Month: June 2009

ちょっとお出かけのお知らせ

6月24日から2週間ほど久々に帰国いたします。 旅行用のPCはとろいし、しょっちゅうフリーズします。東京でMac Bookを購入する予定ですが、すぐにちゃんと使える自信はないので、今のうちに過去に読んだ本の書評をためております。少なくとも1日おきくらいに更新しますが、オート更新ゆえ、(100%の記事に発生する)誤字脱字、漢字変換ミス、ファイルの再構成をしていないと起こる画面表記の不安定、などを訂正するチャンスがありません。旅先からの更新も予定していますが、思うようにならないのが海外(私には海外ですから)のインターネット。誤字脱字がそのままになっていても、「しゃあないなー」と心の中で赤ペンで修正しながらお読みください。また、この機会に昔の記事へのご意見もいただけると嬉しいです。 日本では一箇所にとどまらないで移動を続けるので、アメリカでは極小サイズのスーツケースを新たに購入しました。私が持っているサイズでは電車に乗るのや乗換えが不可能に思えたからです。東京も京都も昔住んでいた場所ですが、大昔なので私には外国化しています。もともと方向音痴の私と方向音痴プラス日本語を失った娘のコンビです。混雑したJR駅や地下鉄でスーツケースをごろごろ引きずってとまどっている母娘を見かけたら、「じゃまな奴!」と蹴飛ばさずに、「道がわからないかわいそうな半ガイジン」だと思って同情してくださいね。

ヒロインと脇役のやりとりが面白いCozyなミステリー-Into the Darkness

Barbara Michaels (Elizabeth Petersの別名)1990年初刊384ページ(マス・マーケット版ペーパーバック)ミステリー http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0061249645&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0061249645&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 宝石商の祖父が亡くなり、ビジネスウーマンのMeg Venturiはニューヨークから故郷に戻る。祖父はビジネスをMegに残すが、謎の人物Rileyと宝石店の共同経営者になるというのが遺言の条件だった。祖父のもとで宝石デザイナーとして働いていたRileyは、無口で暗く、Megにつっけんどんな対応しかしない。独立心が旺盛だが心優しいヒロインのMegは、扱いにくいRileyと一緒になんとかビジネスを回復させようとするが、生命を脅かす事件が続発する。  

Simon & Schuster がScribdでebook販売開始

Stephen KingやDan Brownを抱える大手出版社のSimon & Schuster が、Scribdでebook販売を開始しました。 Scribdは、iPaperという独自の方法を使って最近までebookの無料提供をしてきた本のソーシャルネットワークです。Scribdを利用して無料ebookキャンペーンを行ってきた先駆者はRandom Houseでした。最近スタートしたebook販売業で大手のSimon & Schuster が契約を結んだとなると、これからさらに大手が参入することが見込まれます。 日本からの購入か可能かどうか、ということについては現在Scribdに問い合わせ中ですが、法的に不可能だと私は推測しています。 無料のコンテントについては日本からもダウンロードが可能です。

白鯨のモデルになった実際の悲劇Essexの真相-In the Heart of the Sea: The Tragedy of the Whaleship Essex

Nathaniel Philbrick2001年8月初版320ページPenguin USAノンフィクション/歴史 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0141001828&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0141001828&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 アメリカ大陸で最も東にあるナンタケット島は、一時期、捕鯨の中心地として世界で最も裕福な島だった。しかし、過剰捕獲と鯨油の需要の減少で捕鯨ビジネスは凋落の兆しをみせるようになっていた。そのような時代背景の1820年、捕鯨船Essexは太平洋の真ん中で巨大な鯨に襲われて沈没する。物語の中心はそれからである。生き残った20人の船員は3台の簡単な作りの船に乗り込んで、それぞれチリを目指して航海する。しかし、93日後無事に救助されたのはたった8人だった。Essex沈没からの93日間に起こったのは、飢え、脱水、死、そして全員の飢え死にを避けるために犠牲者を選ぶ、という想像を絶する恐ろしい体験だった。メルヴィルのMoby Dick(白鯨)のモデルになった悲劇だが、白鯨よりも読みやすく、印象深い本である。 ●ここが魅力!17年前からナンタケット島に家を所有しており、いつかそこを舞台にした小説を書きたいと思っていたので、9年前にナンタケット在住の歴史作家Nathaniel Philbrickが悲劇の捕鯨船Essexのノンフィクションを書いたとき即座に入手しました。ちょうど島では展示会もしていて、地図、船と船員の写真なども見ることができ、さらに現実感を覚えてぞっとしたことを覚えています。そのような視覚的な援助がなくても、読み始めると「いったい何が起こったのか?」という興味で次々とページをめくりたくなります。特に、船員たちが人肉を食べるに至った経過はノンフィクションとは思えないくらいで、後々までその場面が心に焼きつきます。自分も追い詰められたからこんなことをするのか?と自問せざるを得ない話です。またアメリカでも特殊なナンタケット島の歴史を知ることができ、歴史書としても優れています。 ●読みやすさ ★★☆☆☆シンプルな文ですが、地名や固有名詞、なじみのないナンタケット島の歴史、捕鯨の歴史などをまず読み取らなくてはならないので、最初のうちは特に入り込みにくいでしょう。また、速読すると意味がわからなくなります。注意を払わなくてはならないので読むのには小説よりも時間がかかるでしょう。けれども、小説の白鯨よりもずっと読みやすい本です。また、メルヴィルはナンタケット島のことを書いていますが、島を一度も訪問したことがないのですよ。ですから、捕鯨の歴史に興味がある方はこちらをおすすめします。

