Eclipse (Twilight Saga, Book 3 )

作者:Stephenie Meyer 2007年刊 ジャンル:ファンタジー/パラノーマル/ロマンス/ヤングアダルト 三角関係のテンションとアクションに満ちた娯楽作 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1904233910&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 トワイライト・サガの第3作「Eclipse」のテーマは「嵐が丘」ということ。 エドワードもジェイコブもヒースクリフに似ていないので、三角関係を除いてさほど嵐が丘を連想させるところはありませんでした。でも嵐が丘より読みやすくて面白いのは確かです。 今回はちょっとミステリー/サスペンスの趣がある出だしです。シアトルで次々と殺人事件がおき、どうやらVolturiの掟に背いてバンパイアを大量生産しているグループがいるようです。ベラの命を狙っているバンパイアの存在がわかり、エドワードは安全のためにベラがジェイコブに会うことを禁じます。 第2作でエドワードの不在中に支えてくれたジェイコブに対し友情以上の感情を抱くベラ。エドワードから力づくで彼女を奪おうとするジェイコブ。このあたりからちょっとややこしいことになってきます。体温がなく凍えるような肌のエドワードと人間よりも体温が高いジェイコブ。クールで大人のエドワードと熱血漢で子供っぽいジェイコブ。バンパイアと狼人間。対極にある二人の男性が奪い合いの争いをする、というのは女性の夢ですよね。というわけで、私の周囲の女子高生からは第2作よりも人気があった作品です。 私はロマンスの繊細さがあった第2作のほうが好きでしたが、最後まで飽きさせない展開には脱帽です。 ●読みやすさ ★★★☆☆(2009/3/1修正) ★★★と★★★★の中間ですがTwilightに比べると、少し読みにくいところがあるかもしれません。けれども、すでに2冊をこなしているあなたでしたら、まったく困ることはないでしょう。 ●ここが魅力! 初恋、失恋、ときたら次の恋の試練は三角関係ですね。今回はエドワードとジェイコブのベラ奪い合い競争が焦点です。…

Midnight Sun: エドワードの視点からの Twilight

これについてはいつか書かねば、と思っていました。 トワイライトシリーズ完結後にエドワードの視点からの「Twilight」であるMidnight Sunが出版される予定だったことは、Twilightの大ファンであればご存知だと思います。 その出版が中止になったいきさつはMeyer自身のサイトで詳しくごらんになれますが、作者に無断でドラフト原稿がインターネットに出回ったのが原因です。ドラフト原稿が多くのファンの目に触れたことは、多くの意味でMeyer にとっては心的トラウマを引き起こすことになったでしょう。まずは信用していた人から裏切られたショックですね。彼女が言うように、出回っているのがどの時点のドラフトかで誰からもれたのかが分かります。それから、不完全なものをファンに読まれてしまうという屈辱も相当なものだったでしょう。 今の精神状態で書くと「ジェイコブに勝たせて、Cullen一家はみんな死んでしまう」だろう、と彼女が言うように、「書き直せばいいじゃん」という単純なものではないのです。 だから、不法なサイトには行かないでくださいね ファンが違法のドラフトをインターネットで探し回ることを避けるために、Meyerはみずから不完全なドラフトをサイトで提供しています。 将来気持ちが落ち着いたらちゃんとした本として出版するつもりはまだあるようです。それを待てない方は、Meyerの公式サイトでドラフトをどうぞ。

2010年Rebecca Caudill賞候補マスターリスト発表!

Rebecca Caudill賞は、イリノイ州に住んでいた児童作家のCaudillを記念して作られた児童書の賞で、イリノイ州の賞なのですが、気取ったものではなく子供が実際に喜ぶ「売れる」作品を選ぶことで有名です。これまでの受賞作を読めばお分かりになるでしょう。 まだ2009年の受賞者が決まっていないというのに、私がフォローしているAbby(the)Librarianさんによると、すでに2010年の候補マスターリストが出来たということです。さっそくチェックしてみました。 私が個人的に「面白そうだ!」と思ったのは下記の作品です。ペーパーバックがもうじき出るので、それまで待ってもよいでしょう。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=015206608X&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 これまでのCaudill受賞作品 リストはここでも読めます。 2007 – So B. It by Sarah Weeks2006…

New Moon (Twilight Saga, Book 2 )

作者:Stephenie Meyer 2006年刊 ジャンル:ファンタジー/パラノーマル/ロマンス/吸血鬼/ヤングアダルト エドワードとベラはロメオとジュリエットの悲劇を繰り返すのか? http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0316024961&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ●★★★★☆(2009/3/1に他のエントリーとの比較により修正) ★★★と★★★★の中間。文法は単純ですし、大学入試に出るような難しい単語は使われていません。高校1年生程度の英語力で十分理解できます。本は分厚いのですが、フォントが大きいので決して長い作品ではありません。多くの9-12歳向けの作品よりも読みやすいと思います。 ●ここが魅力! 恋が安定してしまうと面白くありません。 New MoonではTwilightで体験できなかった失恋の苦しみをじっくり味わえます(そんなの味わいたくない、という人もいるでしょうが)。失恋で終わらず、それからの回復が醍醐味です。山あり谷ありの感情のローラーコースターが楽しめます。 ●アダルト度 ★★★☆☆ YA(ヤングアダルト)。高校生の少女向け。…

