Author: 渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott
Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第五マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 オリジナルの記事はこちらを。 Nick & Norah’s Infinite PlaylistのRachel Cohnが審判です。 The Disreputable History of Frankie Landau-Banksは、周囲にフィットインできないティーンの少女が主人公で、We Are…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第四マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 このマッチは、人間の心の暗い部分に踏み込んだ、ダークで複雑なヤングアダルト本です。審判も、これ以上それに適した人はいないだろう、と感じるHow I Live Now(これは私のおすすめYA本)のMeg Rosoff。 まずは英国の由緒あるカーネギー・メダル賞を受賞したHere Lies Arthur。魔法使いマーリンによって英雄化されているアーサー王ではなく、残忍で暗いアーサー王を描いたものとのこと。Here Lies Arthurの語り手は男女の性がシフトするマーリン(Myrddin)の侍者。 次のTender Morselsは、表紙だけ見るとまるで童話のようです。ところが、内容は近親相姦、ギャングレイプという重いテーマを扱ったもので、単にスキャンダラスな描き方ではなく、文学として昇華させたヤングアダルト本としては珍しい本のようです。審判のRosoffによると人間の魂に宿る最も暗い闇にアクセスことができる作品とのこと。 そして勝者は... Tender…
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Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第三マッチ
引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 第一ラウンド第三マッチは、独立戦争の時代がテーマ。 Chainsは、1776年5月から1777年1月のニューヨーク・アイランド(現在のマンハッタン)を舞台に奴隷の少女Isabelが独立戦争のさなかに自由を求める闘いを描く小説です。そして、Washington at Valley Forgeは1776年の12月、ニューヨークでの英国軍との戦いに敗れたワシントンがペンシルバニア州のValley Forgeに撤退したときの苦難を描くノンフィクションです。審判は、Chainsの著者Laurie Halse Andersonとは友人、Washington at Valley Forgeの作者は昔から尊敬する心の師、ということで審判役を断りたかったほど悩んだようです。 どちらも優れた作品で両方読み比べるのが一番良いようですが、結果は「英雄よりも無名の少女の闘い」の勝利です。奴隷もの、ということでしり込みする方がいるかもしれませんが、Laurie Halse Andersonは、社会的・心理的な問題を扱ったロングセラーSpeakやWintergirlsの作者で、このChainsも大人を含め、広い読者層に受け入れられるものだと思います。…
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大河歴史ロマンスといえば...Outlander
著者:Diana Gabaldon 初版:1991年 ジャンル:歴史ロマンス/SF(タイムトラベル) 内容:歴史、冒険、アクション、戦争、政治、魔女狩り、ファンタジー、タイムトラベル、セックス、バイオレンス...と盛りだくさんの大娯楽小説 あまりにも有名なのでいまさら私が書く必要はないと思っていたのですが、問い合わせが多いのでとりあえず書評なぞを... 従軍ナースのClaireは、第二次大戦の終戦後夫のFrankと第二のハネムーンででかけたスコットランドで古代のストーンヘンジのような石の裂け目をとおり抜け、1945年から1743年にタイムトラベルしてしまう。状況が分からず混乱しているClaireが最初に出会ったのは、Frankの祖先で”Black Jack”と呼ばれて恐れられている英国軍大尉のJonathan Randallだった。Claireは強暴なRandallから逃れようとして英国軍と敵対する立場にあるスコットランドのMacKenzie氏族(クラン)たちに捕まる。 当時はステュアート朝の復活を企むジャコバイト運動が盛り上がっており、ジャコバイト支持か英国に忠誠を誓うかを決めかねるMacKenzie氏族長の弟DougalはClaireが英国軍のスパイであることを疑う。一方のRandall大尉もClaireの正体を暴こうとするが、Claireがスコットランドの所有物になれば英国軍に引き渡す必要がなくなるので、Dougalは若い戦士のJamieにClaireと結婚するように強要する。真相を語れないのでスパイの容疑をはらすことができないClaireは、MacKenzie氏族と行動をともにしながら未来に戻る鍵となるヘンジの場所に戻る機会を狙う。 ClaireとJamieのドラマチックなロマンスだけでなく、いっときたりとも飽きない冒険やアクションに満ちている。また、1745年のジャコバイトの反乱と1746年の悲劇的なカロデンの戦い前夜のハイランド地方(北部山岳地帯)と人々が愛情をこめて描かれており、いったん読むと癖になる大河小説である。 ●ここが魅力! セックスシーンが赤裸々すぎるためにすっかりロマンス本扱いされていますが、これを少し抑えていたら歴史・冒険ファンタジーとして十分ベストセラーになったと思う壮大な娯楽小説です。歴史に興味がなかった人でもスコットランドのジャコバイト運動に興味を抱くようになるでしょう。 主人公のClaireは口が悪くて勝気ですが思いやりがある情熱的な女性で、女性特有の嫌な部分がありません。ハイランドの若き戦士Jamieは教養があり冷静な計算もできるのにハイランダーらしく単純な熱血漢になることもあり、独自のユーモアのセンスもあってつい吹き出してしまうことが何度も...。この2人の作り上げる強い絆には、ふだんロマンスを読まない人でもきっと憧れずにはいられません。米国のAmazonのレビューに男性読者からの賞賛があるのは、男性にとっても魅力的な関係なのでしょう。 中心人物だけでなく、登場人物全員の複雑な人間性が見事に描かれています。洗練されていないハイランダーの男性たちも女性が書いたとは信じられないくらい信憑性があります。…
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予想外の結果Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第二マッチ
2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksの第一ラウンドの第二マッチです。 マーク・トゥエインの児童用伝記であるThe Trouble Begins at 8は通の間で絶賛されていますが、ニューベリーメダル賞を受賞したNeil GaimanのThe Graveyard BookはBattleの本命とみなされていました。ところがどっこい。。。…
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2008年最高の児童書を決めるBattle of the (Kids’) Books 第一ラウンド
2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksが今日からスタートします。読者もオンラインで投票できますが、それぞれのラウンドの審判の多くは有名な児童書作家です(またはこの業界のプロ)。 battle_of_the_kids_book_chart.pdfをダウンロード 第一ラウンドマッチ1はこの2作から。審判はThe Horn BookのEditor in ChiefのROGER SUTTONです。 どちらも死を扱ったハードな作品で、Ways…
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今話題の新語「Amazon Rank」とは
今、Twitterでめちゃめちゃ話題になっているAmazon rankという新語があります。 これは最近Amazon.comが検索でLGBTQ (Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Queer/Questioning)のトピックをすべて抹消するという決断を下したことから作られた新語です。これまでなら「homosexuality」でロマンスから純文学、性教育、社会学まですべてのカテゴリーの本が検索できたのですが、今は次のような限定されたものしか検索できなくなっているというのです。 A Parent’s Guide to Preventing Homosexuality Jesus,…
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Battle of the (Kids’) Books いよいよスタート
2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksが明日からスタートします。読者もオンラインで投票できますが、それぞれのラウンドの審判は有名な児童書作家です。 slj_bob_brackets1.pdfをダウンロード 第一週は第一ラウンドです。私が応援するのは、Graceling。でもたぶん勝つのはThe Graveyard Book でしょうね。人気がありますから。 Match 1:…

