Category: 本と出版に関する裏ばなし・雑談

ちょっとした夢の実現-AmazonのVine Program

今のところ米国と英国だけのようですが、Amazonが選んだレビューアーが発売前(または新発売)の本や品物を無料で受け取り批評をAmazonに載せるVine Programというプログラムがあります。 「マーケティング操作だ!」という批判もありますが、Vine Programで得た本や品物の評価にはCustomer review from the Amazon Vine™ Program というマークがついていますし、私がこれまで購入した本のVine Programレビューは率直で役立つものが多いと思っていました。それよりも、ずっとVine Programに選ばれたレビューアーに嫉妬していたのでした。 嫉妬の理由は「無料で読める」ということではなくて(もちろんそれもプラスですが)、「発売前に読める」ということです。シリーズの続編が出るのをずっと待っているときにVineのレビューアーが既に読んでいることを知り、何度地団太をふんだことか…。 これまでもARCsをBook…

「一番好きなSF・ファンタジーは?」

これまで2週間にわたって特集したmuse & marketplaceもそろそろ終了。今日は雑談です。 この会の参加者は:1)作家志望者、2)ボランティア講師/パネリストの作家、3)文芸エージェント、4)出版社の編集者、5)オーガナイザー(ほとんどが作家)です。主催のGrub Streetに文芸小説重視の雰囲気があるもので、志望者にも1)-A:「元夢見る少女の文芸オバサン」と1)-B「純粋にアートを目指す、シリアスな文学青年/中年男性」が多いようです。朝食の会場には12人ほどが座れる円テーブルが30ほどあり、複数の人が座っているテーブルはたいてい2),3),4)という顔見知りのグループです。もし1)であれば一緒に講座を受けている仲間でしょう。隅のテーブルに陣取り、そこから人々の様子を観察するのが私の趣味です。3)と4)のエージェントと編集者は、なるべく作家志望者から話しかけられないように固まり、背中に「近寄るな!」という雰囲気を貼り付けています。2)と5)は、いろんな人の間を行き来して、一番忙しいグループです。そしてマナーを躾けられて育っている1)-Aタイプの志望者は見知らぬ他人と目が合うとにっこり笑い、「今日はどんな講座を受けるの?」と話しかけますが、Bタイプは、「僕と君とはシリアス度が違うんだ。話しかけないでくれ~」という雰囲気を周囲に放っています。面倒な奴が自分のテーブルに来ないようにガードするのもこのタイプです。 第2日目に(空っぽのテーブルが25個ほどあるのに)私のテーブルに加わった若い女性1人と40代前半と見られる男性1人は、なぜかAでもBでもなくここには珍しい「SF/ファンタジー作家志望者(既にネットで公開しています)」でした。 ShiraとBrianとは、即座に「一番好きなSF・ファンタジー」の話題で盛り上がりました。私に年齢が近いBrian(といっても私より若い)がまず挙げたのがRay Bradbury とIsaac Asimov。「おおお...」と私は思わず身を乗り出しました。「僕はFoundationを読んで育った」 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0553382578&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0553293354&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4150105553&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 実は私と姉もそうなのです。ファウンデーション(銀河帝国の興亡)シリーズだけでなく、翻訳されているアシモフとブラッドベリは子供のころ全部読んでるはずです。「それからDouglas Adams」「The…

自費出版からニューヨークタイムズ紙ベストセラー作家へ-Still Alice

muse & marketplace特集第6回でご紹介するのは、今回講師(この会に参加する作家はすべてボランティア)として参加したLisa GenovaのStill Alice(以前にも書いたのですが、あらためて)です。 去年のmuseでパネリストとして参加した私の夫に、パネル終了後に話しかけてきたのがLisaでした。 そのときのことを思い出したのか、再会するなりLisaは「あなたのご主人はとても寛大な人」と褒め称えました。 当時自費出版の作家に過ぎなかったLisaの相談にのり、気前よくアドバイスを与え、その後彼の最新作World Wide Raveで彼女の成功談を載せたことを言っているのでしょう。 World Wide Raveにも載っているLisaのエピソードは作家志望者に希望を与えるものです。Lisa は大学で生体心理学(bio psychology)を学び、ハーバード大学で神経科学(…