Twilight ( Twilight Saga, Book 1 )

作者:Stephenie Meyer 2005年刊 ジャンル:ヤングアダルト/ファンタジー/パラノーマル/ロマンス 全米の少女(と中年女性)が恋におちた吸血鬼と人間の少女のラブストーリー 2009/3/1修正 いきなり主人公が死に直面する場面でスタートします。”he”が彼女の愛する者であることは想像できますが、彼女を殺そうとしているのが誰なのかはわざと曖昧になっています。 ここですでに作者Meyerのストーリーテラーとしての卓越さがうかがえます。 主人公は17歳のベラという少女で、両親は離婚しています。これまで同居していた母に新しい恋人ができ、ベラはその邪魔にならないように父と同居することに決めます。太陽がさんさんと輝くフェニックスからそれとは正反対で一年中雨が降るワシントン州のForksという田舎町に引っ越してきたベラは、小さな高校で美しい5人組の兄弟をみかけます。そのうちの一人エドワードはベラをまるでおぞましいモノのように扱ったかと思うと、数日後にはそれと正反対に親しげな態度を取ります。エドワードはいったいベラのことをどう思っているのでしょう?エドワードの謎に危険を感じながらも、ベラは強く惹かれてゆきます。 ●読みやすさ ★★★★☆(他のエントリーとの比較から2009/3/1に修正) ★★★と★★★★の中間。文法は単純ですし、大学入試に出るような難しい単語は使われていません。高校1年生程度の英語力で十分理解できます。本は分厚いのですが、フォントが大きいので決して長い作品ではありません。多くの9-12歳向けの作品よりも読みやすいと思います。 ●ここが魅力! この本の優れたところは、吸血鬼というパラノーマルなテーマを扱いながらもクラシックなロマンスブックの流れを汲み、初恋でしか味わえない特別な甘酸っぱさを表現しきっているところです。自分が抱くこの気持ちは恋なのか?彼の態度には何か特別な意味があるのか?彼を信じるべきなのか、それとも逃げるべきなのか?こういった葛藤が心をざわつかせる逸話の積み重ねでクライマックスに向かってクレッシェンドで進みます。 たいていの読者はForks高校のカフェテリアでエドワードを見かけたときからすっかりベラになりきって何度も鼓動の高鳴りを感じることでしょう。 何度読み直しても無駄な部分がない作品です。…

わがままな家族がいると家が片付かない

コレクションというのは、趣味というよりも病気だと思います。わが家にはコレクターがいるのでこれは実感です。 家の中を美しく保っている姑や友人たちは本を読み終わったらすぐに友達にあげるかチャリティに寄付してしまうのでそもそも「本棚」というものがありません。わが家では本が捨てられないだけでなく、同じ本が2冊以上あることが多いのでちっとも片付きません。 まずはOprahのブッククラブを断って有名になったジョナサン・フランゼンのThe Correctionsです。左側は本が発売される前に評論家などに渡される「Advance Uncorrected Proof」で2001年の出版直前にフランゼン本人からサインをもらったものです。コレクターの夫は「美しい状態に保てるのなら読んでもいいけど」と難しい注文をつけるのですよ。それでずっと読まなかったのですが、とうとう読みたくなって自分用に買ったのが右側です。 次はジェフリー・ユージェニデスのMiddlesex。これもThe Correctionsと同じ理由で2冊めを買いました。 Harry PotterのDeathly Hallowsが2冊あるのは、娘と私の両方とも他人からうっかり結末を聞かされるのが嫌で「お先にどうぞ」と譲らず、結局発売当日深夜に並んで2冊買い、同時に読み始めたというわけです。 さて次の本は1冊しかありませんが、これも夫の収集癖を示す本です。 How Opal Mehta…

DaemonついにCross Countryを抜く

以前に「Daemon」は売れるという予告をしましたが、それが現実になりつつあります。Amazon.comでは、ニューヨークタイムズベストセラーに入っているジェームズ・パターソンの「Cross County」を抜きました。 NYタイムズ紙とAmazon.comのベストセラーが異なるのは、NYタイムズ紙のものが「本屋に平積みしてあるから買う」読者を含んでいるのに対し、Amazon.comの読者にはちゃんと予習復習をしてから買う人が多いからでしょう。パターソンの手抜きさに比較して、Daniel SuarezのDaemonは「ひとつの本にこんなに知識を詰め込んでしまってはもったいない」と思うくらい密度が高い本です。 Daemonの作者Daniel Suarezには以前「この本は大ヒットする!」というファンレターを出し、「そうだといいのですが」というフレンドリーなお返事をいただきました。

大統領就任式の週のベストセラー作家はオバマ大統領

パブリッシャーズウィークリーは、大統領就任式があった週のオバマ大統領の本は2冊ともベストセラーだったことを報告した。 Nielsen BookScanに売り上げ報告した書店のみでも1週間のDreams of My Father の販売数が48,000冊、Audacity of Hope は29,000冊だったということである。