Category: 泣ける本
子供時代に親から言葉を奪い去られたイラストレーターの回想記 Stitches
David Small336ページ(ハードカバー)W W Norton & Co Inc 2009/9/8グラフィックノベル/回想記 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0393068579 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0393068579 「グラフィックノベル」は、日本の漫画に似ていて異なる。どう異なるかを言葉で説明してもよくわからないであろうから、そこは読んでいただくしかない。 このグラフィックノベル「Stitches」は、ベテランイラストレーターのDavid Smallの回想録であり、グラフィックノベルの中でも特殊な作品である。 David Smallの幼年時代は、暗い沈黙に満ちていた。母の無言の怒りは家族全員を緊張に満ちた沈黙に引きずりこみ、それぞれが押さえ込んだ怒りを別の「音」で発散していた。放射線専門医だった父親は、病弱だったDavidに放射線照射を繰り返し、結果的に頸部の癌を与えてしまう。だが、両親は彼から事実を知る権利を奪い、本人に何も告げずに手術をし、声帯を半分除去してしまう。手術から目覚めたDavidは、自らの選択ではなく「沈黙」を強いられてしまう。…
Share this:
骨董の短刀が伝えようとしているものは何か?愛と贖罪のストーリィ — The Last Will of Moira Leahy
Therese Walsh304ページ(ハードカバー)Shaye Areheart Books2009/10/13文芸小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0307461572 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0307461572 25歳のMaeve(メイヴ)は、大学で外国語を教える以外にはほとんど外の世界との交流がない孤独な生活を送っている。幼なじみでルームメイトのKit(キット)以外の友人は大学で知りあったNoel(ノエル)だけだが、そのノエルもヨーロッパに行ったきり連絡を絶っている。 9年前までメイヴは怖いもの知らずの活発な少女だった。幼い頃からサキソフォンの才能を発揮し、誰からもプロの演奏家になることを期待されていた。けれども人類学者の祖父の影響を受けたMaeveの最大の夢は、一卵性双生児の妹Moira(モイラ)と冒険に乗り出すことだった。メイヴとモイラは二人の間だけしか通じない言語を話し、言葉を交わさなくても互いの考えていることが分かるほど親密だったが、思春期を迎えてモイラは次第に華やかな姉に嫉妬心を抱き、メイヴを拒絶するようになる。そして、ある日のできごとを境にメイヴはひとり取り残され、音楽を捨て、故郷のメインを去る。母親はメイヴの住む場所を訪問することを拒否し、メイヴは頑に故郷を避けている。故郷と母親だけでなく、親友キットの兄イアンを避け続けているのにも誰にも明かしていない深い理由がある。 ある日、メイヴは骨董のオークションでインドネシアのKerisという短刀をみかける。幼いときに失った祖父からの贈り物にそっくりのそのKerisをどうしても欲しくなったメイヴは金額が予想以上に競り上がったにもかかわらず、競り落とす。そのKerisを入手する前後から、彼女に不思議なことが起こりはじめる。頭の中で音楽や音が鳴り、Kerisが勝手に移動するのだ。そして、オークションでメイヴと競り合いをしたインドネシア人は彼女のドアに謎めいたKerisの本やメッセージを残す。kerisは人の運命を伝える神秘な剣で、彼は実はこのKerisを持ち込んだKeris作りの名人empuだったのだ。彼女はローマへ招待する彼のメッセージを無視するつもりだったが、突然訪ねて来た父親に強くすすめられてローマに出かける。ローマに到着すると、音信不通になっていたノエルが待っていた。 ●ここが魅力! 神秘的な力を持つ短刀Keris(左の写真)と双子の妹モイラに関する謎がこの物語の焦点です。快活だったモイラがどうして何事にも臆病な引っ込み思案の女性になってしまったのか、その心理にも引き込まれます。 また、私は骨董が好きで、買いはしないのですがオークションにも出かけることがあります。ですからKerisというインドネシアの短刀にまつわる神秘的な逸話や骨董好きのノエルという青年(日本で言えば草食系の男性)など、私の好みです。 超常現象が混じったこの物語の雰囲気は、私が以前ご紹介したIn the Country…
Share this:
The Hunger Gamesのエキサイティングな第二巻ーCatching Fire
