Danger’s Hour

神風特攻隊の知られていない姿をアメリカ人に伝える書 著者:Maxwell Taylor Kennedy カテゴリー:歴史(ノンフィクション) http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0743260805&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0743260805&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 1945年5月の神風特攻隊による空母バンカーヒールの攻撃を例に、現代アメリカ合衆国が直面するテロリズム問題をどう理解し、どう取り組むべきなのかを解説する書。 ユニークなのは、著者がアメリカ人の生存者だけではなく、特攻隊の生存者の証言を載せていることである。理解しがたい存在である特攻隊の存在を人間的にとらえ、戦争を終わらせるために原爆投下の必要がなかったことに言及しているとのことだ。

Testimony: A Novel

著者:Anita Shreve 2008年10月初刊 心理サスペンス/時事問題 米国の有名私立高校と高校生の実態 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0316059862&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0316059862&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 「パイロットの妻」で有名なシュリーヴによる、数年前に米国北東部(ニューイングランド地方)の有名私立高校で起こったセックススキャンダルを連想させる心理サスペンス。 ヴァモントの小さな村にある有名私立高校には他の州からの裕福な学生が集まっている。貧しい地元からこの学校に通う生徒はほとんどいないのだが、サイラスはバスケット選手として奨学金を得ている。そのサイラスを含む男子生徒3人が新入生の少女1人を相手にオージーをしているビデオが出回り、校長のマイクはスキャンダルが外部に漏れる前に内部で処理しようとする。 セックススキャンダルがマスコミで話題になると、加害者と被害者はステレオタイプで描かれる。けれども、真実はきっともっと複雑なはずだ。シュリーヴは、ストリーテラーの手腕を発揮し、関係者が事件を振り返る証言の形で表面からは想像できない複雑な人間劇を描こうとする。いったん読み始めるとひきこまれる魅力はあるし、シュリーヴが得意な初恋の胸の痛さも描かれ、サイラスを含めて何人かの登場人物には同情心を覚えずにはいられない。 しかし、これまでのいくつかの作品にくらべ、いまひとつ強い印象を残さなかった。 ●読みやすさ ★★☆☆☆ 語り手がどんどん変わるところが読みにくいと思います。 また、全員が一人称でないところも混乱を呼ぶところでしょう。 けれども基本的には難しい英語ではありませんし、ストーリーの展開も興味深くて入り込みやすいでしょう。ただし、Picoultなどに比べると多少詩的な文体なので、読みづらく感じる方もいるかと思います。…

Change of Heart

著者:Jodi Picoult 2008年3月初刊 ジャンル:心理サスペンス/時事問題 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416554343&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0743496752&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 Picoultのベストではないが、読み逃したくない作品 Jodi Picoultの本は絶対に読み逃さないことにしている。 それは彼女が娯楽作品を通じて読み手に難しい社会問題を考えさせる天才だからだ。これほど巧みなストーリーテラーはめったにいない。 警官とその継子の少女を殺害した死刑囚のシェイは、死刑執行が迫った11年後に少女の妹に移植用の心臓を提供することを望む。母親は死が目前にせまった娘に憎い男の心臓を与えるべきかどうか葛藤するが、それだけがハードルではない。塩化カリウムで心停止させる通常の死刑では心臓を移植に使うことはできないのだ。 シェイがコンコード刑務所に移ってきてから奇跡が起こり始める。シェイの奇跡は暴力的な囚人たちやタフなガードたちを根本から変えてゆく。シェイをキリストの生まれ変わりと信じて奇跡を求める人々と冒涜者として糾弾する人々が刑務所の外でぶつかる。 陪審員としてシェイの死刑に票を投じたのがきっかけで宗教に身をささげた若い牧師とシェイの望みをかなえるために死刑の方法を変えようと働く若い女性弁護士は、それぞれ異なる葛藤を覚える。 カトリックとユダヤ教の関係や奇跡に対するキリスト教内での宗派の反応の差など、アメリカ合衆国に住んでいないとぴんとこないところもあるだろう。また、いつもの彼女の作品より複雑さと深みに欠けるような気もする。しかし、それでも読み終わった後Picoultの残した疑問について考えこまずにはいられないのは、優れた作品だからだろう。 ●読みやすさ ★★☆☆☆…

