Category: Battle of the (Kids’) Books_
Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第四マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判はNational Book賞候補になったThe Rules of Survival の作者Nancy Werlinです。これは、児童虐待を扱ったYA本です。 今日の対決はファンタジーのGracelingとノンフィクションのThe Lincolns です。 読者の人気投票ではGracelingが圧倒的な勝者ですが、Werlinはファンタジーロマンスのファンゆえに、Gracelingに対してかえって厳しい判断を下したようです。Gracelingの地理や設定などが論理的でなく、ニュアンスに欠けるために、デビュー作としては優れていても傑作ではないという批判をしています。私もこれまで完成度の高いファンタジーは沢山読んできたので、それと比べたらやはり影が薄くなるという事実にはしぶしぶ同意せざるを得ません。とはいえ、Werlinも私のように135ページからのKatsaの物語には惚れ込んだようで、次作が非常に期待できると言っています。 それに比較して、The Lincolnsは文句なしに優れたノンフィクションだとWerlinは感じたようです。歴史でAbraham のことはしっかり学んだ人でも、妻のMary…
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Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第三マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 We Are the Ship対The Hunger Gamesの対決。審判はベストセラーの青春小説Looking for Alaska の作者John Greenです。 どっちにすればよいのか決められなくて苦悶し、ついに奥さんに相談したGreenは「これは本物の賞(つまりニューベリーメダル賞とか)じゃないってわかってるんでしょうね!」とあきれられたとのこと。なぜそんなに難しいかというと、「りんご」と「象」を比べるような比較だからです。最高の「りんご」と最高の「象」を比べて、「どっちが良いか?」とたずねられたら誰でも困りますよね。その気持ち分かります。黒人が白人の野球リーグに参加できなかったころのNegro Leagues(黒人リーグ)の歴史を伝えるWe Are the…
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Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第二マッチ
YA特集が来週くらいまで続きます。 そして引き続き2008年に出版された児童書とヤングアダルト本の最終作品を選ぶバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判は、Los Angeles Times Book Prizeを受賞した Tyrell (Push) の作者Coe Boothです。 かたやNational Book賞のファイナリストChains、こなたPrintz Honor bookのTender…
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Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第一マッチ
引き続きバトルの中間報告です。今週は第二ラウンド。現在の状況を知りたい方は次をどうぞ。SLJ_BOB_Brackets.pdfをダウンロード ここから入った方はこちらを。 審判はThe Rules of Survival のTim Wynne-Jonesです。 Wynne-Jonesによると、マーク・トウェインについて書かかれたThe Trouble Begins at 8は子供が飛びつきやすく、ユーモアがあり、読み始めたら最後まで一気に読みきれる本のようです。対象的にOctavian Nothing, The…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第八マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判は誰でも知っているThe Sisterhood of the Traveling Pants (Readers Circle)のAnn Brashares!審判が語るようにこれはまったく異なるカテゴリーの対決です。第一ラウンドに選ばれたのはいずれも2008年度の厳選された優秀作品なので、ラウンド最後のマッチは適切な対戦相手がみつからなかった残り物? Nationはフィクション。作者はユーモアたっぷりのファンタジーが得意なTerry Pratchett。架空の南の島が舞台で、成人の儀式で島を離れていた少年Mauがカヌーで帰宅すると、The Nation(故国)は津波ですっかり洗い流されています。そこに津波で遭難した英国の貴族の少女Ermintrudeが流れ着くという、冒険、ユーモア、ロマンス(ちょっと)といういっきに読める娯楽作品で、途中からPratchettらしくシリアスさが減るようです。 The LincolnsはAbraham…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第七マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 いよいよ私が応援するGracelingの登場です。第七マッチはファンタジー、審判は邦訳もされているファンタジーのベストセラーTrickster’s Choice (Aliane):Daughter of the Lionessシリーズの作者 Tamora Pierceです。 The Underneathは小学校4年生から中学生が対象の児童書で、悪者の人間とふつうの動物が主人公の物語。リリカルでマジカルな文章とのことです。Gracelingは本ブログの書評をご覧ください。 審判のPierceは、The Underneathは米国独自の沼地の表現の美しさを称えていますが、それが長引きすぎて物語のテンションを失うことを指摘しています。そして、キャラクターたちが9-12歳向けの児童書にぴったりなのに、暴力やアルコール依存症といったテーマがヤングアダルト向けであることも問題視しています。一方のGracelingは出版前のゲラの段階で読んだときから気に入り、いろんな人に推薦してきた(それは審判を引き受ける前にちゃんとSchool Library Journalに伝えてある)ということ。Pierceの評価が私のものとそっくりで思わずにっこり。両者の違いをPierceは「The…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第六マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 第六マッチはサバイバルを描いた本の対抗です。審判は、ゲイのティーンの恋を描きLambra Literary賞を受賞したHard Loveの作者Ellen Wittlingerです。Suzanne Collins のThe Hunger GameとLouise Erdrich のThe Porcupine Yearには、相当共通点があるようです。まず主人公の共通点は、女性のほうは勇敢で薬草による癒しの技術を身につけており、男性のほうは野うさぎを捕まえる方法を知っているということ。それから、どちらも不可能に思えるサバイバルに挑戦する物語です。 The Porcupine…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第五マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 オリジナルの記事はこちらを。 Nick & Norah’s Infinite PlaylistのRachel Cohnが審判です。 The Disreputable History of Frankie Landau-Banksは、周囲にフィットインできないティーンの少女が主人公で、We Are…