Month: July 2009

英語の多読をめざす方に

このブログを始めたときには「多読」とか「タドキスト」という言葉を聞いたことがなかったのですが、ブログを通じていろいろな方と知り合い、「なるほど、こういう方法もあったのか」と思うようになりました。 ネットを通じて知り合った佐藤まりあさんがお書きになった「大人のための英語多読入門」(コスモピア社:酒井邦秀監修)を読んで同感したのは次の「多読三原則」です。 ①辞書は引かない②わからない部分は飛ばす③進まなくなった本は後回し これらは、私が洋書初心者に薦めていた方法と同じです。「単語学習ゲームなどは役に立ちませんか?」というQへのAが「役に立ちません」であったり、文法に関しても「とりあえず、文法のことは忘れていてください」であったりするところにも大いに共感しました。現在、私が平均的なネイティブよりも本を読むのが速いのは、いまだに「わからない単語」を無視しているからです(威張るようなことでもありませんが)。そのジャンルの本を沢山読めばそのうち意味はわかるようになってくるものです。つまり、多読こそが洋書に慣れる唯一の方法なのです。 この本と私の方法の違いは、私が幼いころから絵本や児童書よりも小説のほうが好きだったことからきています(絵本や児童書を楽しめるようになったのは、わが子に読み聞かせるようになってからです)。また、私は関西弁で言うところの「いらち」なんです。というか、日本人には珍しくコツコツ積み上げる勤勉さに欠けるんです。それでいきなり好きな文芸小説やミステリを多く読むことで洋書そのものに慣れたのですが、その方法をすべての洋書初心者におすすめするのは無理でしょう。そこで、本ブログでは、ストーリーがあり、感動もする9歳から12歳向けの児童書、あるいはそれよりも文法が簡単な傾向がある中高生が対象のヤングアダルト(YA)本から始めることをおすすめしてきました。けれども、それでも「難しすぎる」と挫折する方はいらっしゃるかもしれません。 そういう方におすすめなのが、もっと簡単な本を多く読むことから積み上げてゆく方法です。佐藤さんの「大人のための英語多読入門」は、「楽しみのための読書」という基本的な考え方からレベルの説明、推薦本まで、大人(特にプラチナ世代)になってから洋書を読み始めようとする方に必要な情報が揃っています。いきなり好きな洋書を試して失敗した方は、プラチナ世代でなくても佐藤さんの方法を試してみてください。きちんと従えば、きっといつかすらすらと読めるようになるでしょう。また、読後には佐藤さんのブログで新たに読む本の情報も得ることができます。 また、同じ理論で英語を学ぶ方のための「多聴多読マガジン」(コスモピア社)はCDもついていてなかなか情報満載です。私も8月号に1ページだけ寄稿しています。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=4902091607 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=B002CXEDY2

Kindleを活用して自費出版の本を大手出版社に売った無名作家

Kindleで自費出版し、Kindle Boardsで自作をプロモートした無名作家のBoyd Morrisonが、Simon & Schusterに2作を売りつけることに成功しました。第一作The Arkとその続編はエンジニアのTyler Lockeが主人公で、ちょっとDan Brownに似た作風のようです。第一作は2010年の発売予定で、読者からのウケが良い本ですからきっと売れることでしょう。 Amazon.comで何度か見かけて、読者評が良い(ほとんどが星5つ)ので「買おうかなー」と思ったのですが、他に読む本もあるし後回しにしてたら今日はもう見当たらなくなっていました。Simon & Schusterとの契約でAmazonでの発売を中止したのでしょう。早くダウンロードしておくんだった

ロックミュージシャンの回想録では最高傑作-ローリング・ストーンズのRonnie

Ronnie Wood2007年10月初版368ページSt. Martin’s Press回想録/ロック http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0312531028&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312366523&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 有名人の回想録はそれこそ星の数ほどあるし、星のように毎日のように誕生しています。たいていの有名人は文章なんて書けないから、売れっ子ゴーストライターを雇い、彼らの取材に、「そうね、あのとき私は…」と答えるだけ。「そんな本にお金を払いたくない」と私は思うのですが、暴露本の感覚で読む方は多いようで、ゴーストライターによる回想録はけっこう売れています。でも、The Rolling StonesのRonnie Wood(ロン・ウッドではなく、Wood本人がこの名前を使っています)のRonnieは、ロックの回想録ではこれ以上の傑作はないと断言できるほどの豪華絢爛な内容です。 その理由は次のとおりです。 1.全部自分で書いている。しかも、それがけっこう読める文章で面白い。2.ものすごく正直。「えーっ!こんなこと書いていいの?」と仰天する内容が次々と。  Ronnie本人の恋愛暦やドラッグ暦だけではなく、ミック、キースといったストーンズの仲間、そして(私くらいの年齢のロックファンにはおなじみの)Eric Clapton, Rod Stewart,…

