Category: YA(ヤングアダルト)

Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第三マッチ

引き続きバトルの中間報告です。ここから入った方はこちらを。 第一ラウンド第三マッチは、独立戦争の時代がテーマ。 Chainsは、1776年5月から1777年1月のニューヨーク・アイランド(現在のマンハッタン)を舞台に奴隷の少女Isabelが独立戦争のさなかに自由を求める闘いを描く小説です。そして、Washington at Valley Forgeは1776年の12月、ニューヨークでの英国軍との戦いに敗れたワシントンがペンシルバニア州のValley Forgeに撤退したときの苦難を描くノンフィクションです。審判は、Chainsの著者Laurie Halse Andersonとは友人、Washington at Valley Forgeの作者は昔から尊敬する心の師、ということで審判役を断りたかったほど悩んだようです。 どちらも優れた作品で両方読み比べるのが一番良いようですが、結果は「英雄よりも無名の少女の闘い」の勝利です。奴隷もの、ということでしり込みする方がいるかもしれませんが、Laurie Halse Andersonは、社会的・心理的な問題を扱ったロングセラーSpeakやWintergirlsの作者で、このChainsも大人を含め、広い読者層に受け入れられるものだと思います。…

予想外の結果Battle of the (Kids’) Books 第一ラウンド第二マッチ

2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksの第一ラウンドの第二マッチです。 マーク・トゥエインの児童用伝記であるThe Trouble Begins at 8は通の間で絶賛されていますが、ニューベリーメダル賞を受賞したNeil GaimanのThe Graveyard BookはBattleの本命とみなされていました。ところがどっこい。。。…

2008年最高の児童書を決めるBattle of the (Kids’) Books 第一ラウンド

2008年にアメリカで出版された児童書(9-12才、ヤングアダルト)の最高作品を選ぶSchool Library JournalのBattle of the (Kids’) Booksが今日からスタートします。読者もオンラインで投票できますが、それぞれのラウンドの審判の多くは有名な児童書作家です(またはこの業界のプロ)。 battle_of_the_kids_book_chart.pdfをダウンロード 第一ラウンドマッチ1はこの2作から。審判はThe Horn BookのEditor in ChiefのROGER SUTTONです。 どちらも死を扱ったハードな作品で、Ways…

少年に人気のファンタジーシリーズ-The Ruins of Gorlan(The Ranger’s Apprentice Book 1)

John Flanagan2005年児童書(小学校4年生から中学生)/ファンタジー ニューヨークタイムズベストセラーで、小学校高学年から中学生の男子に大人気の「The Ranger’s Apprenticeシリーズ」の第一巻 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0142406635&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0142406635&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 孤児のWillは幼いころから騎士になることを夢見て育ったが、警備隊(Ranger)の弟子に選ばれてしまう。謎の存在のRangerは、現在のアメリカでいうならばCIAのような機密諜報員だった。Willはそこで尊敬する師に出会い、邪悪な魔力の攻撃から王国を守るために闘う。勧善懲悪、少年の成長物語、というクラシックなファンタジーの流れをくんでおり、苛めやそれを理解して解決してくれる師の存在など、子供たちが現実世界で「こうあってほしい」と願う世界がここにある。特に少年に人気があるのが納得できる。映画化(2010年公開予定)が進んでおり、8月には第6巻が発売される予定で、出版社がキャンペーンに力を注いでいる作品。 ●ここが魅力!尊敬する師から生き方を学び、いじめっ子との友情を育て、初恋に目覚めるところなどが、小学校高学年から中学生の少年にはぴったりのファンタジーです。冒険やチャレンジも過激になり過ぎず、しかもエキサイティング。シリーズを通じて少年が成長してゆくところも良いところです。ファンタジーのファンだけでなく、ファンタジーがどんなものか試してみたい方、冒険ものが好きな人、小学校高学年から中学校向けのヤングアダルト本を読むのにどの程度の英語力が必要かを知りたい方にぜひおすすめします。 ●読みやすさ ★★★☆☆最初の数ページはとりつきにくくても、第2章以降はすんなりと読み進めることができるでしょう。 ●アダルト度 ★☆☆☆☆小学生にも安心して読ませることができる内容です。 ●The Ranger’s Apprenticeシリーズ The…

Twilightファンにおすすめ-「City of Bones」(The Mortal Instruments シリーズ第一部)

著者:Cassandra Clare発売日:2007年3月ジャンル:ヤングアダルト/ファンタジー/パラノーマルロマンス Twilightの次に何を読もうか迷っているファンタジーファンにおすすめ http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416955070&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 女子高校生のClary は、幼馴なじみで親友のSimonと行ったナイトクラブで男女3人のティーンが少年を殺す場面に立ち会うが、Simonには彼らが見えない。魔物を退治するシャドーハンターだと名乗るJaceにClaryは詩の朗読会で再び出会う。見えないはずのシャドーハンターが見えるClaryにシャドーハンターの血が流れていることを推察したJaceは、シャドーハンターの大使館のようなInstituteに連れてゆくという。そこに母親のJocelynから携帯に「家に戻ってはいけない」という取り乱した電話がかかり、Claryが家に駆け戻ると母は姿を消していて魔物に襲われる。解毒をしないと1時間で死ぬとJaceに告げられたClaryはInstituteに行き、どうやら自分には母が知らせていない秘密の過去があるらしいことを学ぶ。ClaryとSimonは、ニューヨーク市の闇でくりひろげられているシャドーハンター対魔界の生物たちの戦いにまきこまれてゆく。 ●ここが魅力!先日お話したように、著者のClareはハリー・ポッターと指輪物語のFan Fic(二次創作)作家としてファンがつくほど有名になり、それで作家として発掘されたといういきさつがあります。ファンタジーとしては、「Harry Potter」や「The Lord of the Rings」のように根底に深い哲学があるわけではなく、「The Name of…