日本には存在しない文芸エージェントのmyth?

muse & marketplaceには、作家志望者のための創作講座だけでなく、書いたものを「どう売るのか?」というマーケティングの講座やパネルディスカッションもあります。特に文芸エージェントたちのパネルディスカッションには、写真のように作家志望者(ここに集まっているのは将来のベストセラー作家も可能なシリアスなレベルの人です)がびっしり。 このディスカッションの目的には「門番としての文芸エージェントに関するmyth(誤った通念)をなくす」ことも含まれていたようですが、beforeとafterでイメージの変化はなかったですね。少なくとも私にとっては。 文芸エージェントというのは日本には存在しない職業です。日本では小説家になるための通常の門戸は出版社の新人賞です。けれどもアメリカにはそういうシステムはなく、フィクション・ノンフィクションにかかわらず、(自費出版をのぞき)出版を望む作家志望者は、まず文芸エージェント(literary agents)という代理人と契約する必要があります。出版社に直接原稿を送る人もいるようですが、出版社がそれらの原稿を読むことはまずありません。「作家志望者であればそれくらい知っているだろう」とばかりに、無情にも封筒に入ったままゴミ箱行きの運命をたどることになります。 作家志望者が原稿を送る先は、文芸エージェントなのです。アメリカには出版社も文芸エージェントも星の数ほど存在します。そのための本も出版されていますから、どのエージェントがどんな作家を抱えているのかを調べ、自分の書いている本に合った文芸エージェントに絞って原稿を送ります。また、いきなり原稿を全部送るのもご法度です。まずは多忙なエージェントの注意を引くような簡潔で魅力的な「query letter」なる手紙を出すのが筋なのです。これには自己紹介と本の簡単な内容、サンプル文として最初の1章から3章くらい(そのエージェントにより異なる)が含まれます。 現在有名になっている作家でも、たいていこの時点で慇懃無礼な拒絶の手紙を山ほど受け取っています。ニューヨークタイムズ紙のベストセラーになった作品が実は2年以上エージェントから拒否されたという話は決して珍しいことではありません。だから文芸エージェントは、「門番(gate keeper)」と(作家志望者からはやや憎しみをこめて)呼ばれているのです。 ようやく文芸エージェントと契約できても、必ず出版社と契約できるという保障はありません。けれども、エージェントはコミッション制で本が売れないかぎりは収入がありませんから、いったん契約を結んだら売れるための努力はしてくれます。アメリカでは、文芸エージェントがまず作品の編集や書き直しの提案といった日本の編集者のような仕事もします。そのうえで、契約後はまた出版社の編集者が同じような手直しを求めます。ですから出版される作品の完成度は日本よりも高いと私は感じています。 それはさておき、文芸エージェントのイメージの話題です。文芸エージェントになる人は、その前に出版社に勤めていたり、大学で創作を教えていたり、と文章にかけてのプロが大部分です。ですから優れた文章を判定する能力はある人々です。でも、出版業界は古い世界で、ベテラン文芸エージェントには古くさい考え方から抜けきらない人が多い、というのが私の抱いていた先入観でした。このパネルディスカッションでその先入観が覆されることはなく、かえって確信を持ってしまいました。なんせ、「Eメールは嫌い。query letterを僕に読んでほしかったら手紙(snail mail)にして。それ以外は読まない」と堂々と言い切るエージェントがいるのです。彼は、本ブログでもご紹介したPride and…

洋書のバーゲンブックを狙おう!

Amazon.co.jpのおかげで最近は日本でもけっこう廉価で洋書が入手できるようになったようですね。アメリカの価格とそう変わらないものが多いようで驚きます。 でも、アメリカのAmazon.comを使った安い洋書の入手方法もあるのですよ。 それは、バーゲン価格に値下げした本を注文することです。Amazon.comのバーゲン価格のページはこちらです。 日本のアマゾンからアメリカに注文すると送料が3000円ほどかかるのでなかなか思い切って注文できませんが、アメリカのアマゾンから日本へはたったの4.99ドルで送ってもらえます。 でも、バーゲン本の在庫の多さではBurns & Nobleにはかないません。Burns & Nobleのバーゲンページを見て下さい。ただし、送料はAmazon.comよりやや高く、5.49ドルです。5.99ドルで準速達便(Priority Mail)になります。私はBurns & Nobleのオンラインを利用したことがないので、それについては評価できません。 バーゲン価格になっているものにはけっこう過去のベストセラーが多いので、それが魅力です。ペーパーバックが発売されるとハードカバーが売れ残るので、バーゲンでハードカバーを処分するのがよくあるパターンです。特にアートや料理の本など、ハードカバーである必要がある本を希望される方は日本のアマゾンで購入するよりも安くなる可能性が高いので、ぜひお試しください。 アメリカにお住まいの方はBurns &…

なぜNeil Gaimanが娘の高校に?

