Category: ★★★★(英語ネイティブの普通レベル)

娘からのクリスマスプレゼントのお願い – Complete Works of Oscar Wilde

高校生の娘が「クリスマスプレゼントに悩んでいるなら、これを買って」と頼んだのがこの本、Complete Works of Oscar Wildeです。 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0007144350 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0007144350 ワイルドと言えば、私が英国で初めて書いた英語のレポートがワイルドでした。母娘ってやっぱりどこか似てるのでしょうか ワイルドの魅力は、辛辣なユーモアに満ちた文章です。"A little sincerity is a dangerous thing,…

没後32年目にようやく出版されたウラジミール・ナボコフの遺作 ー The Original of Laura

Vladimir Nabokov304ページ(ハードカバー)Knopf2009年11月17日発売 文芸小説(ドラフト) http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0307271897 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0307271897 ウラジミール・ナボコフといえば、たいていの人はLolita(ロリータ)を連想する。というか、それしか思いつかない人のほうが多いだろう。ファンでない限り、それ以前に彼がロシア語で9つの小説を出版していたことや、彼が英語で書いた初めての作品がロリータだったとは知らないだろう。 (manpoiさんのご指摘でDmitriの前書きを読み直したところ、たしかに最初に英語で書いた作品がThe Real Life of Sebastian Knightと書いてあった。思い込みとは恐ろしいものである。ここで訂正とお詫びをしたい) ロシア語から英語へのトランジションの時期に、ナボコフは重要な作品としてはロシア語で最後のprose「Volshebnik」(The Enchanter)を書いていて、これがLolitaの前駆である。ナボコフはこの作品をアメリカに移住する前のパリで友人たちに呼んで聞かせたことを記憶している。処分したか紛失したと思っていたこれが後にみつかり、妻と話し合った結果「英語で書くほうが芸術的に理にかなっている」という結論に達したという(Dmitriの前書きより)。 ずいぶん前に邦訳でロリータを読んだだけの私は、高校生の娘が英語でLolitaを読み始めたときオリジナルが英語だったかロシア語だったか記憶が定かではなかった。そこで調べたところ、Lolitaは最初に英語で書かれ、その後ナボコフ本人がロシア語に翻訳したのだった。ロシア語、フランス語、英語を完璧に使いこなせるナボコフだが、ロシア語での創作に慣れていた彼が英語でこれほどの作品を書いたというのは驚くべきことだ。しかも、フラストレーションにかられて原稿を燃やそうとしたこともあるらしい。それを止めたのは先見の明がある彼の妻Veraだった。 ロリータを邦訳で読んでいたときにはセンセーショナルな内容にばかり気をとられて気づかなかったのだが、今回英語でLolitaを読んでみたところ、文章構成と表現の緻密さに感心した。ナボコフはどうやら相当な完璧主義者だったようなのだ。チェスのように最初の一手から最後の最後まですべてのmoveを計画して書き、完璧な文章になるまで何度も校正を繰り返したナボコフは、「ドラフトを残すなんて、素人のすることだ」と言っていたらしい。…

三重の物語を読み終えたとき、あなたは何を感じるか?— The Blind Assassin

Margaret Atwood 521ページ出版社: Anchor文芸小説2000ブッカー賞受賞作、カナダ総督賞最終候補作 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385720955 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385720955 私が差し上げたいノーベル文学賞残念賞その4 年老いた未亡人のIris Chase Griffenは、妹Lauraが第二次大戦直後の1945年に亡くなったときのことを思い出し、彼女がそのとき何を考えていたのだろうと思いを馳せる。彼女の追憶に引き続き、Lauraの死後発表された彼女の小説The Blind Assassinが始まる。裕福な女性が労働者運動家でパルプ小説家の愛人と密会するとき、彼から語り聞かされるのが残酷なディストピアを舞台にしたThe Blind AssassinというSFである。 劇中劇はけっこう存在するが、アトウッドのこの作品は、小説中の小説の中にさらにこのSF小説が存在するという複雑さだ。…

19世紀に起こった殺人事件を小説化した作品 ー Alias Grace

Margaret Atwood480ページ(ペーパーバック)Random House (Anchor)1996年ミステリー/心理スリラー/文学小説 1996年ギラー賞受賞作、1996年ブッカー賞およびカナダ総督賞最終候補作 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385490445 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385490445 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=4000248057 私が差し上げたいノーベル文学賞残念賞その3 1848年にカナダで実際に起こったセンセーショナルな殺人事件の小説化。 アイルランドからの移民で当時16歳だったGrace Marksは、メイドとして働いていた先の主人Thomas KinnearとKinnearの家政婦で愛人のNancy Montgomeryを殺害した罪で終身刑を言い渡された。だが、Graceは殺人に関する3つの異なるバージョンを告白しており、事件の真相は未だに謎のままである。服役中に精神病院に入院したこともあるGraceのことを19世紀の文筆家Susanna Moodieは策略家で狂人とみなしており、マーガレット・アトウッドもMoodieの見解で詩やテレビ番組の脚本を書いたりした。だが、後にアトウッドはGraceについて自分自身で調査を行い、事件の見方を変えたという。…

