Category: 児童書(9-12才)

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第八マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判は誰でも知っているThe Sisterhood of the Traveling Pants (Readers Circle)のAnn Brashares!審判が語るようにこれはまったく異なるカテゴリーの対決です。第一ラウンドに選ばれたのはいずれも2008年度の厳選された優秀作品なので、ラウンド最後のマッチは適切な対戦相手がみつからなかった残り物? Nationはフィクション。作者はユーモアたっぷりのファンタジーが得意なTerry Pratchett。架空の南の島が舞台で、成人の儀式で島を離れていた少年Mauがカヌーで帰宅すると、The Nation(故国)は津波ですっかり洗い流されています。そこに津波で遭難した英国の貴族の少女Ermintrudeが流れ着くという、冒険、ユーモア、ロマンス(ちょっと)といういっきに読める娯楽作品で、途中からPratchettらしくシリアスさが減るようです。 The LincolnsはAbraham…

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第七マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 いよいよ私が応援するGracelingの登場です。第七マッチはファンタジー、審判は邦訳もされているファンタジーのベストセラーTrickster’s Choice (Aliane):Daughter of the Lionessシリーズの作者 Tamora Pierceです。 The Underneathは小学校4年生から中学生が対象の児童書で、悪者の人間とふつうの動物が主人公の物語。リリカルでマジカルな文章とのことです。Gracelingは本ブログの書評をご覧ください。 審判のPierceは、The Underneathは米国独自の沼地の表現の美しさを称えていますが、それが長引きすぎて物語のテンションを失うことを指摘しています。そして、キャラクターたちが9-12歳向けの児童書にぴったりなのに、暴力やアルコール依存症といったテーマがヤングアダルト向けであることも問題視しています。一方のGracelingは出版前のゲラの段階で読んだときから気に入り、いろんな人に推薦してきた(それは審判を引き受ける前にちゃんとSchool Library Journalに伝えてある)ということ。Pierceの評価が私のものとそっくりで思わずにっこり。両者の違いをPierceは「The…

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第五マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 オリジナルの記事はこちらを。 Nick & Norah’s Infinite PlaylistのRachel Cohnが審判です。 The Disreputable History of Frankie Landau-Banksは、周囲にフィットインできないティーンの少女が主人公で、We Are…

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第三マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 第一ラウンド第三マッチは、独立戦争の時代がテーマ。 Chainsは、1776年5月から1777年1月のニューヨーク・アイランド(現在のマンハッタン)を舞台に奴隷の少女Isabelが独立戦争のさなかに自由を求める闘いを描く小説です。そして、Washington at Valley Forgeは1776年の12月、ニューヨークでの英国軍との戦いに敗れたワシントンがペンシルバニア州のValley Forgeに撤退したときの苦難を描くノンフィクションです。審判は、Chainsの著者Laurie Halse Andersonとは友人、Washington at Valley Forgeの作者は昔から尊敬する心の師、ということで審判役を断りたかったほど悩んだようです。 どちらも優れた作品で両方読み比べるのが一番良いようですが、結果は「英雄よりも無名の少女の闘い」の勝利です。奴隷もの、ということでしり込みする方がいるかもしれませんが、Laurie Halse Andersonは、社会的・心理的な問題を扱ったロングセラーSpeakやWintergirlsの作者で、このChainsも大人を含め、広い読者層に受け入れられるものだと思います。…

予想外の結果Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第二マッチ

2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksの第一ラウンドの第二マッチです。 マーク・トゥエインの児童用伝記であるThe Trouble Begins at 8は通の間で絶賛されていますが、ニューベリーメダル賞を受賞したNeil GaimanのThe Graveyard BookはBattleの本命とみなされていました。ところがどっこい。。。…

2008年最高の児童書を決めるBattle of the (Kids’) Books 第一ラウンド

2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksが今日からスタートします。読者もオンラインで投票できますが、それぞれのラウンドの審判の多くは有名な児童書作家です(またはこの業界のプロ)。 battle_of_the_kids_book_chart.pdfをダウンロード 第一ラウンドマッチ1はこの2作から。審判はThe Horn BookのEditor in ChiefのROGER SUTTONです。 どちらも死を扱ったハードな作品で、Ways…

少年に人気のファンタジーシリーズ-The Ruins of Gorlan(The Ranger’s Apprentice Book 1)

John Flanagan2005年児童書(小学校4年生から中学生)/ファンタジー ニューヨークタイムズベストセラーで、小学校高学年から中学生の男子に大人気の「The Ranger’s Apprenticeシリーズ」の第一巻 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0142406635&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0142406635&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 孤児のWillは幼いころから騎士になることを夢見て育ったが、警備隊(Ranger)の弟子に選ばれてしまう。謎の存在のRangerは、現在のアメリカでいうならばCIAのような機密諜報員だった。Willはそこで尊敬する師に出会い、邪悪な魔力の攻撃から王国を守るために闘う。勧善懲悪、少年の成長物語、というクラシックなファンタジーの流れをくんでおり、苛めやそれを理解して解決してくれる師の存在など、子供たちが現実世界で「こうあってほしい」と願う世界がここにある。特に少年に人気があるのが納得できる。映画化(2010年公開予定)が進んでおり、8月には第6巻が発売される予定で、出版社がキャンペーンに力を注いでいる作品。 ●ここが魅力!尊敬する師から生き方を学び、いじめっ子との友情を育て、初恋に目覚めるところなどが、小学校高学年から中学生の少年にはぴったりのファンタジーです。冒険やチャレンジも過激になり過ぎず、しかもエキサイティング。シリーズを通じて少年が成長してゆくところも良いところです。ファンタジーのファンだけでなく、ファンタジーがどんなものか試してみたい方、冒険ものが好きな人、小学校高学年から中学校向けのヤングアダルト本を読むのにどの程度の英語力が必要かを知りたい方にぜひおすすめします。 ●読みやすさ ★★★☆☆最初の数ページはとりつきにくくても、第2章以降はすんなりと読み進めることができるでしょう。 ●アダルト度 ★☆☆☆☆小学生にも安心して読ませることができる内容です。 ●The Ranger’s Apprenticeシリーズ The…

児童書SFのクラシック-A Wrinkle in Time

Madeleine L'Engle1962年SF/児童書(9~12歳対象) 50年近く愛され続けている児童書のSF http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0312367546 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312367546&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 14歳のMeg Murryは、両親が科学者だというのに学校の成績は悪く、教師からは問題児扱いされ、同級生からは馬鹿にされている。双子の弟たちは社会に受け入れられる普通の子どもだが、一番年下の弟Charles Wallace(これ全部がファーストネーム)は、発達障害があるとみなされていて嘲笑の的になっている。けれども実はMeg もCharles Wallaceも今で言うところのGifted(天賦の才がある子)で、通常の社会にフィットしないだけだったのだ。Megたちの父親は数年前米国政府の秘密プロジェクトtesseract(a wrinkle in time=時のゆがみを利用したある種のタイムトラベル;つまり当時流行ったコンセプトのワープと思われる)に関わっている途中姿を消した。父親の不在が家族に暗い影を落としているとき、浮浪者のようなMrs. Whatsitが家にやってくる。どうやらMrs. Whatsitは父親の消息を知っているらしい。MegとCharles…