Month: April 2009

待望のDan Brownの新作9月に-The Lost Symbol

Da Vinci Code とAngels and DemonsのDan Brownが、待望の次作を今年9月に上梓することが発表されました。これまで何度も「出る」という噂が流れたのですが、今回は本当に作品が出来上がっているようです。 タイトルはThe Lost Symbolで主人公は同じくRobert Langdon。ストーリーは12時間という凝縮した時間内に起こるものだということで、スピーディーな展開が期待されます。初版はなんと5百万冊。相当なキャンペーンが見込まれます。 個人的には5月のBookExpo AmericaでARCが入手できるのではないかと期待してます。

2004年のYA問題作-How I Live Now

先日お約束したBattle of Kids’ Bookの第一ラウンド第四マッチの審判Meg Rosoffの作品のレビューです。 現代から近未来の英国が舞台。十分な愛情を受けず拒食症になっていたニューヨーカーの15歳の少女Daisyは、娘に手を焼く父親から英国に住む亡くなった母親の姉の元に送られる。戦争の危機にさらされている英国の空港に到着してみると、迎えに来たのは14歳の従弟Edmondだった。免許のない彼の運転で夏の別荘であるファームハウスに到着した直後、叔母は戦争を回避するための会合に出席するためにノルウェイに旅立ってしまう。 叔母の留守の間Daisyは他人の心を読む能力があるEdmondと恋におちる。Daisyがそれぞれ個性がある従弟たちとおとぎ話のような田舎の農場の暮らしを楽しみ始めたときに、ついに戦争が勃発する。最初は噂にすぎなかった戦争は次第に子供たちの生活を侵食し、侵略者によってばらばらに引き裂かれたDaisyとEdmondはサバイバルのためにそれぞれの苦闘をすることになる。 従弟間の性的関係というタブーを扱ったこともあり、出版当時非常に話題になった作品。 Michael L. Printz賞受賞作 ●ここが魅力! いろいろな出来事がめまぐるしく起こるので、まったく飽きることないストーリーです。親からの愛情欠乏で心理的にダメージを受けている少女Daisyのシニカルで否定的な口調が、サバイバルのための苦闘と喪失というつらい体験で成熟してゆき、思春期のホルモンにコントロールされているような無責任なティーンの恋が本物の愛情に変わるところがこの本の読書体験に満足感を与えてくれます。 すっきりと完成された作品ではなく、それを批判する声もありますが、完成されていない雑なところがかえってDaisyのストーリーに本物らしさを与えていると思います。 ●読みやすさ ★★★☆☆…

文学オタクの大人に適したYA本-Tender Morsels

先日お約束したBattle of Kids’ Bookの第一ラウンド第四マッチの勝者Tender Morselsのレビューです。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0375848118&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0375848118&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 19世紀以前と思われる架空の農村が舞台。15歳のLiga Longfieldは、父からの性的虐待とギャングレイプの犠牲になり、人生に絶望して死を選ぼうとする。だが、不思議なMoon babyに出会い、現実とのパラレルワールドのような理想郷に移り住む。そこには、Ligaを傷つける者は誰一人として存在せず、平和な世界でLigaは虐待の結果生まれた二人の娘BranzaとUrddaを愛情たっぷりに育てる。だが、欲深い小人のDoughtが魔女のAnnieを説得してこの理想郷に裂け目を生じさせる。最初はDoughtだけだったが、春を呼び寄せるための祭り「Bear Day」に心優しい若者Davit RamstrongがLigaの世界に熊に姿を変えて迷い込む。Davitが現実世界に戻った後にLigaの世界に表れた熊は心卑しい若者だった。心やさしい人々だけがすむ平和な世界しか知らない少女たちは、これら現実世界からの訪問者たちに異なる反応を示す。Branzaはこの理想郷に満足しているが、Urddaは「本物」が存在するエキサイティングな世界に行きたいと望み、ある日姿を消す。 読み終えると、裏表紙の”You are pure-hearted…