Loving Frank

著者:Nancy Horan 2007年8月初刊 ジャンル:純文学/歴史(フィクション) http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0345495004&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0345495004&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 建築家フランク・ロイド・ライトと彼の女性遍歴について書かれた書物は沢山あるが、彼の最初の結婚を破綻させたといわれるMamahの記録は殆ど残っていない。これは、歴史から無視されたMamahを空想力で蘇えらせた小説である。 Mamahは二児の母でありながら夫が自宅のデザインを依頼した新進の建築家Frankと恋におちる。ドイツに駆け落ちしてからは翻訳の仕事に生きがいを見出すが、恋は残酷な運命を迎える。 私にはこれまでに何度も書かれたテーマの本にしか思えなかったが、アメリカ人の姑(70代後半)やその友人たちはこの本にぞっこん惚れ込んだようである。有名大卒で経済的に成功した夫を持つ姑とその友人たちは、おしなべて伴侶よりもしっかりした頭脳を持っている。時代ゆえに脇役に徹するしかなかった彼女たちは、Mamahの行動力に憧れ、Frankや歴史から忘れ去られた彼女に同情を覚えたにちがいない。 ●読みやすさ ★★☆☆☆ 特に難解ではありませんが、展開が緩慢に感じるかもしれません。 ●ここが魅力! フィクションとはいえ、フランク・ロイド・ライトの人格描写は史実に基づいた正確なものだということです。フランクとママーが互いの間に何を見出したのか、何を得て、何を失ったのか、ロイド・ライトのファンには興味深いところです。 ●アダルト度 ★★★☆☆…

Atlas Shrugged

著者:Ayn Rand 1957年初刊 ジャンル:フィクション/純文学 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0451191145&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アメリカ人と関わる機会がある人なら一度は読むべき本 ロシアからの移民のAyn Randがこの小説を使って布教したかったのは、「合理的な利己主義こそが真の道徳の基準であり、利他主義・博愛主義は極めて非道徳的」だという考え方である。ノーム・チョムスキーが「現代の知識人のなかで最も邪悪なひとり」と呼んだのも納得できる。 この本が出版された1950年代は社会主義・共産主義への反感が強い時代だった。ソビエト連邦の脅威にパラノイアを抱くアメリカには利他主義を批判するこの本を受け入れやすい土壌があったのだ。 最近まで共和党は経済的なエリートの党であった。彼らは「貧しい者は、努力をしないからである。努力して裕福になったわれわれが怠け者の面倒を見ることを強要される福祉対策が社会主義だ。それを支持する民主党を勝たせるとアメリカ合衆国は終わりだ」と信じる。裕福な共和党員の子はこれ以外の見解を知らずに育ち、大学では同じような友人を選ぶ。 だが、社会で異なる思想や経済的背景を持つ優れた人物と出会う機会があった者は、自分の体験からRandの倫理観の欠陥を読みとることができるようになる。学生時代に感動したのに20年後に読んで「ひどい」と感じる者がいるのは、体験が思想を変えたからだろう。 チョムスキー的知識人は強い嫌悪感を覚えるであろうし、グリーンスパン的知識人は強い魅力を感じるだろう。 思想の左右は別として、アメリカ人と触れる機会のある人は読む価値があると私は思う。Randの本に対する相手の反応で、どういう人物かを推測できるからである。これは有用なリトマス紙だ。 ●読みやすさ ★☆☆☆☆…

PWベストセラーリスト(ハードカバー/ ノンフィクション編)

洋書ベストセラー(ハードカバー/ノンフィクション)編-パブリッシャーズウイークリー(1月5日) 1.The Last Lecture 膵臓がんで死が近づいた大学教授の著者はたった46歳の若さで「最後の講義」を行った。これは彼がその後に幼い子供たちに残すために綴った本。長期にわたってベストセラーを続けている。 2.Outliers 才能かそれ以上に環境が成功を決める。成功のハウツー本ではないので要注意。この本がもっとも適しているのは、常に「なぜこんな現象が起きるのだろう?」と好奇心を抱く人。私の周囲の中年以上の男性はみんなこの本を読んでいる。 3.Dewey 犬のノンフィクションが売れるなら、猫のノンフィクションも売れる。 4.American Lion 第7代大統領Andrew Jacksonとその時代を解説するノンフィクション。 アメリカ人は過去の大統領について学ぶのが本当に好きなようだ。 5.The…

PWベストセラーリスト(ペーパーバック編)

以下はペーパーバック洋書ベストセラーのパブリッシャーズ・ウィークリー版(1月5日)。 1.The Shack by William P. Young 評論家に無視された無名作家のこの作品がなぜ口コミであっという間にベストセラーになったのか?それは、アメリカ版「一杯のかけそば」的なキリスト教徒としての感情に訴えかけるからだという見方がある。日本人にはどうか、と思うが、たやすく感動したい人にはよいかもしれない。 2.The Audacity of Hope by Barack Obama…

アメリカ出版ビジネスの動向

今週のパブリッシャーズ・ウイークリーに、米国出版ビジネスのコンサルタント会社The Idea Logical Company, Inc.の創始者でCEPのMike Shatzkinが1年前の自分の予言を評点したものが載っている。 そのうち私が興味深く思った米国出版ビジネスの動向をいつくかご紹介しよう。 1.e-bookの普及。ほとんどの大手出版社でe-bookの売り上げが急増しており、ランダムハウス社にいたっては最近400%増加したと報告している。 2.インターネット普及によるビジネスの変化。まだ現実化していないが、将来、有名作家が個人出版するか、通常よりも高い印税でindependentの出版社とのパートナーシップ契約を結ぶようになると筆者は予想する。 (2月末に発売予定の夫の新刊World Wide Rave: Creating Triggers that…