Hoffman独特の寓話的な世界が癖になる-The Ice Queen

Alice Hoffman2005年4月Little, Brown224ページ文芸小説/現代小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0316154385&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0316154385&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ニュージャージーで孤独に暮らす図書館司書の主人公は、8歳のときに怒りにまかせてした「wish(願い)」がかなったときから罪悪感にひたって暮らしてきた。30年たった今でも他人を傷つけることの恐れから対人関係を拒否し、感情を殺した冷たい氷の女王(the Ice Queen)となっている。死の観念に縛られ、人生の偶発性を恐れてすべての冒険を避けてきたのに、ある日雷に打たれて彼女は「赤色」を見ることができなくなる。これまで当たり前のように受け止めてきた「赤い色を見ることができる」という能力が欠けて初めて自分の人生の恩恵を知った彼女は、雷に打たれて40分間死亡して生き返ったという伝説的な存在のLazarus Jonesを捜し求める。白だと思って買った赤いドレスが、触った者に火傷を負わせる人嫌いの男と彼よりも10歳も年上の氷の女王との風変わりな恋の始まりだった。Jonesとの恋をきっかけに、氷の女王は、同じように雷に打たれて運命を狂わせた者や兄との人間関係を築き上げ、凍った心を溶かしてゆく。 ミニマリストかつ詩的な文体で綴られるThe Ice Queenはじんわりと癒しを感じさせる。プロットはあるが、それを追うべき小説ではないので、読む前にそれを心得るべき。 ●ここが魅力!Alice Hoffmanの魅力は、寓話と現実の中間にある奇妙にリアルな世界を描く筆力です。詩のように短く簡潔な文で、風景や瞬間を鮮やかに描くことも魅力です。the Ice…

ニューヨーク市が舞台の文芸賞の可能性大な新刊-Let the Great World Spin

洋書ファンクラブのほうでは発売前日の6月23日にご紹介しましたが、じわじわとベストセラーリストに近づいている注目の新刊としてあらためてご紹介します。 Let the Great World Spinは、美しい文体、優れた人物描写、興味深く感動する内容、という3つの要素が揃った文芸小説です。気取った文芸小説が苦手な私の夫が、「面白かった!」と言うくらいですから、私の言葉を信用してください。 今年なんらかの大きな賞を受賞する予感がしています。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=1400063736&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1400063736&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

Chris AndersonのFreeに新たな問題発覚

The Long Tailで有名なChris Andersonの新作Freeに新たな問題があることがわかりました(これまでのいきさつはこちらを)。 The Chronicle.comによると、Freeの中でAndersonが無料のYouTubeの講義の効果の代表的な例として使っているカリフォルニア大学バークリー校の物理学教授Richard A. Mullerが、Andersonの書いた内容を否定しているようなのです。AndersonはMuller教授の無料の講義での人気が本の出版契約に結びついたと記していますが、Muller教授によると出版は別のルートで決まったことであり、ネットでの人気は本の売り上げには結びついていないとThe Chronicle.comのJeffery R. Youngからのemail取材に答えています。 Freeそのものは文章も良く、共感を覚える内容で、The Long Tailのようにヒット作になる可能性を秘めているので、盗用騒ぎといい、事実を確認していない結論といい、残念なことだと思います。

盗用疑惑になったChris Andersonの最新刊Freeの改訂ebook版を無料で読めます!

洋書ニュースで話題にとりあげたChris Andersonの最新刊Freeが限定期間中無料で読めます。問題になったWikipediaからの盗用は、改訂版では"As the Wikipedia entry…."と付け加えるなどして引用として記述されています。付け加えることで必要になった書き直しはありますが、基本的にはこれらの記述なしであったと想像してください。 作者のサイトからはオーディオ版も無料でダウンロードできます。 FREE (full book) by Chris Andersonhttp://d.scribd.com/ScribdViewer.swf?document_id=17135767&access_key=key-1htgstmrudqatvm1xi4t&page=1&version=1&viewMode=

The Long TailのChris Andersonの盗用疑惑

6月23日にマーケティングのベストセラー書The Long Tailの作者でWiredの編集長(the editor-in-chief)のChris Andersonの最新作Free: The Future of a Radical Priceの盗用疑惑が生まれ、書店から回収騒ぎになっています。 VQRのサイトによると、広範囲にわたってWikipediaの文章を引用としてではなく著者の文として使用しているようです。 この疑惑が明らかになった当日に夫が本を購入していますが、私は旅行中だったのでまだ実際に文をチェックしてはいません。 疑惑が明らかになった時点で出版社はすでにマーケットに流出している本を回収する手続きをとっています。アマゾンではまだ注文できるようですが、実際に購入できるかどうかは不明です。また、出版社は改訂したものを改めて発売しなおす予定のようです。 追記:著者のサイトによると、Wikipediaの文を引用として注釈をつける改訂をしたものを印刷しなおして現在発売しているようです。(なおわが家にあるハードカバーはその改訂がされていないオリジナルです)。数箇所チェックしただけですが、確かにこのままではAnderson本人が書いたとしか解釈しようのない文です。なお著者の釈明と対応は直接本人のサイトををどうぞ。VQRとAndersonのサイトでのコメントが面白いです。…