注目の新刊-コロンバイン高校銃乱射事件の真相を語るColumbine

来週の月曜日4月20日は世界的に有名なコロンバイン高校銃乱射事件の10周年です。 この新刊ColumbineはジャーナリストのDave Cullenが10年かけて綿密な取材をしたもので、巷に広まっている誤解を解き、犯人と事件の真相に迫る作品です。非常に高い評価を受けており、Amazon.comでも30位に上昇しています。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0446546933&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1906964149&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

ヤングアダルト(YA)特集のお知らせ

2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library Journal主催Battle of Kids’ Bookが続いています。読者の人気投票では現時点でダントツ1位がThe Hunger Game.そして2位が私が推すGraceling.けれども、人気投票では3位でニューベリーメダル賞を受賞したThe Graveyard Bookが既に敗退するという番狂わせも起こっていますから油断はなりません。 ヤングアダルト(YA)本は、英語のレベルとしては大人の本よりもはるかに簡単(ときどき9-12歳向けの児童書よりも簡単)で、しかも大人向けの本とほぼ変わらないテーマを扱っています。読みやすく、しかも読み応えがあるカテゴリーですし、よく売れるので業界も力を入れています。Battle of Kids’ Bookも続いていることですし、今週から来週にかけてヤングアダルトを中心になるべく多くの本をご紹介したいと思います。 少年用、少女用、SF、ファンタジー、冒険、青春、友情、心理問題、社会問題、などバラエティを考えていますが、「こんな分野の本を紹介して欲しい」というご希望がありましたら、ぜひお聞かせください。

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第八マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判は誰でも知っているThe Sisterhood of the Traveling Pants (Readers Circle)のAnn Brashares!審判が語るようにこれはまったく異なるカテゴリーの対決です。第一ラウンドに選ばれたのはいずれも2008年度の厳選された優秀作品なので、ラウンド最後のマッチは適切な対戦相手がみつからなかった残り物? Nationはフィクション。作者はユーモアたっぷりのファンタジーが得意なTerry Pratchett。架空の南の島が舞台で、成人の儀式で島を離れていた少年Mauがカヌーで帰宅すると、The Nation(故国)は津波ですっかり洗い流されています。そこに津波で遭難した英国の貴族の少女Ermintrudeが流れ着くという、冒険、ユーモア、ロマンス(ちょっと)といういっきに読める娯楽作品で、途中からPratchettらしくシリアスさが減るようです。 The LincolnsはAbraham…

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第七マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 いよいよ私が応援するGracelingの登場です。第七マッチはファンタジー、審判は邦訳もされているファンタジーのベストセラーTrickster’s Choice (Aliane):Daughter of the Lionessシリーズの作者 Tamora Pierceです。 The Underneathは小学校4年生から中学生が対象の児童書で、悪者の人間とふつうの動物が主人公の物語。リリカルでマジカルな文章とのことです。Gracelingは本ブログの書評をご覧ください。 審判のPierceは、The Underneathは米国独自の沼地の表現の美しさを称えていますが、それが長引きすぎて物語のテンションを失うことを指摘しています。そして、キャラクターたちが9-12歳向けの児童書にぴったりなのに、暴力やアルコール依存症といったテーマがヤングアダルト向けであることも問題視しています。一方のGracelingは出版前のゲラの段階で読んだときから気に入り、いろんな人に推薦してきた(それは審判を引き受ける前にちゃんとSchool Library Journalに伝えてある)ということ。Pierceの評価が私のものとそっくりで思わずにっこり。両者の違いをPierceは「The…

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第六マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 第六マッチはサバイバルを描いた本の対抗です。審判は、ゲイのティーンの恋を描きLambra Literary賞を受賞したHard Loveの作者Ellen Wittlingerです。Suzanne Collins のThe Hunger GameとLouise Erdrich のThe Porcupine Yearには、相当共通点があるようです。まず主人公の共通点は、女性のほうは勇敢で薬草による癒しの技術を身につけており、男性のほうは野うさぎを捕まえる方法を知っているということ。それから、どちらも不可能に思えるサバイバルに挑戦する物語です。 The Porcupine…