400ページ Suzanne Collins Scholastic Press 2009 年9月1日発売予定 SF・ファンタジー/YA(ヤングアダルト) The Hunger Gamesを読んでいない方はあらすじを飛ばしてください (あらすじ-反転しています) 前回の悲劇の恋人を演じることで奇跡的に生き延びたKatnissとPeetaだが、Capitolにとってはそれは反逆のシンボルだった。Capitolに敵視されていることを知るKatnissとPeetaは家族たちを守るために恋人の演技を続けることを選んだが、既にほかの地方(districts)では謀反の動きが起こりつつあった。謀反に参加することよりも自分と家族が生き延びることだけを考えていたKatnissだが、Capitolは謀反を押さえるために歴史上異例のHunger gamesを企画してシンボル化しているKatnissを排除することを企む。このHunger gamesはこれまでに増して残酷なものだったが、そこにはKatnissすら知らない秘密の動きがあった。…
Share this:
時をかける彼と戻りを待つ彼女の時を超えて続くラブストーリー The Time Traveler’s Wife
Audrey Niffenegger Mariner Books 2004年5月発売 560 pages SF/商業的文芸小説/ラブストーリー 図書館司書のHenryは、”Chrono Displacement”症候群という架空の疾患に侵されていているために、予期しないときに予期しない時間と場所に突然タイムトラベルをしてしまう。飛んでゆく時は、未来の場合もあり、過去の場合もあり、予測はできないが、たいていは彼にとって重要な意味を持つ時である。 問題は、タイムトラベルの際に肉体以外は移動できないこと。だから別の時間に出現するHenryは全裸で、きわどいトラブルに巻き込まれる。何度も危機に瀕した彼は問題を解決するために一定のスキルを身につけるようになった。 また、タイムトラベルがHenryにもたらしたのは、ラブストーリーのパラドックスである。 Henryは28歳のときに初めて20歳のClareに出会うが、Clareは彼のことをずっと知っていると言う。実はClareは6歳のときに40代のHenryに出会い、彼が28歳になるまでに何度も会っていたのだ。 図書館での出会いから時間は過去と未来に飛びつつ進行する。現在、過去、未来のHenryとClareの視点を交えるうちに、しだいに過去と未来のタイムトラベルが重なり合ってくる。 現在にとどまってClareと普通の幸福をつかみたいHenryのフラストレーションと、いつ消えていつ戻ってくるのかわからない夫を待つClareの不安を、SFというよりもは、純文学のようにリリカルに、切なく、情熱的に描いている。…
Share this:
いったん読み始めたらやめられない世紀末後の殺しのゲーム-The Hunger Games
Susanne Collins 2008年9月 SF/ファンタジー/スリラー/アクション/ヤングアダルト
Share this:
優れたストーリーテラー-Jodi Picoult
Jodi Picoultは、好きというよりもストーリーテラーとしての力量を尊敬している作家です。毎年のように新刊を上梓する多作にもかかわらず、社会的に異論の多い重いテーマを取り上げ、綿密な取材をしたうえで、「あなたなら、どうする?」と問いかける作品に仕上げます。Picoultのお得意は、時事、医療、法律を織り込んだ心理スリラーです。登場人物が多いので混乱しやすく、専門用語も頻発します。慣れれば読みやすい作家ですが、英語に慣れている必要はあります。読みやすさのレベルは★★☆☆☆です。 最近発売された「Handle With Care」はすぐさまニューヨークタイムズ紙の1位に踊り出ました。それだけファンが多いということでしょう。あまりにも作品数が多いので、Jodi Picoultを読んだことがない方はどれを手に取ればよいか迷うのではないかと思います。それぞれの書評は後日加えますが、とりあえず以下は私が個人的におすすめする順です。 1.My Sister’s Keeper http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0743454537&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0743454537&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 遺伝子操作や臓器移植などに関する生命倫理がテーマ。13歳のAnnaは、稀なタイプの白血病に罹患した姉を救うために、遺伝子操作(人工授精の受精卵で遺伝子が合致したもののみを着床させる方法)で生まれた。これまですでに何度もドナーの役割を果たしてきたが、ついに姉に腎臓提供をすることを求められる。子供を救うために新たな生命を生み出すことは倫理に反するのか?ドナーとして生まれた妹に拒否する権利はあるのか?兄弟や姉妹が難病にかかっているときに、ほかの子供たちが受ける心理的なトラウマとは?登場人物が多いにもかかわらず、それぞれの心理や理念が鮮やかに描かれている。読者が自分の信念を自問せずにはいられなくなる重い作品である。誰も予測できない結末には、しばし呆然とするだろう。 2. Nineteen Minutes…