本ではないけれど見逃したくないSF映画Moon

洋書の話ではなくて注目の映画の話です。 David Bowieの一人息子Duncan Jonesが作った映画「Moon」が米国で公開されます。NYとロスではすでに公開中。Bostonでは今週の金曜日から。 私は高校時代David Bowieの大ファンだったし、子供時代はSFファンだったので、見逃したくないです。それにしてもDuncan Jonesが18歳のときに自分で名前を変えたという逸話には笑いました。「子供にZowie Bowieなんてひどい名前をつけると、こうやって極端に平凡な名前に変えられちゃいますよ」、と有名人の親たちに警告するケースです。 下はDuncan Jonesと主役のSam RockwellがMoonについて語っているビデオ。トレイラーはこちら。

子供の驚きと笑いを描ききった最高の詩集-Where the Sidewalk Ends

Shel Silverstein1963年初版イラストつき詩集/保育園程度から小学校高学年向け+子供の世界を懐かしむ大人 「子供向けの詩集でもっとも好きな作品は?」とたずねられたら迷ってしまいますが、「子供向けの詩を書いた最も好きな詩人は?」とたずねられたら、迷わずにShel Silverstein答えます。最初の答えで迷うのは、Silversteinの作品はどれも傑作でひとつだけ選ぶのはほぼ不可能だからです。でも、1冊だけ買って試したい方には、Where the Sidewalk Endsをおすすめします。 Shel Silversteinの詩との出会いは、娘の4歳の誕生日のプレゼントに同級生の両親から贈られたA Giraffe and a Halfでした。 http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0060256559&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 それはこんな風な詩です(プロダクト説明からの引用なので途中まで)。…

Silent in the Graveのロマンスに決着がつく第3巻-Silence on the Moore

Deanna Raybourn2009年3月歴史ミステリー/ロマンス(でもハーレークイン式のロマンスではありません) http://rcm.amazon.com/e/cm?t=yofaclja-20&o=1&p=8&l=as1&asins=0778326144&md=10FE9736YVPPT7A0FBG2&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yukariscott-22&o=9&p=8&l=as1&asins=0778326144&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1 BrisbaneはヨークシャーGrimsgraveにある旧家の館を買い取り、改装を助けるというJuliaの姉Portiaの申し出を受け入れるがJuliaは連れてくるなと強調する。その後、Portiaの訪問すら断るBrisbaneの手紙が届き、彼の精神状態を案じたJuliaたちはヨークシャーに向かう。

Nick Hornbyは読者を知らない

High Fidelity などで有名なNick Hornbyは、コンテンポラリーな世界であがく心だけ若者の中年男性を描くことでは卓越した才能があると思っていました。でも、最近の作品はがっかりすることが多くて、読むのをやめてしまいました。 そこにこのインタビュー記事。なんとなくそのわけがわかったような。。。 彼はebookやKindleについてネガティブな意見を持っていますが、読者に触れたことがあるのかしら? 私が知っている英国人たちはみんなKindleの出現を「まだか、まだか」と首を長くしてまっています。Kindleやその他のebookリーダーこそがもしかすると激減している読者層を新たに広める救世主になるかもしれないのに。