は、Birdieにとって幸福そのおのだった。だが、じきにBirdieはArthurが何かを隠していることを察知する…。

日本の『鶴女房(鶴の恩返し)』のように、動物が人間の伴侶になりその秘密が暴露された時に幸福な生活が破綻するという民話は世界中にある。また、日本の『羽衣伝説』のように羽衣(あるいは動物の皮)を奪われたために人間の姿をしているけれども、その羽衣や皮を見つけた時に伴侶がパートナーを去るという物語も多い。スコットランドのSelkieもそのひとつで、アザラシの皮を脱いで陸に上ったSelkieが皮を盗まれて人間と結婚するが、皮を見つけたとたんに夫や子どもを捨てて海に戻るというものだ。

これらの動物の伴侶たちは、それぞれに家族を愛しているのだろうが、天女の場合は天、Selkieの場合には海、という自分の本性にあった世界への渇望のほうが強いということなのだろう。

Black Woods, Blue Skyは、それらの民話とよく似ていて、ダークで、美しくて、切ないラブストーリーである。

作者のEowyn Iveyの前作The Snow Childは、ピューリッツァー賞最終候補になったもので、同じくアラスカを舞台にした民話を背景に持つマジックリアリズムが評価された。

Leave a Reply