Category: 本と出版に関する裏ばなし・雑談

ライ麦畑の無許可続編60 years laterの奇妙な事実

5月15日に「60年後のHolden Caulfield?Are you kidding?」というタイトルでで、新人作家による60 Years Later: Coming Through the Rye という作品が、アメリカより一足先に英国で発売されたことをお伝えしました。 そのとき、「作者が生きてる間に許可もなく続編なんて書いていいのかな?」と書きましたが、やっぱり出版差し止めの訴訟が起こり、英国のAmazonでは販売停止、米国のAmazonでも取り扱い停止、になっています。日本のAmazonだけがまだ「予約受付中」ですが、これは単に対応が遅れているだけでしょう。 それよりも、裁判のせいで奇妙な(ふざけた)事実がだんだん明らかになってきました。 これまで作者(ペンネームJohn David…

BEA報告-アメリカでは自費出版が元気になっている

昔は「自費出版」というと「できが悪くてどこの出版社も手を出さなかった作品」という見方が強かったのですが、最近は自費出版からニューヨークタイムズ紙ベストセラーになったStill AliceやAmazon Encoreの第一弾に選ばれたLegacyのような例もあり、stigmaがなくなってきました。Book Expo Americaの規模が大幅に縮小しつつあるなか、今年は史上初の自費出版Bookフェアが開催されることになっています。大手出版社にとっては寂しさが漂う今年のBEAですが、自費出版やインディ出版にとっては「これまでで最も手ごたえが良いBEA」だったようです。自費出版の世界で最も知名度が高いのは、Lisa GenovaがStill Aliceを自費出版するときに使ったiUniverseでしょう。こんなふうに、予算やニーズにあわせていろんなパッケージから選べます。簡単明瞭なシステムでしかも透明性が高いので、日本の自費出版で問題になっている「だまされた」という苦情が発生しにくいのです。600ドル(約6万円)で本を出版でき、一番デラックスなサービスでも20万円ちょっと、というのは魅力ですよね。 そのiUniverseを使って自費出版した作家たちから次の2作をいただきましたので、「必ずちゃんと読んでAmazon.comに書評を載せます」と約束しました。特にCurrently DeadのBob Goodさんはユーモアたっぷりの好人物。この方が書いたユーモアSFということですから、期待も高まります。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0595457843&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0595476910&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1

Book Expo Americaからのニュース

新しい電子ブックリーダーなどBook Expo Americaからのニュースは洋書ニュースのほうに載せていますので、そちらもご覧くださいね。 WWRのホットなサイン会 Kindleの競合電子ブックリーダーを試す

BEA報告-ニューヨーク市まで行って隣人のプロジェクトを知る

ニューヨーク市のBEAでひょっこり出くわしたのは、わが家から一軒だけ離れたお隣さんのスコット(ファーストネーム)。料理がすごく上手でとってもいい人なのだけれど、いったん喋り始めると2、3時間はノンストップで話せるというちょっと恐ろしい癖があります。MIT(マサチューセッツ工科大学)出版との企画で2日間だけ来たとのこと。私が読まないユダヤ教の学術的な分野が専門の作家なのですが、彼が「今こういう本にも関わっているんだ」と見せてくれた本のPR用パンフを見てびっくり。実は私が注目していたアート本のひとつだったのです。   2009年9月にMIT Pressから発売予定のAsylumは、アメリカで最大規模の精神科病院の廃墟の写真を中心に、エッセイでアメリカの精神医療の歴史を振り返るものです。鳥肌が立つほどパワフルで芸術的な写真のサンプルを見て、「ぜひ入手したい」と思っていたのでした。それを伝えると、「9月だから完成まではまだまだ。できたら持ってゆくよ」とのこと。それよりもスコットは「掘り出しものの中華料理店をみつけたから、今度一緒に行こう」とか「レキシントン公立学校の教育は私立よりもよい。うちの息子は…」といつもの話題に切り替え。ニューヨーク市のBEAでもお隣さんの井戸端会議になってしまうのでした。

Book Expo America報告-ツーリスト体験

BEA 09の第一日目にプロのニューヨーカー半日体験で見事に失敗したので、二日目の土曜日は「おのぼりさんツーリスト体験」に切り替えました。私にはこっちのほうがあっていたみたいで、偏頭痛は薬なしにすっかり解消!寝不足でも元気に楽しめました。 昨日ゲットした本のひとつは本ブログで何度もしつこくお話したGraceling のprequelであるFire. これは10月に発売予定なので、娘とその友達から感謝されること間違いなし!もうひとつ、これも彼女たちが好きな作家Libba Brayの9月発売予定の新作Going Bovineの獲得にも成功しました(こんなことで喜ぶこと自体が悲しい今年のBEAです)。 さて、不況の中で各出版社が新たにエネルギーを注いでいるのがYAファンタジーの分野です。Twilightの影響でどこもかしこもパラノーマルロマンス。かのハーレクイーン社も新たにHarlequin Teenというセクションを設けたようです。これについてもまた後ほど詳しくお話します。 また、ふだんニューヨークタイムズ紙ベストセラーで名前をよく見かけるけれども私の好みの分野ではないので読んだことがないロマンス作家のSherrilyn Kenyonがブースでサイン会をしているのをみかけたので、「ちょうどいいや」と試してみることにしました。お話ししてみると、とっても感じの良い女性。私はけっこう作家のキャラにひかれて読む人なので、ちゃんと読んでみようと思いました。 Wiley社のブースで出会ったのがうちのダンナの知人のMark Levy。彼の本は邦訳もされています。また、Markはマジックの天才で、Wiley社のMagic for Dummies…