ウィキッドのマグワイアがセンダックのイラストを解説する楽しさ ー Making Mischief

208ページ(ハードカバー)William Morrow 2009/9/1発売画集/アート本 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0061689165 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0061689165 「WickedのGregory MaguireがMaurice Sendakのイラストを解説するアート本」、と聞いて「おお!」と興奮するのは私だけではないでしょう。Maguireは、以前にもお話しましたが、Wickedで成功するまでは児童書作家でした。児童書といっても、人畜無害な可愛い作品ではなく、Wickedなどの大人用の本と共通するMaguireらしい「mischief(悪戯)」であふれています。そのMaguireが、mischiefの王様と言えるMaxを生み出したSendackのイラストを解説するというのです。ふつうのSendack解説本と異なるのはたやすく想像できます。 どのアーティストも尊敬する巨匠のアートを模倣することで腕を磨きます。また、作品の中にパロディとして拝借するのも尊敬の念を表明する行為です。Mauriceもその例外ではありません。愛するアーティストたち( Randolph Caldecott, William Blake, Phillip Otto…

マーガレット・アトウッドが国際的な作家としての地位を確立した代表作ーThe Handmaid’s Tale

Margaret Atwood 320ページ(ペーパーバック) Anchor 1985年初版 文芸作品/SF(アトウッド本人はScience FictionではなくSpeculative Fictionと呼んでいる) 1987年アーサーC.クラーク賞受賞作、1985年カナダ総督賞受賞作、1986年ブッカー賞最終候補 私が差し上げたいノーベル文学賞残念賞その2 男性優位主義、神権主義、懐古主義、人種差別者の武力グループが大統領と議会全員を同時殺害するクーデターを起こし、かつてのアメリカ合衆国は、Republic of Gileadという神権国家となる。 Gileadでは女性は劣った性とみなされ、人権はおろか、文字を読み書きすることも禁じられる。女性はカテゴリーによって色わけされている。女性にとって最も高い地位は軍隊の司令官の妻で青いドレス、上流階級の娘たちは次に高い地位で白いドレスを着ている。身体の線がまったく見えない赤いドレスに視界を覆う帽子をかぶらされているのはHandmaidと呼ばれる「出産」が専業の若い女性たちである。 環境汚染などの理由で出産率が激減しているGileadでは、子を持つことは司令官夫婦だけの特権である。子宝に恵まれない夫婦が多いのだが、男性優位主義で懐古主義のGileadでは、それは自動的に妻が原因とみなされる。そこで、これまでに子供を産んだことのある女性が種々の理由で逮捕され、司令官夫婦にHandmaidとして支給される。…

わかる人にはわかるエンディングが絶妙のゴシックミステリー—The Little Stranger

Sarah Waters480 ページ(ハードカバー)Riverhead Hardcover; First Edition edition 2009年4月30日発売ゴシックミステリー/ホラー(やや)/文芸小説/2009年ブッカー賞候補作 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=1594488800 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=1594488800 二度の世界大戦を経て英国の階級社会は崩壊し、社会民主主義国家に急変しつつあった。
 独身の中年医師Faradayは、10歳のときにメイドの母に連れられて大地主Ayres家の屋敷Hundreds Hallを訪れたことがある。それから30年後、住み込みのメイドを診るために屋敷に往診したFaradayは、家庭医として家族を訪問するようになる。 過去には豪華な建築物だったHundreds Hallは激しく老朽化していた。それだけでなく、メイドのBettyが最初の往診で訴えたように、まるで邪悪な存在が家を破壊しようとしているようなのだ。未亡人のAyres夫人、娘のCaroline、息子のRoderickたちはFaradayに頼るようになるが、彼は医師らしく幽霊説を頭から否定して解決策を提供する。だが、幽霊に怯えるAyres一家の異常な言動をストレスによる精神的な病と診断するFaraday自身も、しだいにHundreds…

ダークなユーモアで人生とは何かを考えさせるSF青春小説ーGoing Bovine

Libba BrayDelacorte Books9月22日発売予定 496 ページヤングアダルト/SF/青春小説 http://rcm.amazon.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&asins=0385733976 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&npa=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=0385733976 16歳のCameronは、野心も人気もない、その場しのぎのぐうたら男子高校生である。両親の仲は危ういし、優等生で完璧な双子の妹は兄の存在を完全に無視している。つまらない人生をなるべく努力せずに過ごすしか興味のないCameronが狂牛病(Bovine Spongiform Encephalopathy、ゆえにGoing Bovineという題名)にかかり、余命わずかと知らされる。生きることも楽しまず努力もしなかったCameronだが、致命的な病にかかって死にたくないと焦る。病院でくさっているCam(Cameronの愛称) のもとにパンクっぽい身なりの天使Dulcieが現れ、世界が滅亡に瀕していて、それを救うのがCamの使命なのだと言う。滅亡の原因は量子物理学の天才で異次元をトラベルする方法をみつけたDr. Xという人物で、彼を見つければ狂牛病を治癒してもらえるとDulcieは告げる。そこでCamはDulcieのアドバイスに従い、ちびで神経質なゲーマーのGonzoと一緒に病院を抜け出してクレイジーな旅に出る。Camたちは伝説的なジャズトランペット奏者、クレイジーな宗教集団、そしてノームに身をやつしている北欧の神などに出会い、念願の初セックスも遂げる。これまで経験したことのないほど楽しい人生を送り始めたのだが、脳はだんだんスポンジ状態になってくる。Libba Brayをニューヨークタイムズ紙ベストセラー作家にしたGemma Doyle三部作(Great…