昨日、Neil Gaimanが娘の通っている高校に突然姿を現しました。そうです、映画化されたCoraline, Stardust, そして2009年ニューベリーメダル受賞作The Graveyard BookのNeil Gaimanです。 イベントでもないのに、なぜゆえNeil Gaimanはレキシントン高校に来たのでしょう? それには、Dresden Doll(ドレスデンドール)のシンガーAmanda Palmer(アマンダ・パルマー)が関わっていると私は推察しています。 Amanda Palmerは、レキシントン高校(LHS)の卒業生で、ミュージックビデオ(下の作品で使っているのがLHSとその高校生たち)やショーに高校生を使ったり、高校で行われる演劇に参加したりしてくれています。特に今年の春のプロダクションはPalmerのオリジナルということで、新聞記事にもなりました。 そして、Palmerのソロデビューアルバム「Who…

戻ってくるのを待っている本

洋書ニュースのほうで以前にお話ししたことなのですが、姑の年齢のオールドマネーはジュエリーとかにはお金をかけるくせに、こと本になると「節約しなくっちゃ」と昔ながらの良識を取り戻すのです。ですから、なかなか新刊のハードバックを買わないし、友人の間でまわし読みします。私が本をプレゼントすると、「捨てては申し訳ない」と読み終えたものを返してくれます(家を片付けたい、というのがメインの理由ですが)。次は、今年になってから彼女とおともだちの好みを考慮して贈った本のリストです。フランク・ロイド・ライトの女性関係に関する小説(Loving Frank, The Women: A Novel)が彼女たちの間で大人気なのです。そろそろ読みたいのだけれど、いつ戻ってくるのかな?戻ってきたら書評を書きますね。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141034262&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1433260638&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0670020486&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 次は、私が買ったのじゃないけれど、姑が友人とまわし読みした後で送ってくれることになっている本です。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0812975405&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0312199430&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0552774987&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 でも、戻ってくるのを期待して私が読みたい本をプレゼントすると、そういうのに限って「飛行機に置き忘れちゃった」とかアクシデントが起こるのです。以下は、本を貸した友達が読み終えた後で(姑に無断で)図書館に寄付しちゃった残念な本です(彼女たちの好きなタイプの本じゃなかったみたい)。それ以来、「私が読みたい本」ではなくて、彼女たちが好きそうな本を選ぶことにしています。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0618711651&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1…

ジェーン・オースティンはお好きですか?

私がオースティンに出会ったのは中学生のときで、モンゴメリーと合わせて片っ端から読み漁ったものです。8年ほど前にオースティンを原書で読み返したところ、またもオースティンにはまってしまいました。ハーレクイーン式肉体派ロマンスよりも、オースティンやモンゴメリーのようにプラトニックなほうがうっとりできて素敵だと思うのは私だけではないと思うのですが......。 オースティンは各国に協会があるほど熱烈ファンが多く存在します。関連作品だけでなく、著作権が消滅していますからFanFic(二次創作)も沢山出版されています。ということで、オースティンに関するいろんな本をご紹介しましょう。 1.Jane Austenがテーマの本 これは学者によるJane Austenの伝記です。ちょっとアカデミックすぎる文体とのこと。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1847250467&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 下記は映画化された作品ですが、私の感想は「まあまあ」程度です。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141020261&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 オースティン中毒のカリフォルニアの女性が、目覚めるとオースティンの時代の女性になっている、というラブコメ。私は読んでいませんが、読者評はまあまあのようです。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0452289726&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 2.Jane Austenの二次創作 オースティンファンの図書館司書が書いたMr. Darcyの視点からの「Pride…