Author: 渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott
Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第三マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 We Are the Ship対The Hunger Gamesの対決。審判はベストセラーの青春小説Looking for Alaska の作者John Greenです。 どっちにすればよいのか決められなくて苦悶し、ついに奥さんに相談したGreenは「これは本物の賞(つまりニューベリーメダル賞とか)じゃないってわかってるんでしょうね!」とあきれられたとのこと。なぜそんなに難しいかというと、「りんご」と「象」を比べるような比較だからです。最高の「りんご」と最高の「象」を比べて、「どっちが良いか?」とたずねられたら誰でも困りますよね。その気持ち分かります。黒人が白人の野球リーグに参加できなかったころのNegro Leagues(黒人リーグ)の歴史を伝えるWe Are the…
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Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第二マッチ
YA特集が来週くらいまで続きます。 そして引き続き2008年に出版された児童書とヤングアダルト本の最終作品を選ぶバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判は、Los Angeles Times Book Prizeを受賞した Tyrell (Push) の作者Coe Boothです。 かたやNational Book賞のファイナリストChains、こなたPrintz Honor bookのTender…
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ニューヨークタイムズ紙ベストセラー-Once a Runner
ニューヨークタイムズ紙ベストセラーリストのハードカバー・フィクション編には今週もろくな作品がない(常連ベストセラー作家による使い古されたロマンスとミステリー)ので全部は載せません。 その中で光り輝いている新刊がこれ、リスト14位に入ったOnce a Runnerです。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1416597883&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416597883&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 新刊といっても実は1978年に自費出版され、それ以降カルト的なヒットをして売れ続けてきた作品です。4月7日にScribnerから発売されたとたん、大爆発的に売れています。長距離ランナーが主人公の、シリアスな長距離走者のためのシリアスな長距離走の小説です。 高校の50m走のテストで自分で自分の足を蹴って転び、体育の教師に「まじめに走れ!」と叱られるほど運動オンチだった私がジョギングを始めたのは、毎朝ジョギングをする女性が主人公の作品を書いたからです。彼女の心理を描くためには、自分で体験するしかないと思ったのです。これまでの記録が5マイル走で1マイル8分という私が1マイル4分以下を目指す主人公の心理に迫れるかどうかは疑問ですが、一応10年ほどずっと走り続けている努力賞としてOnce a Runnerを読ませていただこうかと思っています。 長距離走が好きな日本人に受けそうな作品です。
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楽しく読めて感動する-The Curious Incident of the Dog in the Night-time
Mark Haddon2003年ヤングアダルト/現代小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1400032717&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0099450259&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 非常に有名な本なので今さら私が書く必要はないのですが、より多くの方に読んでいただきたいのであえて載せました。 15歳の自閉症の少年Christopher Booneは、数学では並外れた能力があるものの、他人の表情を読み取ったり、感情のニュアンスを理解することができない。そのうえに色に関する強迫観念もある。(本人にとっては)論理的だが融通のきかない思考回路しかできないChristopherが他人と心を通わせることは難しい。そんな彼が深夜に隣人のプードル犬が何者かに殺されているのを発見し、大好きなシャーロック・ホームズにならい、犯人を突き止めることにする。だが、犬の殺害事件を追ううちにChristopherは両親の仲が壊れていることを学び、ロンドンに住む母親と暮らすために自閉症にとっては大冒険である馴染みのない世界に足を踏み出す。ミステリーというより、Christopherという自閉症の少年の世界をリアルに、そしてユーモアを持って描いた、YAというよりも大人向けの優れた文芸小説である。 ●ここが魅力!自閉症という重いテーマを扱いながらも、ユーモアに満ちた、面白い娯楽作品です。Christopherの言動は他人からは不可解なものですが、本人にとっては非常に論理的なのです。数学好きでニュアンスが理解できない彼の思考回路は常人とかけ離れていて、それゆえにチャーミングで可笑しいのですが、面白いだけでなくChristopherや彼の父親に深い同情と愛情を覚える感動的な作品です。章が素数であったり、数学の問題が沢山出てきたり、思考を説明するイラストがあったり、読書体験そのものを楽しめる工夫がちりばめられています。 ●読みやすさ ★★★☆☆★★★と★★★★の中間で、非常に読みやすい本です。分からない単語があっても辞書を引かずに読み続けて十分理解できるでしょう。 ●アダルト度 ★☆☆☆☆「Do you mean that they were…
