Category: 児童書(9-12才)

子供の驚きと笑いを描ききった最高の詩集-Where the Sidewalk Ends

Shel Silverstein1963年初版イラストつき詩集/保育園程度から小学校高学年向け+子供の世界を懐かしむ大人 「子供向けの詩集でもっとも好きな作品は?」とたずねられたら迷ってしまいますが、「子供向けの詩を書いた最も好きな詩人は?」とたずねられたら、迷わずにShel Silverstein答えます。最初の答えで迷うのは、Silversteinの作品はどれも傑作でひとつだけ選ぶのはほぼ不可能だからです。でも、1冊だけ買って試したい方には、Where the Sidewalk Endsをおすすめします。 Shel Silversteinの詩との出会いは、娘の4歳の誕生日のプレゼントに同級生の両親から贈られたA Giraffe and a Halfでした。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060256559&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 それはこんな風な詩です(プロダクト説明からの引用なので途中まで)。…

Wickedの作者による子供向けパロディおとぎ話-Leaping Beauty: And Other Animal Fairy Tales

Gregory Maguire2006年2月224 ページ HarperCollins児童書(9-12歳)/パロディ・ユーモア/短編集 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060564199&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0060564199&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 人気ミュージカルWicked の原作者として知られるGregory Maguireですが、私の娘の小学校に創作を教えにきてくれていたころは児童書作家でした。そのことについては以前にもお話しました。社会風刺をまじえて大人用に書き直したおとぎ話シリーズで成功したMaguireが、同様の手段で子供用におとぎ話を書き換えたのがこのLeaping Beauty: And Other Animal Fairy Talesです。Maguire本人に会ってすぐに気づくのは彼のwicked(ちょっと邪悪)なユーモアのセンスです。彼が創作クラスを教えていた小学校4年生たちにはそこが魅力で、Maguireが口を開くたびに子供たちが笑い転げていたのが強く印象に残っています。誰もが知っている(聞いたことがある)おとぎ話を彼特有のユーモアで書き直したLeaping…

Battle of the (Kids’) Books 決勝戦!

いよいよバトルの決勝戦です。ここから入った方はこちらを。バトルのサイトはこちら。 決勝戦に残ったのはどちらも「児童書」のステレオタイプから外れた作品。The Astonishing Life of Octavian Nothingは典型的な人種差別ではなく、さらに深い人間の心の闇も描いた問題作です。黒人少年Octavianは、独立戦争時代のボストンで裕福な知識人に育てられますが、実は自分が実験材料であり囚われの身であることを悟ります。天然痘の予防的種痘のThe Pox Partyでアフリカのプリンセスであった母が亡くなり逃亡するものの、捕らえられて鉄の仮面をかぶらされます。そこからの逃亡を描いた第一巻The Pox Partyは2006年にNational Book Awardを受賞し、読者層は大人まで広がりました。そして、今回候補になった第二巻・完結編のThe Kingdom on…

児童書界の重鎮-Lois Lowry

muse & marketplace特集第7回は、Battle of the (Kids’) Booksの決勝戦の審判、Lois Lowryです。(二つの特集が重なるなんて素敵な偶然だと思いません?)Lois Lowryは、ヤングアダルト向け児童書としてより優れたSFとみなされているThe Giverの作者で、これまで数え切れないほど多くの作品を書いています。また、彼女はmuseのボランティア講師の常連でもあり、作家志望者に児童書のコツを指導しています。 今日は多くのLowryの作品の中から2つの異なる未来を描いたSFをご紹介します。 1.The Giver 理想郷の近未来では、すべてが同じであり平等である。色の差もなく、土地や天候にもバラエティはなく、人々の感情にも起伏はない。”Council of…

