作者:Taylor Jenkins Reid (Malibu Rising, Daisy Jones & The Six, The Seven Husbands of Evelyn Hugoなど)
Publisher : Ballantine Books
刊行日:August 30, 2022
Hardcover : 384 pages
ISBN-10 : 0593158687
ISBN-13 : 978-0593158685
対象年齢:一般(PG15)
読みやすさ:6
ジャンル:大衆小説、歴史小説(1990年代)
キーワード、テーマ:女子プロテニス、引退からの現役復帰、女性アスリート
母が若くして亡くなった後、かつてプロテニス選手だった父親にエリートテニス選手として育てられたCarrie Sotoは、テニスに勝つ以外の生き方を知らない。表層的な親しさに価値を見いださないCarrieは友人も作らず、競争心むき出しで相手を打倒するので、「Battle-Axe」というあだ名で周囲から恐れられ、嫌われていた。それでもテニスのグランドスラム(国際テニス連盟が定めた4大大会)での20回の勝利の達成し、前人未到の記録を作った女性アスリートとして尊敬されて引退した。
ところが、引退から6年後、Carrieの記録を破る勢いの女性テニス選手が登場した。1994年のUSオープンでNicki Chanが自分の記録に達するのを会場で目撃したCarrieは、新記録保持者の地位を取り戻すために復帰を決意する。並外れた身体能力と精神力を持つCarrieだが、引退した6年間のギャップは大きかった。また、37歳の身体で復帰するのは想像するほど簡単なことではなかった…。
この本を読み始めて、「どこかで見た名前だ」と思っていたのだが、Brandonという名前が出てきた時に「Marlibu Risingの時のあの女性だ!」と思って本棚に走ってMalibu Risingのその部分を読み直した。前作では本当に嫌な女性として描かれていたし、今回でも親しみを感じるようなタイプではない。だが、読んでいるうちにエリートアスリートとして育てられた女性の生き方に同情と尊敬を覚えずにはいられなくなる。
1980年代から90年代にかけてのプロテニスが描かれているが、登場するテニス選手たちは実存のテニス選手を混ぜて作ったような架空の人物だ。私がTVだけでなく生でトップランキングのテニス観戦をしていたのがこの時期なので、そういう意味でも面白かった。
作者の前作2つには及ばないが、それでも最初から最後まで一気読みしてしまう優れたページターナーである。