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懐かしさがこみあげるクラシック-Daddy Long Legs
今日は、YAのクラシックを。 音楽のように、ある作品が過去のある時期の思い出に重なり、タイトルを耳にするだけで懐かしく、そして切なくなることってありますよね。私にとってはDaddy Long Legsがそんな本です。今日、偶然このタイトルにぶつかって、子どものころ胸をときめかせた感覚が蘇りました。赤毛のアンのように、「いっしょうけんめい勉強して、心優しく、前向きで、けれどもユーモアのセンスがあって、他人とはちょっと違う女性になったら、いつか素敵な人が現れて愛してくれる」と夢見させてくれた本です。今の子にもこういうロマンスを読んで育ってほしい、なんて思うのは年寄りになった証拠でしょうか。 著作権が消滅していますので、無料で読むことができます。アニメや日本語版でしかDaddy Long Legsを知らない方にぜひ原語で読んでいただきたい作品です。チャーミングなJerusha Abbotの語り口につい引き込まれてしまうでしょう。今読み返しても、ドキドキするエンディングです。 ヤングアダルトから大人向けに書かれた本ですが、小学生にもおすすめできます(私は小学校高学年のときに虜になりました)。 ●読みやすさ ★★★☆☆ 現代の口調とほとんど変わらず、しかも現代のようなスラングがないので、★4つに近い読みやすさです。 オンラインで読むのが面倒な方は、コンピューターにダウンロードしてごゆっくりどうぞ。 daddy_long_legs.pdfをダウンロード 本のほうが好きな方には、続編の「Dear Enemy」も入っているこちらをおすすめします。…
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ピューリッツアー賞発表!
本日ピューリッツアー賞が発表されました。詳しくはニューヨークタイムズ紙をどうぞ。 文学芸能部門の結果です。 フィクション(Fiction): “Olive Kitteridge,” by Elizabeth Stroutメインの小さな町を舞台にした13の短編集。 書評は洋書ファンクラブでどうぞ。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0812971833&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0743467728&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ファイナリスト: http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060515139&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0007270763&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0156033380&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1…
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Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第一マッチ
引き続きバトルの中間報告です。今週は第二ラウンド。現在の状況を知りたい方は次をどうぞ。SLJ_BOB_Brackets.pdfをダウンロード ここから入った方はこちらを。 審判はThe Rules of Survival のTim Wynne-Jonesです。 Wynne-Jonesによると、マーク・トウェインについて書かかれたThe Trouble Begins at 8は子供が飛びつきやすく、ユーモアがあり、読み始めたら最後まで一気に読みきれる本のようです。対象的にOctavian Nothing, The…
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売れる本のお国柄
現在ロンドンでブックフェアが行われており、Publishers Weeklyにパネルディスカッションを報告する面白い記事が載っています。それに載っている2008年の書籍売り上げ冊数から見た英米間の差のいつか挙げてみましょう。 - 英国人は米国人よりも文学的でロマンチックではない(米国ではミステリーとロマンスが全体の57%で、英国では31%)。- 米国市場では男性読者はあまり重要ではない(米国での男性読者の購買冊数が全体の35%であるのに対して英国では42%)。- 米国のマーケットは英国よりもはるかにネット化している(オンラインでの売り上げ冊数は米国では全体の23%に達しているが、英国では14%にすぎない)。- どちらに市場も42歳以上の高齢者層に頼っている(購買冊数は全体の2/3)。 ミステリーとロマンスが強い、というのは常日頃私が毎週のニューヨークタイムズ紙ベストセラーから受ける印象と一致しています。日米の差はどうなのか気になるところです。

