Month: July 2009

時代に先行しすぎたために葬り去られていた小説ーAwakening

Kate Chopin1899年初刊文芸小説/アメリカ文学 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1438242921 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0380002450 私は子供のころ「世界名作文学」オタクで、有名な作品は高校生のころほぼ読んでいます(勉強をしなかったので時間があったのです)。でも、以前書いた「大学生になるまでに読んでおきたい本」のリストにあるKate ChopinのAwakeningは読んだことがありませんでした。今年の夏、高校生の娘が「夏休みの間に読んでおかなくてはならないから注文しといて」と渡したリストにこのAwakeningがありましたのでこの機会に読んでみました。 ●あらすじ1899年発表の作品。New Orleans の裕福なビジネスマンの妻 Edna Pontellierは家族と共に避暑地Grand Isleで夏を過ごしていた。Grand Isleのリゾート地では夫はビジネスや個人的な道楽に時間を費やし、放置されている彼女はリゾート地で過ごす他の人々と交流するようになっていた。その中でも彼女が親しくなったのは、Adele Ratignolleとリゾートの女主人の息子Robert Lebrunだった。Ednaは、良妻賢母の象徴のようなAdeleと比較し、夫の所有物である妻の立場や、母としての自然な愛情を実感できない自分に疑問を抱くようになる。自分と一緒に過ごすことや会話を楽しんでくれるのは、Robertだった。毎年一人の女性を選んで過剰に親しくなることで知られる若いRobertとEdnaは、その夏友人以上の感情を抱き始める。しかし、それが危険な感情だと悟ったRobertは、彼女を忘れようとしてメキシコに去る。New…

ウラジーミル・ナボコフの未完の遺作、30年後ついに刊行へ

ウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)の未完の遺作The Original of Lauraが、作者の死後30年以上経った今年11月についに刊行される運びになりました。 追記(11/18):洋書ファンクラブにレビューを載せました。 Publishers Weeklyによると、The Original of Lauraは、未完であるばかりかインデックスカードという原稿以前の段階でした。ナボコフは1977年に死去しましたが、その前に彼は妻のVeraにこの初稿である138枚のインデックスカードを処分するように指示していました。ですが、Veraは彼の原稿を処分する決意ができずスイス銀行の金庫に原稿を保管したまま30年が経ちました。彼女の死後この原稿がナボコフの息子で彼の翻訳もつとめたDmitri Nabokovの手に渡り、こうして刊行されることになったのです。 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0307271897 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0307271897 インデックスカードの段階ですから、最終的にどのような小説になったのかは誰にも想像はできないでしょう。でも、ナボコフの手書きのインデックスがコピーされており、ミシン目がついているのでそれぞれのカードを本からはがすことができるらしいのです。それがこの作品の魅力のようです。彼の手書きがどんなであったか、そしてどのように創作したのか、それを実際に感じることができるという点で、非常に興味深い作品です。

2009年ブッカー賞予想ー私はThe Little Stranger だと思う

先日2009年度ブッカー賞の候補作をご紹介しましたが、その中で受賞作はたぶんこれじゃないかな、と予想するのが次の作品です。候補の中では圧倒的に英国で売れている作品だそうです。でも英国ですからね。それにブッカー賞ですからね。米国在住の私にはあんまり自信はありません。個人的な見解です。 追記:書評をupしました。 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1594488800 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1594488800 とっても私好みらしい作品なので米国で出版される前から注目していて「読むべきリスト」に挙げていたのですが、どこかでそのリスト自体を忘れてしまったようでブッカー賞候補のリストを見て、「あれ?私ったらなぜまだ読んでいないのだろう」と自分の記憶力を真剣に疑いました。読んだくせにもう一度買うよりもはましですが(最近別の本でまたやりました)。 追記:ブッカー賞の結果

Twilightで単語を覚えよう…というアイデアの本−Defining Twilight

ティーンの女の子に大人気のTwilightを使って試験に出てくる難しい単語を覚えよう、という「なるほど」アイディアの本です。 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0470507438 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0470507438 Twilightのファン層は大学進学適性試験のSAT(Scholastic Assessment Test)などを受験する層とも重なります。だから、「彼女たちのほとんどが読んでいるこの本を使って単語や文法のお勉強をしよう!」というアイディアを誰よりも先に実現したBrian Leafは、ほんと賢いです。 ふだん私は「多読に単語のお勉強は邪魔」と考えていますが、すでにTwilightを読了している方で、「単語が沢山わからなくて今でももやもや感が残っている」方や、あるいは私や娘のようにクイズが好きな方には半分遊び感覚で読むという形でおすすめです。Twilightが人気になる前に読んだ娘とその友人たちが別荘に遊びにくるので、私はこれでゲームをしてみようかと思っています。 どんな問題なのか興味がある方はAmazon.comのDefiningh Twilightの例題をどうぞ。 Twilightの書評はこちら。