Book Expo America中間報告-ニューヨーカー体験

Book Expo America2009年第一日目金曜日の印象は、「不況~!」。 無料で配られるARCsが最大の魅力だというのに、大手出版社も含めてほとんど無料配布をしていないのです。おおっぴらに配らないだけでなく、ふだんだったらプレスに対しては「どうぞ、どうぞ、これもお持ちください」という感じなのに、「ご希望のものがあれば、後で送りますから名刺を残してください」という慎重さ。絶対に入手してやるぞ!と決意していたThe Hunger Games の続編Catching Fireは私が到着した正午には1日分がなくなっていて、「明日来て」と言われたのですが、「それをなんとか。。。」としつこくお願いしてようやく入手しました。それも、「このサイン(表紙の鳥のマーク)は何?」というテストつき。なんとか合格しましたが、そんなのって初めてですよ!私の元義理の妹で図書館員のジェンは、「こんなにひどいBEAは初めて。1日を無駄にした」と憤りが収まらない様子。 それでもどうにかいくつかの注目作品を入手しましたので、それについては後日ゆっくりとご報告いたします。そのうちのこれは著者2人とも「日本で売れるといいね」と語りあった私ごのみの作品です。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0615189644&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 コスモピア社が発行している「多聴多読マガジン」の大東さんというすてきな編集者にお会いしたのが、昨日のメインイベントでした。これについてもまた後ほど。 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0026KWBBI&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 ボストン近郊の森の中で野生の鹿とターキーに囲まれて生活している田舎者の私には、ニューヨーク市の編集者たちの生活はまるでSFか近未来ファンタジーのようです。最近はテレビでしか味わえないその生活を半日体験させていただきましたが、その結果は悲惨でした。 午後5時くらいからうちのダンナとWiley社の編集者2人のお誘いでビールを飲み始め、そこから別のバーに移って作家が何人か合流し、何人かが加わったり離れたりして、さらにビールが…。映画に出てきそうな小さくて暗いバーでは、謎の人物が私たち7人にドリンクをおごってくれたのですが、それが誰で何が目的なのか最後まで謎のまま。もうひとつの謎は、そこが「ゲイバー」かどうか。ニューヨーカーに分からないものが私に分かるはずはありません。 ようやく午後9時から徒歩でCakeのコンサートに。深夜すぎに就寝して午前3時45分に起床してNY市に来て、BEAで歩き回ったうえにこれです。足は痛いわ、途中でものすごい偏頭痛がしてくるわで、盛り上がっている人々を後に早退宣言をし、すっかりParty…

Book Expo America迫る

今週の木曜日から日曜にかけて北米最大の本の見本市Book Expo Americaがニューヨーク市で開催されます。私も一応「Press & News Media(報道機関)」として参加させていただくことになっており、短期間に集めたい情報と新刊のリスト作りで忙しく嬉しい悲鳴を上げているところです。 今年は、日本人にとって読みやすいだけでなく、出版界でもっとも元気な分野のひとつでもあるヤングアダルト(YA)に特にエネルギーを注ごうと思っていますが、他にもバイオ、ビジネス、文芸小説など見逃したくない分野が多く、なかなか集中できません。 ぜひみなさんから「こんな本を探してきて欲しい」というご意見をお聞かせいただきたいと思います。私は金曜と土曜だけ参加しますが、それまで何度もチェックしますので、どうぞよろしくお願いします!

SF作家からアイディアを得る米国の防衛機関

常日頃から堅苦しい機関でも柔軟な発想を重んじるところがアメリカという国のユニークさだと思っていましたが、the Washington Postのこの記事を読んでさらにその印象を強くしました。 2009年国土安全保障科学技術ステークホールダー会議(2009 Homeland Security Science & Technology Stakeholders Conference)にSF作家たちを招き、防衛の斬新なアイディアをブレインストームしているというのです。ですが、これは目新しいことではなく、Sigmaと呼ばれるグループがリクルートした40人ほどのSF作家たちは、以前から空軍などの軍隊やNATOなどの機関に対してこのようなサービスを提供しているとのことです。日本だと、「ふざけたことに税金を使うな!」という声が聞こえてきそうですが、作家たちはみなボランティアです。これらの機関が作家に支払うのは交通費だけ。私の夫も、ソーシャルネットワークとマーケティングの専門家として米国空軍にコンサルティングや講演のボランティアをしていて、昨日もそのボランティア出張から戻ったところ。出してもらうのは交通費だけです。自分のできる形で祖国のためにボランティアをするのはオバマ大統領が広めようとしているボランティア精神のひとつです。 Sigmaに属するのは科学分野を専攻した者だけですが、そういうSF作家が多いのもアメリカの特長です。Sigmaの創始者は米海軍のエンジニアでSF作家のArlan Andrews。また、今回の出席者のひとりCatherine Asaroは、ハーバード大学で物理学の博士号を取得し研究機関にも勤めた科学者です。私は読んだことがないのですが、代表作は邦訳もされているThe Saga…