軽くてユーモアがあるパラノーマルロマンス-The Mediatorシリーズ

著者:Meg Cabotヤングアダルト/パラノーマル/ロマンス(やや) 初心者でも簡単に読めるパラノーマル・ヤングアダルト本 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0060725117&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=0060725117 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4652077572 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4864910189 今日は初心者でも気軽に読める娯楽作品をご紹介します。 The Mediatorシリーズの主人公は女子高生のSuze。彼女には幽霊が見えるだけでなく会話をする能力がある。母の再婚でニューヨーク市からカリフォルニアに移住したところ、彼女の部屋には19世紀に死んだハンサムな幽霊のJesseがすでに住み着いていた。第一話Shadowland (Book 1)では、Suzeと義理の兄弟が通う高校にボーイフレンドにふられて自殺した女子高生の幽霊が出没する。Suzeはメディエーターとして恨みから殺人や破壊をたくらんでいる幽霊に成仏するように働きかけるが、思わぬ危険が待っていた。 幽霊のJesseとのロマンスやユーモアある軽いタッチが女子中学生・高校生に人気。 この本を希望者の中から抽選で1人にプレゼントします。締め切りは3月16日(月曜日)午前0時.申し込みはこちらで。 ●ここが魅力!Princess…

思春期の少女の危うさ-Go Ask Alice

作者:Anonymous (実在の少女の日記として出版されたが、最近になって心理カウンセラーのBeatrice Sparksが作者と判明)出版日:1971年ヤングアダルト/思春期の少女の心理/日記(これについては異論あり) http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS1=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=1416914633 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1416914633&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 大学教授の父を持つ普通の少女が、ドラッグ中毒になってゆく過程を日記に綴ったもので、1971年の発売当初は60年代後半にドラッグのオーバードースで亡くなった実存の少女のものだと信じられていた(その後心理学者でこの本の編集者であるベアトリス・スパークスのフィクションだということが分かった)。 フィクションだとしても、ドラッグはいけないことだと信じ、好きな少年と結婚するまで処女でいることを夢見ていた普通の少女がドラッグやセックスの世界にずるずると入り込んでゆく様子は、リアリスティックである。私が小学生のころに書かれたものだが、今の高校生が読んでも古さを感じないようである。高校生の私の娘の感想は、「面白かったけれど、落ち込む本だ」というものである。現実の世界との差をたずねると、「(私が通っている)高校でもドラッグをやっている人はいるし、誰もがそれを知っているけれど、やっていない人を引き込もうとはしない。まあ、パーティに行けば別かもしれないけれど、それは行かなければすむことだし」と言う。またドラッグをしていない生徒たちのほうも、Go Ask Aliceに書かれているような「ドラッグをやっている人だから避けよう」という感じはないらしい。だが、以前取材で娘と同じ高校に通っていた男子生徒は、ドラッグを押し付けられる人間関係があり、そこから抜け出すのが大変だったことを打ち明けてくれた。「高校生がこの本を読んだからドラッグを避けよう、と思うかな?」と娘に尋ねると、「ちょっとだけやってまだ怖さを知らない子には効果があるかも」と答えた。 ●読みやすさ ★★★☆☆先日ご紹介したThe Perks of Being a Wallflowerと同様に、日記なのでとても分かりやすい英語です。200ページ程度の薄い本なので、読了も簡単です。初心者におすすめの一冊です。…

現代版の「ライ麦畑」?-The perks of being a wallflower

著者:Stephen Chbosky出版日:ヤングアダルト/思春期の葛藤/現代小説 現代を生きる普通の男子高校生のリアリスティックな姿 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0671027344 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0671027344&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 友人あての手紙の形を取った小説。主人公のチャーリーは高校一年生の男の子。可も不可もなく、ごく普通の目立たない存在である。パーティで男の子がダンスに誘ってくれない女の子のことを「壁の花」と呼ぶが、チャーリーは男の子版の「壁の花」。内向的で、行動型ではなく分析型なのであまり目立たない。 作者は脚本家で映画監督のStephen Chbosky。 読んだ人はすぐにピンとくると思うが、これはChboskyによる現代版の「The Cather in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)」である(内容は異なるので、ご心配なく)。「文学作品として後世に残るか?」とたずねられたら答えは「No」である。けれども、私には「ライ麦畑」よりもずっと面白かった。というのは、主人公のチャーリーが等身大だからである。文芸作品ではないがゆえに、思春期のつらさを正直に描けているような気がする。友人の自殺、家族や友人との人間関係、初恋、性とドラッグの初体験、と多くの葛藤が詰まっているが、あからさまに作り話に感じないのは、実際に思春期とは難しい年代だと知っているからだ。体の成長だけでなく、自分と周囲のティーンのホルモンの変化、それに伴う心身のアンバランスと人間関係のゴチャゴチャ、加えて大学進学とかいろんなことにいっぺんに対応しなければならない。わが娘がいうように「It's tough being a…