2009年度ブッカー賞候補作決定

英国とアイルランド国籍の作家による小説に与えられる最も権威ある文芸賞Man Booker 賞の 2009年度の longlist(候補作) が本日発表されました。 2009年度の候補作品 作家名                      …

世界最大のソーシャルネットワークFacebookに関する暴露本ーThe Accidental Billionaires

Ben Mezrich 2009年7月21日発売 Doubleday ノンフィクション/ビジネス/ルポ http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385529376 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385529376 2004年2月ハーバード大学の学生だったMark Zuckerbergが寮の一室で始めたソーシャルネットワークのFacebook(当時はtheFacebook)は、またたく間にハーバード大学から全国の大学、高校に広まり、現在ではビジネスや政治のツールとして不可欠になっている。遊びだけではなく、テストのための勉強グループや写真のシェアリング、演劇や音楽会の案内、スポーツ部の連絡などに使われているため、私の娘の世代にとってはFacebookなしの高校生活なんて想像もできないようだ。 人と人のつながり方を根本的に変えてしまったFacebookを作り出したZuckerbergは、最も若くしてBillionaireになった記録も作っている。Facebookの利用者でなくても、この暴露本には興味を抱かずにいられないだろう。The Accidental Billionairesは、Facebookのきっかけとして伝説化している2003年10月のFacemash事件、デート用出会いサイトを創始するためにZuckerbergを雇おうとした学生たち、Zuckerbergの依頼でtheFacebookの資金を出し後に切り捨てられた共同創始者のEduardo Saverin、そして彼らがZuckerbergに利用されて裏切られたとするいきさつが語られている。 残念なのは(最後に共同創始者だったSaverinがZuckerbergの視点を分析するのをのぞいて)裏切られたと訴える者たちの視点しか紹介されていないことである。作者のBen MezrichがZuckerbergを取材できなかったことが理由なのだろうが、それにしても第三者からZuckerbergをもっと掘り下げることはできたと思うのだ。Saverinには同情する部分もあるが、出会いサイトでZuckerbergをタダで利用しようとして後で「アイディアを盗まれた」と訴え(6500万ドルで調停に達した)Winklevoss兄弟にはまったくといっていいほど同情を感じなかった。…

噂のApple Tabletは本当かどうか

AppleがタブレットサイズのコンピューターApple Tabletを今年のクリスマス商戦に間に合うように大急ぎで開発しているという噂が巷に流れておりましたが、英国のFinancial Timesがそれを確認する記事を出したので、あっという間に噂がさらに広まっています。たとえば、左記のGizmodo.comとか英国のWikio.co.ukとか。Bookseller.comにFTからの詳しい記事が載っています。10インチの長さで、iTouchのようにネットに接続でき、音楽とebooksの両方をダウンロードして楽しめるというもの。噂が本当であれば、Kindleの新たな、そして強力な競合が誕生するわけです。 追記(8/14):新しい情報によると、どうやら今年末ではなく、2010年の発売になりそうです。 追記(11/10):さらに新しい噂

原作の美しさを損なわない映画が生まれそうーWhere the Wild Things Are

すてきな本なのに映画化されると、とんでもない作品になってしまうことってありますよね。それは、映画権をいったん売ると、作者には何の発言権もなくなってしまうからです。でも、この間映画館でWhere the Wild Things Areのtrailerを観て、「これはすてきな作品になりそう!」と胸がドキドキしました。隣にいた高校生の娘も小声で私に「これはみんな絶対に観たいと言うだろう」とささやきました。監督はかの有名なSpike Jonzeです。実は3月にみたいもん!のサイトですでに「かいじゅうたちのいるところ」がスパイク・ジョーンズの新作映画だって!なんだって!と紹介されていたのですが、ちっとも知らず、「Spike Jonzeが監督だって〜!」と驚きました。AppleのMovie Trailersのサイトで観ると、Where the Wild Things Areの作者Maurice SendakとSpike Jonzeは、互いに相手の創作力を尊重しているようです。ですから、原作の根底にある美しさを失わずにして、しかも原作プラスのすてきな世界を体験できそうです。trailerを観たかぎりでは、アートが好きな大人でも十分楽しめそうな映画です。公式サイトですてきなtrailerが観られますよ。 アメリカでは10月に公開です。日本でもそう遅くないうちに公開されるでしょうから、それまでに原作を読んでおきましょうね。…