Battle of the (Kids’) Books 準決勝第二マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。バトルのサイトはこちら。審判は邦訳もされているホエール・トークなどスポーツ、人種差別、児童虐待を扱う青春小説の第一人者Chris Crutcherです。 いよいよ決勝に勝ち残る最後の本が決まる準決勝第二マッチです。それぞれの本についてはThe Hunger Gamesの第一ラウンド、第二ラウンドの取り組みと、The Lincolnsの第一ラウンド、第二ラウンドの取り組みを参考にしてください。 ジャンルが異なるから正確に比較できないことを英語で"comparing apples and oranges"とか "apples to oranges"といいます。でも、審判のCrutcherはりんごとオレンジは少なくともフルーツだ、とファンタジーと歴史ノンフィクションの比較の難しさをぼやいています。 これまでの審判誰もが認めるように、The Lincolnsはすべての子供に読ませたい、読ませるべき本という感じです。ふだんファンタジーを読まないCrutcherにとってThe…

Battle of the (Kids’) Books 準決勝第一マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。バトルのサイトはこちら。 審判は、日本軍占領下の韓国での幼い兄妹の生活を描いた児童書「When My Name Was Keoko」の作者Linda Sue Parkです。 今日の取り組みはなかなか良い組み合わせです。歴史小説、米国の独立戦争時、黒人が主人公、語りが第一人称と共通点が沢山あります。ParkはThe Astonishing Life of Octavian Nothingの第一巻The Pox…

ハリー・ポッターファンにおすすめ-Percy Jackson & the Olympiansシリーズ

そろそろ男の子向けのヤングアダルト本のご紹介を。この分野ははSF、 ファンタジー、冒険ものが多く、9-12歳向けの児童書とヤングアダルトの区分がつけにくいようです。同じ本でも異なる町の図書館で児童書扱いされていたり、YA扱いされていたりとばらばらです。また大人の読者が多いのにYA扱いされているものや、その逆もあります。今日ご紹介するPercy Jackson & the Olympiansシリーズもそんな本のひとつです。ハリー・ポッターのように小学生から高校生くらいまで幅広い年齢層の少年に大人気で、すでに映画化(米国では2010年2月に上映予定)が進んでいます。シリーズ完結編の5巻が今年5月に発売されますので、今からスタートすれば上映までに全部読みきることができるでしょう。 Percy Jacksonの父は彼が生まれる前に姿を消し、優しくて完璧な母親はなぜかろくでなしの男と結婚している。ADHD(注意欠陥・多動性障害)と学習障害がある彼は問題を起こしては転校を繰り返し、ついに問題児が集まる寄宿制の学校に入学して親友と尊敬するラテン語の教師に出会う。しかし、ここでも問題を起こして退学になる。実はPercyがADHDでしかも学校を転々としていたのにはちゃんとした理由があった。Percyは、ギリシャ神話の神と人間との間に生まれたdemigodだったのだ。 作者Rick Riordanの息子にはADHDと学習障害があり、幼いころにその子が深い興味を抱いたのがギリシャ神話だった。ギリシャ神話の神にはADHDなところがある。その神と人間の間に生まれたdemigod(半神半人、ギリシャ神話に出てくるヘラクレスのようなヒーロー)にADHDがあるのは当然で、しかもそれは利点なのだ。そんな発想で息子のために物語を語り聞かせたのがPercy Jackson & the Olympiansシリーズのきっかけだった。 demigodが集まるCamp…

Battle of the (Kids’) Books 第二ラウンド第四マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 審判はNational Book賞候補になったThe Rules of Survival の作者Nancy Werlinです。これは、児童虐待を扱ったYA本です。 今日の対決はファンタジーのGracelingとノンフィクションのThe Lincolns です。 読者の人気投票ではGracelingが圧倒的な勝者ですが、Werlinはファンタジーロマンスのファンゆえに、Gracelingに対してかえって厳しい判断を下したようです。Gracelingの地理や設定などが論理的でなく、ニュアンスに欠けるために、デビュー作としては優れていても傑作ではないという批判をしています。私もこれまで完成度の高いファンタジーは沢山読んできたので、それと比べたらやはり影が薄くなるという事実にはしぶしぶ同意せざるを得ません。とはいえ、Werlinも私のように135ページからのKatsaの物語には惚れ込んだようで、次作が非常に期待できると言っています。 それに比較して、The Lincolnsは文句なしに優れたノンフィクションだとWerlinは感じたようです。歴史でAbraham のことはしっかり学んだ人でも、妻のMary…